「 キャプテン・フィリップス 」は民間の貨物船を舞台にした、戦争の根源を問う戦争映画だ

映画「キャプテン・フィリップス」はolivecube.comでも紹介したブラックホークダウンと同じ紛争地域のソマリアが舞台になっています。続編として製作された作品ではないのですが、時間軸はブラックホークダウンから16年後の2009年です。ブラックホークダウンはアメリカ軍特殊部隊と民兵との戦いでしたが、今回はアメリカ民間人とソマリア人海賊の戦争ヒューマン・ドラマになっています。

キャプテン・フィリップスのあらすじ

アメリカ軍人18人ソマリア人1000人以上が死亡した‘モガデッシュの戦闘‘(ブラックホークダウンの戦闘)から16年たった。アメリカ人は国へ帰ったが、ソマリアは何も変わらなかった。微力ながらも政府が発足したが、相変わらず国民は喰えない状態だった。それはあまりにも新政府の発言力が弱いため、外国人による漁業での乱獲や放射性廃棄物の海上投棄を止める事ができなかった。ソマリアの海はグローバル化の波にレイプされ殺されてしまった。特に海を生活の糧としていた漁師たちには深刻な問題であった。漁師たちは決心した。

「もう海賊になるしかない」

そんな時フィリップス(トム・ハンクス)がキャプテンを務める貨物船‘マークス・アラバマ‘がソマリア沖を航海していた。アラバマ号のクルーたちは対海賊の訓練を受けたベテランぞろいだが、銃器を持たない彼らの対抗手段には限界があった。火災用の放水設備、照明弾、アラバマ号を蛇行させた時にできる大波、物理的対抗手段はこれぐらいだ。一方海賊たちは、漁船に強力なエンジンを積みAK-47やRPGで武装している。

四人の海賊たちが、漁船に乗ってアラバマ号に襲いかかってきた。あっけあくアラバマ号に乗り移る海賊たち。機関長がアラバマ号を蛇行させ大波を立たせた。海賊の船はひとたまりもなく沈んでしまう。海賊たちはアラバマ号を制圧しないと自分の村に帰る術が無くなった。海賊のリーダー格の少年がつぶやく「もう後には引けねぇ」フィリップスは一般クルーに機関室に隠れるように指示し、海賊たちとの交渉に臨むのだが・・・

キャプテン・フィリップスのみどころ

キャプテンフィリップスの立場で観るか、ソマリア人の立場で観るかで印象の変わる映画です。冒頭ではフィリップスの普通の生活が描写されます。自分の息子の将来を心配する良きオヤジ。妻と就職先を心配しているところからどうやら、20才そこそこの息子のようです。

ソマリアの海賊たちの生活も描かれます。住居とは言い難いみすぼらしい小屋に何人もしがみつき、やっとの思いの生活を強いられており、魚も採れない今では網が無造作に打ち捨てられています。そこへ組織化されたプロの海賊が村人をスカウトにやってきます。我先に手を挙げる少年たち、ここでは‘海賊‘になる事が唯一の生きる糧になっているのです。

ブリッチで海賊たちと対面するフィリップスは驚きます。明らかに自分の息子より若い痩せこけた海賊たち。「君はいくつだ?ここにいるには若すぎるな、、、、今3万ドルある。これをもって救命ボートで帰れば私は何もしない。無かった事にしよう。」このセリフをどうとらえるか?

生まれた国のせいで海賊になってしまった少年にこれ以上罪を負わせたくないからでしょうか?それとも、今さえ切り抜ければクルーと積荷は守れる、あとは米軍と保険会社に任せれば良い。とビジネスに徹するのか?私の胸で、二つの思いが交錯します。カメラは淡々とキャプテンと海賊の対峙をとらえていきます。のちフィリップスは救命ボートに乗せられ誘拐されてしまうのですが、ここからのアメリカ政府は地球の裏側からシールズ(米海軍特殊部隊)を呼び寄せ、さらに駆逐艦とフリゲート艦も現場に急行させます。

たった一人のアメリカ人を守るために地球規模の作戦を展開せて行ます。これを頼もしく思うか?恐ろしく感じるか?相手はAK-47でしか武装していない痩せこけてた四人の若者です。

確かに武力で相手をねじ伏せる海賊行為は許されませんが、アメリカ軍もあまり変わらないのではないのでしょうか?

そしてリーダーの少年はニューヨークで裁判にかけられ、懲役33年9ヵ月の実刑判決を言い渡され現在も服役中のようです。

映画「ブラックホークダウン」ではソマリア人視点がほとんど無く、第二次大戦時アメリカ軍が製作したプロパガンダ映画に出てくる‘日本人‘のような扱いでしたが、キャプテンフィリップスは充分でないにしろソマリア人視点からも作品が見える編集・脚本に好感がもてました。

 

タイトル キャプテン・フィリップス
オリジナルタイトル:CAPTINPHILLIPS
監督 ポール・グリーングラス
出演 トム・ハンクスバーガット・アブティ
製作・配給会社 コロンビア映画
公式サイト http://bd-dvd.sonypictures.jp/captainphillips/
公開日 2013年11月29日
上映時間 134分
著作権情報 すべての映像及び画像の著作権はすべて著作者に帰属します。
タイトル及び画像の著作権はすべて著作者に帰属します。

この記事のライティング担当:こんちゃねさん

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