私のおすすめは、「 はじめの一歩 間柴vs木村 死刑執行 」です。スポ魂大好きな方々の為にこの一作がある、といっても過言ではありません。原作は週間少年マガジンで1989年43号から現在も連載中、森川ジョージ先生の大人気ボクシング漫画です。この、「間柴vs木村」は本編の主人公、幕之内一歩の物語からスピンオフされる形で作品化されました。
登場人物の心情や背景を大切に育てた「 はじめの一歩 」というアニメ
もともと森川先生は、この原作が当たらなかったら漫画家をやめる覚悟で臨んだそうですが、連載にあたって注意したのは「登場人物の心情や背景を大事にする事」だったそうです。それが人気を呼び、こうしてスピンオフが成立するほどキャラクターの人間性がドラマを感動的に仕上げています。原作者自身が連載時に追い込まれていた事も、作品に対する情熱になっていると言えます。
製作はアニメシリーズを担当した日本テレビとバップ、監督に難波日登志氏(他にグラップラー刃牙などを監督)を起用し、一話完結で分かりやすくボクシングの魅力と迫力を伝えてくれます。
本作は2003年9月5日発売のOVA(DVD)で、TVの第一シリーズ完結後丁度2年程の歳月が流れた頃の、ファンが待望していた新作でありました(当時)。この対決がなぜ作品化されたのかといえば、ファンの読者からの「ベストバウト」との呼び声の高さからでしょう。
やはり、はじめの一歩 という作品は「チャレンジャーのひたむきな姿」こそが最も魅力的に映るアニメだと私は思います。
スポーツアニメ「 はじめの一歩 間柴vs木村 死刑執行 」のストーリー
スピード、テクニック、経験・・・。三拍子揃った上にハンサムな木村達也は、元々同じジムに所属していた宮田一郎に「武器がない」ことを指摘されます。年齢を考えると、タイトルホルダーでない事に焦りを隠せない木村。
日本ジュニアライト級のタイトルマッチを控えて、ナーバスになりながらも年下の宮田に教えを請います。
相手は主人公、幕之内一歩と新人王戦で死闘を繰り広げた間柴了。長いリーチと高速で繰り出されるフリッカージャブを武器に戦う、ジュニアライト級圧倒的王者として君臨するチャンピオンです。宮田とのスパーを繰り返す毎日に、なかなか手応えを得られずに焦る木村。しかしそんなある日、思いがけず打開策をひらめきます。新しい必殺技を携え、宮田とのスパーに臨む木村。
そして・・・。
宮田も驚くほどの成長を見せた木村はついに間柴と相対します。対戦ポスターは「死刑執行」と銘打たれ、チャンピオン有利の下馬評は相変わらずの様相です。死神と呼ばれるほどの威圧感を持った王者に、崖っぷちのボクサーの一世一代の勝負が始まります。
「負けたら引退します。」そう告げた木村。
果たして必殺の一撃は届くのか。多くの仲間が見守る中、木村の孤独な戦いに胸が震えます。
ボクシング好きでなくても、熱くのめり込む!スポ根アニメ「 はじめの一歩 」の高揚感
「 はじめの一歩 」のキャラクターとしては、鷹村守の取り巻きというか、一歩の良いお兄さんというか、ボクサーとしてハイレベルでありながら、そんな色を見せないのが木村です。そんな木村が本気になって自分の未来を切り開くために、今までにないファイトを見せます。
主人公、幕之内一歩のようなパンチの威圧感や、宮田一郎のようなカウンター、鷹村守のような天賦の才があるわけではない、いわば「並みの人」であるこのキャラクターが、この作品を見る「一般の人」にぴたりとマッチするからこそわくわくするのです。武器がないのに、戦わなくてはならない、課題の多いボクサーであり、だからこそ木村の姿勢には感動があります。
ボクシングという世界に限らず、この世界は競争に溢れていて、自分の意思とは無関係にそこに身を投じなければなければならない事もあります。そこそこは生きていけても、満足を得られない、そんな何か閉塞感を吹き飛ばすような活躍を、木村の戦いに感じるのです。
これは勝つ事を予想できる主人公というポジションや、天才という設定のキャラクターからは得られない高揚感であり、それだけにこの作品は特別な熱気を帯びているのです。
ぜひ、皆さんにご覧頂きたいアニメ作品が「 はじめの一歩 間柴vs木村 死刑執行 」と思っています。
アニメの原題:はじめの一歩 間柴vs木村 死刑執行
原作:森川ジョージ/監督:難波日登志
主な声優:藤原啓治/小山力也
製作会社:日本テレビ/VAP
公式サイト:「不明」
公開日:2003年9月5日(OVA)
上映時間:60分