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アニメ『 うしおととら 』を見たのでしたら、今度はマンガ『 からくりサーカス 』もいかがでしょうか?

2015年7月よりアニメ放映が開始した「うしおととら」。実は1992年~93年の間に全10話のOVAが発売されており、約22年ぶりのアニメ化でした。それにより、当時発行された単行本、文庫版、ワイド版と続いて、現在「完全版」が毎月順次1巻づつのペースで刊行され、再度注目もされているようです。

確かに「うしおととら」と言えば、藤田和日郎先生の代表作と言っても過言では無いでしょう。ですが、出来るのなら是非とも、もうひとつの傑作と誉れ高い「 からくりサーカス 」にも注目して頂ければと思い、その魅力の片鱗だけでもご紹介出切ればと思います。

マンガ『 からくりサーカス 』は『 うしおととら 』をも超えるスケール感

父親の死により莫大な遺産を相続した勝(まさる)は、遺産を狙う親族により誘拐されそうになります。それを救ったのは、人を笑わさないと死んでしまう「ゾナハ病」を患った鳴海(なるみ)と、“あるるかん”と言う名の人形を操るしろがねでした。

奇妙な巡り会わせで出逢ったこの3人はその後、鳴海と勝を主人公に物語は分岐し、自動人形や200年前の因縁などと、多くの謎が複雑に絡まり始めます。そうして物語が進むにつれて、全く別物であった事象や人物、更には時間や場所さえ超越しながら繋がり、複雑に絡まっていた沢山の謎が解かれてゆくのです。

――と。こうしてザックリとした“あらすじ”を書いてみても、読んだことのない方は何が何だか全く解らないことかと思われます。

ですが、それもそのはず。ここに書いた“あらすじ”あくまでも冒頭部分だけで、その後物語りは大きく深くと動き出すのですから。ですが、もう少し突っ込んだ内容の“あらすじ”を書こうとするのなら、今度はその内容や人間関係が複雑過ぎて、更に何が何だかサッパリと解らなくなってしまうでしょう。

あれだけ内容が濃く、人間関係や因縁が複雑に絡み合った物語であった『うしおととら』。その刊行数はコミックスでは全33巻と外伝1巻の合わせて34巻でした。なのに『からくりサーカス』は全43巻までが刊行、藤田和日郎先生の気合や複雑さが、この刊行数だけでも伺えるのではないでしょうか。

藤田和日郎先生の意気込みがバシバシと伝わってくるマンガ『 からくりサーカス 』

藤田先生の一種独特な絵柄や鬱積した世界観、そして理不尽で残虐、なのに魅力的なキャラクターたちの存在など特筆すべき点は多々あります。ですが、何よりも物語の中で無数に散りばめられた謎や伏線が、最終回へと向かうごとに回収されて行き、どんでもなく大きく広げ切った大風呂敷が、最後には綺麗に畳まれ“大円団”へと導いてくれた、藤田先生のその見事な手腕には驚きを隠せませんでした。

前作『うしおととら』の魅力的な登場人物の中に、人間以外にも“とら”を筆頭に多くの魅力的な人外(妖怪)キャラが登場しましたが、それはこの『 からくりサーカス 』でも同様です。人を殺すなど残虐非道な行いをする自動人形(オートマター)や、人でありながら人で有らざる能力を与えられてしまった“しろがね”と呼ばれる人々。彼らはこの残酷な物語の中でも、必死に“人らしく”あろうと藻掻き苦しみます。そして植え付けられてしまった誰かの“憎しみ”に支配され、それはあたかも操り人形のように操られてはいても、観客である私たち読者へと自分たちの物語を観せてくれたのかもしれません。

読むのに大変な労力と根気を強いられる『 からくりサーカス 』ですが、5~6巻までを読んで頂けるれば、あとはグイグイこの作品の魅力に引き込まれることだと思います。

筆者:Ririn

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