さて、少し昔の作品になりますが、いまだに静かな人気を誇るアニメが「 キノの旅 」です。見たいアニメがないのならこれを選んでみてはどうでしょう?
ブラックジョークの効いたSS
この作品は主人公キノと喋るバイク・エルメスの旅の物語。キノ達が旅先で出会った国や人とのエピソードがストーリー内容です。それぞれ、基本的に一話完結。旅先で出会う国や人達はとても個性的で独特。科学技術が発達した国や特殊なしきたりが支配した国など、それぞれ個性があって飽きません。そして良かれと思ってやったことが本末転倒の結果を招いた国などもよく登場します。このあたりは非常にブラックジョーク的です。
少し風変わりな旅物語で、一話完結とブラックジョーク的展開は不動のSS作家、星新一の作風に近いものがあります。
そのため、「他人の痛みがわかる国」や「レールの上の三人の男」等は、その手の作品が好きな人には、とてもツボだと思いますよ?
とりあえず、「次はどんな国なんだろう」と思わず引き込まれてしまうこと必須です。
淡々と続く静かな旅物語が キノの旅 だ
「おいおい…」と突っ込んでしまう世界。そんな世界をキノとエルメスは冷静に見つめ、通りすがりの傍観者として去って行きます。傍目にはおかしいと感じる光景に対しても野暮な突っ込みを入れない。そこがそれをよしとするならよしとする。「旅人」としての立場を徹底的に貫くキノ達の姿勢は鮮やかです。ときに冷酷なように映るその姿勢。しかし、それが逆に旅先で出会う者たちの個性を引き立たせています。
キノ達の旅に引き込まれてしまうと同時に、「こういう世界があったらこういう風に人間は変わってしまうのかも」というような想像力を刺激されずにはいられない。それもまたこのアニメの大きな魅力です。
(あにぶ編集部/Nori)