皆さん、前回の「熱血アニメ列伝」の第一回目はいかがでしたか?正々堂々とコラム連載開始!しましたが、連載2回目の今回も熱いアニメを紹介していきます。今回ご紹介するのは、マクロスシリーズの、とある作品です。
「え?マクロスって三角関係とか歌姫が歌ってるとかってイメージしかないけど……?」
なんて人も多いかもしれませんね。特に、00年代の大ヒット作になった『マクロスF』でマクロスを知った方は、特にそういう印象の方が強いかも?しかし!今回お勧めするのは、実に熱い!マクロスシリーズの中でも、ちょっと異色?な作風かも、な『マクロス7』です!
数あるマクロスシリーズにおいて、テレビシリーズとしては2つ目の、1994年に放送が開始された本作品。まずは、そのあらすじを紹介していきます。過激にFire!!
「戦闘なんてくだらねえぜ!俺の歌を聴け!」『マクロス7』のあらすじ
マクロスシリーズ第一作『超時空要塞マクロス』における、2009年のゼントラーディ人(巨人型異星人)との星間戦争終結後、地球人類は「種の拡散」を目的とした(星間戦争で、地球人類はほぼ絶滅に近い状態になったので)長距離移民船団を多数結成。地球人類達は、新天地を求めて宇宙を旅しています。そんな移民船団の中の一つ、「マクロス7船団」がこの作品の舞台です。
物語が始まるまで、平穏な航海を続けていたマクロス7船団。ですが、ある日突然、謎の敵の襲撃を受けます。船団の護衛隊が応戦するものの、敵は謎の技術(機体につけられた装置から発射されるビーム)でパイロットを「生きる屍」状態にしてしまい(ビームが当たるとそのパイロットは体はそのままに魂が抜けた状態のようになります)、船団は劣勢を強いられます。
激しい戦闘が繰り広げられる戦場の中、一つの赤いバルキリーが飛び出していきます。その「ファイアーバルキリー」を駆るのは、ロックバンド「FireBomber」のボーカル、「熱気(ねっき)バサラ」!
彼は、敵味方が生死を賭けた戦いをしている中、「自分の歌」を聞かせる為だけに戦場でバルキリーを駆けさせます。
味方のエリート部隊の「ダイアモンド・フォース」のエースパイロット「ガムリン木崎(きざき)」にも、最初は散々になじられ、バサラはガムリン以外の様々な人に、その行動を否定されます。
しかし、ただ、戦場で歌い、愛機ファイアーバルキリーを駆るバサラの行動に、徐々にその評価が変わっていきます。
謎の敵の目的は?何故マクロス7の人間を「生きる屍」にしていくのか?バサラの歌は謎の敵にどう作用するのか?バサラは戦いを止められるのか……!?
戦場を駆けるバサラの歌!歌うことを諦めないバサラの姿が熱い!
『マクロス7』のあらすじ、いかがだったでしょうか?
マクロスシリーズをご存知の方には当たり前の事と思いますが、『マクロス7』はジャンル的には「ロボットアニメ」です。しかし、何よりこの作品が普通のロボットアニメでは無い部分があります。それは、このアニメの主人公「熱気バサラ」が(マクロスシリーズの主人公なのに!)バルキリーに乗りながら戦闘をしない事です。バルキリーのガンポッドから発射されるのは「スピーカーポッド」と呼ばれる相手に音楽を聞かせる装置だけ。
マクロスと言えば、可変戦闘機バルキリーによる変形機能を利用したアクロバッティングな飛行や、飛び交う多数のミサイル、そんな戦闘シーンを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、この『マクロス7』の中でバサラがしているのは、愛機ファイアーバルキリーで、ただ敵の弾丸を避けるだけ。
後はただ機体を動かして、歌います。とにかくひたすら歌います。そんな彼を「お前のやっている事は何の意味もない!」とか「戦闘中に邪魔だ!」とかなじる人達もたくさんいます。
軍人だけではなく、マクロス7船団の中に住んでいる一般人の人達も、最初は彼の行動を非難してばかりです。特に物語初期ではバサラの行動を支持する人は、ほぼ皆無。
しかし彼は歌います。「戦闘なんてくだらねえぜ!俺の歌を聴け!」と叫びながら、敵が彼の歌を聴いて何かが起こる訳でもないのに、ただひたすらに歌うのです!熱い魂を込めて!
一見まるで無駄にも思える彼のこの行動にこそ、個人的にはとてもとても胸を打たれます。これが熱くないとしたら、何が熱い行動なのか?と思えるぐらい、彼の劇中での行動には熱さを感じます。
一度、彼が誤ってバルキリーに搭載されているミサイルを敵に撃ってしまうエピソードがありました。その後、しばらくバサラは悩んでいるような描写があります。戦争を描くロボットアニメで、主人公がミサイル一発撃って悩むって!
だがしかし!そこがバサラの良さなのです!当時は今ほどではないものの、男性が中性的になっていってる世の中にあって、バサラは己の信念をとにかく貫きます。この作品の魅力は、イコールこの「熱気バサラ」の魅力と言っても過言ではないでしょう。
バサラの歌は熱いだけじゃない!曲のクオリティの高さもまた熱い!
『 マクロス7 』は、劇中歌も魅力の一つです。バサラ達のバンド「FireBomber」のファーストアルバムは、当時のオリコン初登場4位を記録するなど、セールス的にも高評価を得ていますが、ファンの間でも未だにその劇中歌は根強い人気があります。
『マクロスF』をご存知の方なら、アルトの上司であり、ランカの兄であるオズマが作戦名に「PLANET DANCE」と名づけていたのを覚えている人もいるかもしれません。
実は、この「PLANET DANCE」は、バサラ達の「FireBomber」の楽曲の一つ。オズマは、熱気バサラをリスペクトしていて作戦名につけるほど、という設定なのでした。マクロスの劇中世界でも、その影響力の高い「熱気バサラ」。しかし、彼の存在は現実世界にもかなり影響を与えている、と言っても過言ではないエピソードがいくつかあります。
例えば……よく、「マクロスシリーズ1の歌姫は誰か?」なんて、ネット等で話題になる事がありますよね。まとめサイトなんかでも、この話題は鉄板のネタの一つです。ランカ、シェリル、この『マクロス7』のヒロインでもある、ミレーヌなどの名だたる歌姫の中に、平然と彼の名前が出てきます。
「バサラでしょ」と。
歌姫って言ってるのに!一定数の人が、このくくりでも、「熱気バサラ」の名前をあげてしまうほど、彼のシンガーとしてのカリスマ性の高さが伺えます。
ちなみに、熱気バサラの劇中での台詞は、声優の神奈延年さん(当時は「林延年」名義)が当てていましたが、バサラの楽曲のボーカルは全て歌手の「福山芳樹」さんが担当されています。
彼の名前は知らなくても、『武装錬金』の主題歌「真っ赤な誓い」や、『オーバーマン キングゲイナー』の主題歌「キングゲイナー・オーバー!!」を聞いた事がある人は多いかもしれません。
この福山さんの歌声もバサラのシンガーとしての魅力を後押ししたのは間違いありません。バサラソングの何曲かに、聞くだけで目から汗を流す事があるほどの思いいれを持っている人も多数います。
個人的には、青春のほろ苦さを思い出す「REMEMBER 16」や、旅に思いを馳せる内容のOVAのOP「DYNAMITE EXPLOSION」なんかは、目から熱い汗がほとばしるほどです。
この『 マクロス7 』のバサラの魅力と熱い歌の数々、是非実際に目にしてみて欲しいです。各種アニメ配信サイトなら、気軽に見ることが出来ますし、DVDレンタルもされているので、探し易いアニメの一つだと思います。
今回の記事で気になった方は、是非見てみてください。もうすぐ始まる、マクロス新シリーズ『マクロスΔ』の前に見ると、もしかしたら「ニヤッ」とする場面もあるかもしれませんしね。
筆者:あすかつぐよし