『 テイルズ オブ ジ アビス 』はプレイステーション2用ソフトとして発売され、大人気ロックバンドBUMP OF CHICKENがテーマソングを担当したことで話題を集めました。
絶対音感を持つ人は音に色がついて見える共感覚者が多いそうです。しかし、そういったものを持っていなくても音楽から映像を見ることはできます。
アニメのテーマソングは特にそういった感覚を私たちに与えます。
シリーズの中でも異彩を放つシナリオが人気を博したテイルズ オブ ジ アビスはテレビアニメ化へ。
テーマソングの『カルマ』はゲームだけでなくアニメのOPにも起用されました。さらに榎本くるみが歌うエED『冒険彗星』。この曲はボーカルの藤原基央が全面プロデュースしました。
「カルマ」はタイトルのとおり人間の“業”が、「冒険彗星」は“別れ”がテーマになっています。
テイルズ オブ ジ アビス―二人が一つになるために
テイルズ オブ ジ アビスのシナリオを読みながら楽曲制作したという『カルマ』。その結果、『カルマ』の歌詞は物語の主人公ルークの生き様を描いています。
「心臓が始まった時 嫌でも人は場所を取る 奪われない様に守り続けてる」-(カルマ/BUMP OF CHICKEN)
勝者がいれば敗者がいる。自分が存在するということは誰かの居場所を少なからず奪っていることになります。
「鏡なんだ僕ら互いに それぞれのカルマを映す為の 汚れた手と手で触り合って形が解る」-(カルマ/BUMP OF CHICKEN)
人こそ人の鏡。人の振り見て、我が振り直せ。私たちは他人を見ることで自分という存在を創り上げていきます。
もしも自分が善人だと思うのならそれは汚れた部分を知っているからです。
汚れた部分を互いが知ることで、どうすれば二人が一つの場所に居続けられるかを知るのです。
――ルーク誕生によって存在を奪われたアッシュという男がいます。
二人は歌詞のとおりに存在意義に悩んで答えを探し当てます。
一つになるとはどういうことなのか……。
それはもうアニメを見て確かめるしかないですね。
離れるほどに近づく心
放物線や双曲線の軌道の彗星は、太陽に近づくのは一度きりで二度と戻ってこないんだそうです。
『冒険彗星』はそんな宇宙の神秘をモチーフにしています。
太陽を出発点に二つに分かれた彗星を“私”と“あなた”とし、二人はそれぞれ別々の方角へ冒険に出ます。
離れ離れになることで、側にありすぎて消えてしまったもの。近寄るだけじゃ手に入れられない温もりがあること。色んなことに気づいていきます。
天文学的に再び出会うことはできないはずだけど、想いが繋がって始まりの場所に導いてくれる。
そんな希望に満ち溢れた歌なのです。
こっちはルークとメインヒロインであるティアの二人の心境を歌っていると思います。
まずは二つの曲を一度耳にしてください。
そしてテイルズ オブ ジ アビスの物語をすべて観終えてからまた聴いてみてください。
まるで聴こえ方が違います。曲が物語の一部となっています。
トップクリエーターたちの作品と作品が重なることで何倍もの感動を生み出す。
この業(ごう)ではなく業(わざ)を是非とも体験してみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=mTdcxQZcQAE