『結城友奈は勇者である』少女たちの日常の崩壊と再生の先にあるもの

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結城友奈は勇者である
『 結城友奈は勇者である 』は中学生の少女たちの過酷な現実とそれに向き合う雄姿を描いた作品で、大きな反響を呼んだ昨年秋から3か月にわたって放送されたアニメ作品です。

日常から非日常への抗えぬ時の中で

今の現実世界とは異なる世界線でのお話です。四国、香川県にある讃州中学校に通う、うどんが大好きな結城友奈は中学2年生。「勇者部」という子供たちへのボランティア活動をメインに行う部活で、友人3人と楽しく学校生活を送る日常。

しかし、ある日を境に一変します。謎の組織「大赦」から力を与えられ、「バーテックス」という侵略者と戦う「勇者」として選ばれ、否応なしに戦いの日常へと身を投じることになってしまいます。

と、ここまではよくある話。普通の生活を送っていた主人公が、ある出来事を契機に全く違う世界へ導かれるという作品はこれまでも多くありました。
しかし、この作品には他の作品にない悲劇的な「トレードオフ」(二律背反)の要素があるのでした。

「供物」として捧げることによって得る「満開」そして「散華」という悲劇

バーテックスとの戦いは熾烈を極めます。「勇者」はその力のリミットを外すことができ、強大なアタックをかけることができるのですが、これは、ゲームでリミットゲージを貯めて必殺技を出すのに似ています。しかし、それはあまりに大きな代償を伴うものだったのです。

「満開」をして強大な力を発揮した勇者は、その満開1回ごとに「散華」し、その体の機能の一部を「供物」として大赦に捧げなければなりません。それは、一度失った体の機能は二度と戻らないことを意味します。友奈も最初の散華で味覚を失ってしまいます。それは、大好きなうどんの味を二度と味わうことができないことを意味するのです。

しかし、勇者は撤退を許されず、満開、散華し体の機能を失い続けるか、世界が滅ぶかの2択という悲劇が現実として存在します。

絶望の先に見えるもの

不条理は極まります。友奈の前に現れたのは、20回以上の満開→散華をし、体の大部分を失い、ベッドに横たわる先輩勇者の姿でした。「勇者」は死ねません。自殺をしようにも「精霊」がそれを阻んでしまいます。死ぬまでではなく、死なずに戦い続けなくてはならないのです。

そして、ある日、友奈は勇者仲間の東郷美森からこの世界の真実を知らされます。それは、四国以外世界のすべてが滅んでいること。そして、有限と思われたバーテックスは無限に増殖しているということ。絶望に絶望が重なった中で最終的に待っているのは、悲劇かそれとも・・・。

数々のヒットゲームを生み出している、若手クリエーター、タカヒロ氏脚本によるオリジナルアニメ。「セカイ系」の新たな有り様として話題沸騰の作品です。

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リンドウ

元丸の内のサラリーマンです。サラリーマン時代はオタク趣味を隠していましたが、脱サラを機に趣味を全開にしてライター業を行っています。アニメをはじめとしたポップカルチャーと文化、経済の関係に興味があり、在職中は(趣味を隠しながらも)、涼宮ハルヒをテーマに経済セミナーを企画したりもしていました。現在、フリーライターとして活動すべく奮闘中です。