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映像化不可能と謳われた「『物語』シリーズ」のヒットと『シャフト』の映像技法【後編】


化物語

前編中編に引き続き、『物語』シリーズの魅力とそれを映像化させた『シャフト』の技法についてまだまだ語っていきたいと思います。

『物語』シリーズにおける映像化不可能と謳われたもう一つの所以が、「情報量があまりに少なく、限定的である」という点です。
原作では表紙や扉絵以外にはまったく挿絵がなく、場面描写や状況の説明がほとんどされていないのです。

本来、小説というものは文字で表現するために読者にも想像しやすいような場面描写が詳細に書かれているものですが、西尾維新の作品では「ここは昼下がりの公園だ、取り立ててなにものない普通の公園である」程度の描写しかされないのである。

この場面描写の少ないことを逆手にとり、シャフトの映像表現の斬新さは背景や風景にも及んでいる。

非日常的空間を演出する背景

例えば、ヒロインの一人である『戦場ヶ原ひたぎ』との出会いのシーンや、暦が自分の部屋でくつろぐシーン。
学校の階段から落ちてくるひたぎを暦がとっさに受けとめるのだが、それはまるで中世の王宮を思わせるような螺旋階段を描いていたり、暦の部屋は広い空間にバナナ型のソファのようなものと
ベッドがぽつりとあるだけの部屋だったりと、ふつうだったらあり得ないような違和感のある空間をわざと作り上げている。

非日常的な空間であることを強調した演出は、視聴者にインパクトを与えると共に『化物語』という日常の中に、怪異という非日常の異形の者が共存している世界観であることを強く印象づけている技法であるともいえる。

キャラの存在とギャップのある主題歌

『物語』シリーズの魅力はキャラの存在も大きい。
基本的には一つのストーリーで一人のキャラにスポットを当てるオムニバス形式の作品であり、多くのヒロインキャラが登場するハーレム作品でもある。

そして、その各ヒロインにスポットを当てたキャラソンの主題歌もとても印象深い曲が多い。
特にヒロインの一人、とても引っ込み思案な中学生『千石撫子』のキャラソンの『恋愛サーキュレーション』は「あれ…みるアニメ間違えたかな?」と思わせるほどの本編とギャップを感じさせる曲だ。
人と目を合わせないように帽子を目深にかぶり、幼馴染の阿良々木兄妹以外はほとんどしゃべることができないなでこが突然陽気にラップ調の主題歌を歌いだすのだからその衝撃は絶大だ…

総括

総括として、西尾維新の生み出した決してアニメ向きとは言えない小説は小気味のよいテンポ感ある夫婦漫才のような原作の会話劇をそのままにアニメに使用し、シャフトならではの会話劇でも飽きさせない映像技法と属性に富んだキャラの掘り下げ。
そしてアニメならでは原作キャラとのギャップ感ある主題歌などでうまく料理した『物語』シリーズは見事ヒットした作品となったのだ。

願わくは早く『傷物語』の続報を聞きたいものだ…

ライター:あにぶ編集部|Uemt さん

©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

公式サイト・引用元: <物語>シリーズ

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