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実写化&アニメ化決定! 将棋を通じて、溢れ出る棋士たちの葛藤を描く『3月のライオン』

ヤングアニマルにて2007年より連載がされている、大人気将棋漫画『3月のライオン』。
第18回手塚治虫文化賞マンガ大賞をはじめとした、数々の賞を受賞してきた本作は、アニメにして欲しいマンガランキングをやると「よつばと」などと一緒に必ずランクインするほど、ファンからはアニメ化が熱望されていた。
そして2015年9月に待望のアニメ化、そして実写化の作成が発表されました。

原作は『ハチミツとクローバー』やアニメ『東のエデン』のキャラクターデザインなどでもおなじみの『羽海野チカ』さん。

あらすじ

幼い頃に家族を失い、棋士の先生の家で育てられた主人公の「桐山零」、自分を育ててくれた恩人に気に入られようと必死に将棋を覚えた零だったが、将棋の腕が上がるほど、同じ家に住む「幸田香子」からは疎まれていくようになり、元々引っ込み思案だった性格の彼はどんどんと追い込まれていく。
それでも自分には将棋しかないと、腕を磨き続けた彼は15歳という若さでプロ棋士となる。しかし、そこかは彼に待ち受けていたのは暗く厳しいプロの世界と洗礼だった。
高校へは進学せず毎日盤面にかじりつくうように勉強を繰り返す日々を送っていた彼に転機が訪れる。 将棋もスランプに陥り、心身共に憔悴しきって酔いつぶれていたところを、隣町に住む川本家の三姉妹の長女「川本あかり」。
この川本家との出会いが彼の気持ちを少しずつ変えていくことになる。

厳しいプロの世界を生々しく描く

これまでとは一風変わった「将棋」を題材とした漫画に驚かれたファンもいるのではないだろうか、将棋と聞くとなかなか地味で、動きの少ない盤面での勝負というイメージもあるだろう。
これまでアニメ化や実写化がされてきた将棋がテーマの作品といえば、激しい描写と力強い表現でこれまでの将棋作品のイメージを一新させた『ハチワンダイバー』や将棋とミステリーという二つの軸で描いた異色の作品『しおんの王』など、なかなか正統派な将棋作品は少ないのかも知れない(個人的な感想である)

しかし、この『3月のライオン』はとにかく、主人公や登場人物の心理描写を描いている作品。
一つの盤面に対峙する二人の騎士が将棋を通じて命を削り合う、コマを動かすまでの緊張感や、一つでも負けると這い上がるのに時間がかかるプロという厳しい勝負の世界をリアルに描いている。
色鉛筆で描いたような、羽海野チカ先生の優しいタッチとは裏腹にとても激しく生々しい将棋作品だ。

羽海野作品の真髄 魅せる表現方法

その心理描写の描きかたも、まるで文芸小説に用いられる叙述的な表現で魅せている。 一手一手、まるで素手で殴ってるような感触がした、とか、 香子はひびの入ったグラスみたいな女の子だった、とか、モノローグのように入る表現方法は、恋愛漫画を手がけてきた羽海野作品ならではだろう。

もちろんモノローグだけでなく、時には激しく気持ちを爆発させるシーンも見所だ。 とあるクリスマスの日に対局をした、零。 相手は子供を持つ父の騎士、傍らには子供へのプレゼント。しかし勝負の世界にそんなものが介入する隙はない、手を抜くなんてこともできない。
対局に勝つと相手は怪訝そうに零を睨み、まるで勝つのが悪なのかのように舌打ちをする。
その後に零が、溜めてきた心情を激しく吐露する場面があります。将棋に全てを捧げてきた零ならではの叫びを河川敷に向かって吐き出すのです。
そうした、あらゆる場面でキャラクターたちの心理や気持ちがときに叙述的に、ときに爆発的に表現されるのがこの作品の特徴だと言えます。

この作品のファンと公言する著名人も多く、スガシカオさんなど、アニメ化に際し「主題歌をかきたい」などと発言していたり、バンド「BUMP OF CHICKEN」とコラボしていたりなど、アニメ化や実写化では主題歌にも注目してみましょう!

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