「 乱歩奇譚 Game of Laplace 」は、2015年7月から9月までフジテレビの芯やアニメ枠、「ノイタミナ」で放送されていました。
このアニメは2015年7月に没後50周年を迎えたミステリーの巨匠、江戸川乱歩の作品の時代設定を現代に変えて構成し直したものをアニメ化しています。
このアニメを制作したのは「Lerche」です。
これは2011年に結成された、スタジオ雲雀内のアニメーション製作チームで、ほかの作品としては「 人類は衰退しました。 」アニメ版「 ダンガンロンパ 」などが挙げられます。
なお、この「 乱歩奇譚 Game of Laplace 」のキャッチコピーは「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと―」。場面の随所に舞台のような演出が見られ、夢なのか真実なのか…一瞬迷ってしまうような世界観が特徴的です。
この夢のような世界観で、江戸川乱歩がかつて書いた「人間椅子」「影男」などの数々のミステリーを楽しむことができます。
乱歩奇譚 Game of Laplace のストーリー
女の子のような少年、コバヤシは他人に興味を持つこともなく、平凡な毎日に退屈しており、生きる価値さえあいまいになっていました。
そんなある時、コバヤシが教室内で目を覚ますと目の前にはまるで椅子のような形に組まれたバラバラ死体があり、コバヤシは容疑者に挙げられます。
そして、この事件の調査を行うことになったのが、天才高校生探偵アケチ。
「面白くなるかもしれない」
異常犯罪ばかり解決しているアケチに興味を持ったコバヤシは、友人のハシバの制止を振り払い、アケチの「助手」になりたいと願い、アケチの出した条件をクリアし、助手となります。
死体が椅子の形となって置かれていた「人間椅子」
紙袋をかぶった謎の男「影男」
法で裁かれなかった犯罪者を「正義」と称して次々と殺していく「怪人二十面相」
妙にリアルなマネキンが大量に置かれた「パノラマ島」での事件…
次々と起こる奇譚な事件を解決していくアケチ。
そんなアケチについていくうちに平凡な日常を捨て去っていくコバヤシ。
そして奇譚なことに興味を持ち、危ないこともしようとするコバヤシが心配でいつもそばにいる御曹司ハシバ。
この3人はやがて、日本中を巻き込むある事件に深く関わっていくことになります。
江戸川乱歩の血脈を引き継ぐ狂気的な美しさを再現したアニメ。
この「乱歩奇譚 Game of Laplace」の最大の魅力、それは狂気的な美しさにあります。
ミステリーを扱った作品というだけあり、アニメ中でも死体は数多くでます。
しかも、アケチは異常犯罪専門の探偵。
死体そのものも異常な状態で発見されます。
しかし…
本来は気持ち悪くなるはずの異常な形をした死体。
ですが、このアニメではそんな死体も美しく描かれています。
そのため、あまり恐怖感を持つことなくアニメを見ることができます。
また、劇中の場面一つ一つが、とても美しい仕上がりになっているのも特徴的です。
まず、人物の描かれ方です。
コバヤシとアケチはあまり他人に興味を持っていません。
そのため、個人と認識していない場合、コバヤシの視点の場合はシルエット、アケチの視点の場合はデッサン人形のように描かれます。
そして、事件の容疑者となり、個人として認識されて初めて、登場人物が人物として描かれるようになります。
他のアニメでも他者を人として描かないことはありましたが、このアニメの場合、他者がシルエットやデッサン人形から人に変わっていく過程で、コバヤシやアケチの見方の変化も分かるようになっています。
「 乱歩奇譚 Game of Laplace」のキャッチコピーは「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと―」。
次に、推理シーンや回想シーンです。推理シーンや回想シーンでは、ゆめか現実か分からないような雰囲気を出すため、まるで舞台のような演出がされています。
そのため、本来は難しくておどろおどろしくなりがちな推理シーンも、舞台演出されていることで美しさを感じます。
また、舞台のようにされていることでより一層、現実感が失われ、幻想的な雰囲気を作り出します。
そして最大の美しさはやはり、キャラクターです。
主人公コバヤシは中性的な見た目で、とても可愛らしく描かれています。
また、作中アドバイス役として「黒蜥蜴」が登場するのですが、とても美しく、アケチに対する異常な反応さえなぜかキレイに見えてしまいます。
そんな狂気的な美しさを持つ「乱歩奇譚 Game of Laplace」、始めは怖そうに感じますが、いざ見始めるとその美しさに魅了されてしまいます。
題名: 乱歩奇譚 Game of Laplace
監督:岸誠二
出演:アケチ 櫻井孝宏
コバヤシ 高橋李依
ハシバ 山下大輝
カガミ 小西克幸
ナカムラ チョー
黒蜥蜴 日笠陽子
影男 子安武人
ミナミ 藤田 咲
死体君 山口勝平配給:フジテレビ・ANIPLEX
公式サイト:http://www.rampokitan.com/
公開日:2015年7月~9月
上映時間:1話30分 全11回