『装甲騎兵ボトムズ』はリアルロボットアニメの代表作のひとつであり、根強いファンのいる作品だ。未だ続編が出続けていることが、その人気の高さを表している。
だが良くも悪くも『ボトムズ』はイメージが凝り固まってしまっている。泥臭いハードボイルドな作風から、「なんだか近寄りがたい」と思っている人も少ないないだろう。
そんな従来のイメージを払拭し、新規ファンも取り込もうと作られた“ボトムズ”が、この『 ボトムズファインダー 』なのだ。
一新された世界観と“At”
『ボトムズファインダー』は『装甲騎兵ボトムズ』のスピンオフとして2010年に発表されたOVA作品だ。
特徴として挙げられるのが、旧来のボトムズシリーズから一新されたその世界観にある。
これまでの『ボトムズ』は初代であるTVシリーズから地続きで展開される一連の大河だった。
しかし『ボトムズファインダー』では、その旧シリーズで登場するギルガメスやバララントといった組織や、パーフェクトソルジャーなどの固有のSF設定も存在しない。
もちろん『本家ボトムズ』の主人公であるキリコも登場しない。『ファインダー』の主人公は、アキ・テスノという一介の用心棒なのだ。軍人ですらない。
登場するロボットも、旧来の“AT”とは微妙に似て非なる。『ファインダー』に登場するロボットは「アルモレド・トロオペロイド(通称・アルトロ、もしくはAt)」と呼ばれるものになっていて、メカとしての特徴も『ボトムズ』のアーマードトルーパーとは微妙に異なっているのだ。
新たな“ボトムズ”像
「そこまで違ってるのなら、『ボトムズ』である必要がないんじゃない?」と思った人もいるだろう。だが安心して欲しい。『本家ボトムズ』にあった面白さもしっかりと残っている。
特にそれが顕著に現れているのは戦闘シーンだ。
『ボトムズ』のロボットアクションの魅力は、ローラーダッシュというメカニズムにあった。地面を滑るように移動して二次元的に戦う姿は、バーニアを使った三次元戦闘がメインである『ガンダム』などの作品群とは、一味違った趣がある。
そんな『ボトムズ』特有の魅力を、『ファインダー』もキッチリと備えている。だが、ただの猿真似には終わっていないのが今作の凄いところ。
ワイヤーを使ったアクションが随所に組み込まれており、旧来の『ボトムズ』にも『ガンダム』にもなかったアクロバティックな戦闘シーンが、存分に楽しめるよう作られているのだ。
もちろん設定面やストーリーにも、『本家ボトムズ』を意識した部分は沢山ある。だが同時に、『本家ボトムズ』を知らない人も同じように楽しめるようになっている。
古参ファンもご新規さんも、ともに新鮮な気持ちで楽しめる『ボトムズファインダー』 是非とも一度はご覧あれ。