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これを見ずしてガイナックスを語るなかれ!おすすめ傑作OVA「 トップをねらえ! 」

OVA「 トップをねらえ! 」は1988年にあのガイナックスが劇場アニメ「オネアミスの翼」に続く作品として制作しました。当時の社長、岡田斗司夫氏によると、元来ガイナックスはこの「オネアミスの翼」を作りたくて設立したような会社なので、制作後は解散する予定だったとのことです。

ところがこの映画が大赤字となってしまったため、それを穴埋めするために何とか売れる作品を作らなければ、という純粋な動機(?)に基いて制作されました。発売当初はVHSが媒体で、1話30分で全6話、という構成になっています。

まず、「エースをねらえ!」とトム・クルーズ主演映画「トップガン」をこれ見よがしにくっつけた「トップをねらえ!」というタイトルが思い切りナメています。

当時は陳腐なアニメの設定を揶揄して「美少女とロボット」という言葉がありました。この2つの要素さえぶちこんでおけば一定の支持(売上)が得られるということを意味したものです。そこを逆手に取って、このアニメは「美少女とロボット」がモチーフであることを前面に出したのです。

ある製作者は「このアニメにオリジナルはない!」とまで開き直りました。しかし、それはパロディの集合体に見えるこの作品への自信の表れを逆説的に表現したものであったかもしれません。

OVA「 トップをねらえ! 」のあらすじ

舞台は近未来の地球、人類は地球に迫り来る脅威、「宇宙怪獣」に対抗するために単座ロボット「マシーン兵器」を開発していました。マシーン兵器のパイロットたる「トップ部隊」の養成学校である沖縄女子宇宙高校(通称「オキジョ」)に主人公タカヤ・ノリコが入学するところから物語は始まります。

ノリコは「地球帝国宇宙軍」タカヤ・ユウゾウ提督の娘でしたが、「ルクシオン艦隊」が宇宙怪獣の奇襲を受けて全滅したのは司令官であるタカヤ提督の判断ミスであるとされ、彼女は「全滅娘」という不名誉なアダ名をつけられていました。人一倍ドジでノロマなノリコは、トップ部隊の一員として、父が散った宇宙へと旅立てるのでしょうか・・・

設定は以上のようなものですが、オキジョの運動着はハイレグのレオタードだわ、オキジョには天才パイロット、「バラの女王様」ことアマノ・カズミ(お蝶夫人に相当)や鬼コーチであるオオタ・コウイチロウ(宗方コーチですね)といった、「エースをねらえ!」のパロディとまるわかりのキャラクター配置だわで、こんなふざけた作品、誰が金出すか!と思いたくなります。

ところが予想はいい意味で思い切り裏切られ、ハードなSF考証に基づいたストーリー展開は次第に巨大なうねりとなって感動のラストを迎えるのです。

特に最終兵器「ガンバスター」が登場して以降の第4話〜最終話の盛り上がりは尋常ではなく、決してオーバーな表現ではなく、100回は繰り返し見ました。

繰り返しの再生のためか、ビデオテープがへたってしまってDVDで買い直したのですが、このメディアが擦り切れないことに心底感謝したものです。

ドジでノロマな主人公の成長物語が「 トップをねらえ! 」なのだ

ドジでノロマな主人公の成長物語はアニメに限らない永遠のモチーフです。このアニメでも主人公は数々の苦難や悲しみを乗り越えて成長するのですが、それを端的に表した言葉があります。

第1話で上級生カシハラ・レイコとマシーン兵器で模擬戦を行って大ピンチに直面して心眼を開くために外部モニターを全て切った時と、第4話の「火星沖海戦」で宇宙怪獣の足を止めるために決死の覚悟で立ち向かう時、どちらもノリコは「やってみる!」と叫びます。

これは、「人事を尽くして天命を待つ」姿勢であり、最善は尽くすが、結果についてはノリコ本人にとっても未知数だという認識があります。

これが第6話、人類の命運を賭けた行動に出るときにノリコが叫んだ言葉は「やるわ!」でした。ここには、多くの人の願いを背負った自分の行動は失敗できない、失敗するはずがないという強い責任感を見て取れるのです。

この2つの言葉の変化の間に何があったのか、ゲームの「スパロボ」でしかガンバスターを知らない人には自分の目で確かめることを是非お薦めします。

・題名:「トップをねらえ!」
・監督:庵野秀明
・出演:声優 日高のり子、佐久間レイ、川村万梨阿、若本規夫 他
・配給:GAINAX
・公式サイト:ガイナックス公式HPに作品名のみ記載あり。
・公開日:1988年10月7日第1巻(第1話・第2話収録)発売
・上映時間:30分×全6話 全180分(映像特典を含まない数字)

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