996年に最初に発売されたPS用ゲームソフト「ペルソナ」シリーズ。2008年にペルソナ3をベースにアニメ独自の内容で描いた「ペルソナ 〜トリニティ・ソウル〜」が放送。2011年にはゲームに沿った内容を展開した「ペルソナ4」がアニメ化を果たした。

RPGゲーム独特のスタイリッシュなグラフィックと洋楽のような洒落た音楽で描かれた世界と雰囲気。これをアニメでどのように描くのか。ここでは記憶に新しい「 ペルソナ4 」を紹介したい。

制作サイドの意図を探れ!ただ単にスローテンポなわけではない。

主軸となるストーリーは、主人公・鳴上悠が越してきた町で起こる奇妙な連続殺人事件の謎解きだ。物語の鍵となる「マヨナカテレビ」は「雨の夜の午前零時、点いていないテレビが突然別の人物を映す」という設定である。さながら真夜中にホラーゲームをこっそりプレイしてしまった感じが漂う。

ゲーム派生のアニメは少なくはない。しかし、表現手法が異なることから、大抵はストーリーや設定を大幅に作り直すことが多い。時には、いわゆる「原作レイプ」がなされ、古参のファンをがっかりさせるケースもある。しかしこのペルソナ4は、ゲームをプレイしている感覚でアニメを見られる。これはそのように意図して制作されているからだ。その結果、従来のアニメ作品に比べると些か単調なRPGゲームのテンポを残しつつ、ミステリーゲーム独特の絶妙な空気を体験することができる。

空っぽな内面に、周囲からの影響でどんどん付け足されるネタ的外面

ゲームでは、主人公の詳細は、ユーザーに準じるため設定されていなかった。アニメ冒頭でもその「空っぽ」感を引き継いでいる。最初、主人公・鳴上悠は、自身にも周囲にも殆ど興味を示さない。いわゆる「冷めた高校生」となっている。

しかし、連続殺人事件により、身近な人を守りたいという感情が生まれる。こうして徐々に接する人との関係や絆を認識し、自分の存在と共に周囲に関心を持ち始める。ゲーム内でのネタ選択も随所に組み込まれている。冷戦沈着で寡黙な性格を残しつつ、鳴上が心を開くにつれ、天然ボケな部分が出てくる。更にキャラ崩壊と言えるまでの面を見せていく。これが、ミステリアスな展開の中、程よい息抜きになっている。

また、この一見余分と思えるネタが、冷めきっていた鳴上の心の柔和さ加減を示すバロメータとも取れる。

『 ペルソナ4 』は自分が思う自分とは異なる、他人が思う自分(=ペルソナ)

ペルソナとは古典劇で役者がつける仮面を意味している。心理学においては自己の外的側面、つまり、他人に思われたい理想の自分を指す。理想の自分は本来の自分とイコールとは限らない。そんな心理学をかじりながらの鑑賞も面白いかもしれない。

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ペルソナ4 公式サイト

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