「惡の華」。それは欲望を誘い出す美しく咲く華。
思春期の男子といえば性に関してとても敏感になるものですよね。
避難訓練中に非常階段を見上げたそこにパンツの天の川が流れていても、雨の日に傘を忘れた女子のシャツが透けて下着が見えていても、思わず目を逸らしてしまうはず。
また、授業中の居眠りから目覚めると他のところも目覚めてしまい、運悪くチャイムが鳴れば「起立」からすでに前かがみの態勢に。そのまま友達に売店に誘われようものならポケットに手を突っ込んでカムフラージュ。とにかく、変態扱いされないようにしなければなりません。
しかし時には失敗――。
家族で映画を観ているとベッドシーンが……その瞬間、食卓が氷点下。
さらにエロ本が母に見つかった日にゃ、熱々手作りハンバーグも解凍してない冷凍食品に感じるほど。……あると思います。
そう。大人の階段を一歩踏み外せばそこは地獄。
惡の華 はその青春地獄を描いた作品です。
惡の華の怖さ。それは、ほんの出来心から事態が悪化。
読書が趣味の中学生・春日高男が片想い中のクラスメイト佐伯奈々子の体操着を成り行きで盗んでしまいました。しかし、その現場を仲村佐和に目撃されてしまいます。
仲村さんが優しい生徒ならいいのですが、テストは毎回0点で教師に向かって「うっせー、クソムシが」と吐き捨てては睨みつける素行の悪さ。こんなのに弱みを握られたらどうなるか――。
『変態にされて、最終的に暴走します』。大人しい人ほど怒ったら怖くなるアレです。けれど、春日はそんな酷いことをする仲村さんに惹かれてしまいます。そこに佐伯さんも加わり、昼ドラ以上のドロドロな三角関係に発展していきます。
日本アニメで初の試み、ロトスコープという映像表現
ところで、普段見慣れている可愛い感じのキャラクターは忘れてください。全編にわたって写真を元に絵を描いているため、実写に近い絵になっています。原作ファンから批判されたりしましたが汗。しかし、それは惡の華をより緊迫感のある作品に仕上げるためでもあります。
だったらドラマにすればいいじゃないかと思うかもしれませんが、観ているうちにやっぱりロトスコープで正解だったな~となっているはず。
注目すべきは7話目のラスト。確実に心を奪われます。惡の華の象徴ともいえるシーンで、アニメって凄いなって感心しちゃいます!
(関係ないですが、何故か7話目って神回が多い気がしますね……)
惡の華はもはやアニメでもドラマでもありません。
是非、新感覚の映像作品に色んな意味で震えてください。