『 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 』は、ただの人形劇じゃないぞ!

ちょっと年齢が上の人なら知っているかもしれない伝説の人形劇「人形劇三国志」を彷彿とさせながらも、人形が繰り出すアクションと現代のアニメのCG技術をふんだんに盛り込んだ、異色のアニメーションがこの『 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 (サンダーボルトファンタジー トウリケンユウキ)』です。

原案・脚本・総監修は、『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS サイコパス』『Fate/Zero』などの作品で知られるニトロプラスの“虚淵玄”、人形操作・撮影は台湾の人形演劇「布袋劇」制作の老舗である“霹靂(ピーリー)社”。この両者のコラボレーションからこの日台合同映像企画が誕生しました。

なんでも、虚淵玄が台湾で「布袋劇」に出会い、その驚きや面白さを日本のお客さんにも伝えたいと思っていたところ、霹靂社の方からも声がかかり、今回の制作につながったそうです。詳しいことは事前特番の中で虚淵玄ご本人が話しています。

ただの人形劇と侮ってはいけない!「 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 」のストーリー

かつて、魔界の軍勢が人類を滅亡させようとした戦い「窮暮之戰(きゅうぼのせん)」の際、魔軍に対抗するために、仙人より教えを得て人類が作り出した強力な武器「神誨魔械(しんかいまかい)」。その「神誨魔械」の中でも最強の武器とされる「天刑劍(てんぎょうけん)」は護印師と呼ばれる守護者たちによって代々守られてきた。

しかしあるとき、護印師である丹衡(タンコウ)、丹翡(タンヒ)兄妹の前に天刑劍を狙う「玄鬼宗」の頭目・蔑天骸(ベツテンガイ)が現れ、兄の丹衡は死闘の末、蔑天骸に殺されたうえ、天刑劍の封印を解く鍵のひとつ・天刑劍の柄を奪われてしまう。

もうひとつの鍵・鍔を守る妹の丹翡は命からがら逃げ、行く先で凜雪鴉(リンセツア)、殤不患(ショウフカン)という二人の人物に出会い、蔑天骸の追手から命を救われる。そして、蔑天骸から天刑劍の柄を取り戻すべく、三人は旅を始めることとなる。

知略に長け、気品漂う謎多き美丈夫・凜雪鴉、異国よりやってきた流浪の剣客・殤不患。これに、弓の名手・狩雲霄(シュウンショウ)、槍(鉾)の達人・捲殘雲(ケンサンウン)、呪術の達人・刑亥(ケイガイ)など…各々の思惑を抱き集った一癖も二癖もある仲間たちも新たに加わり、蔑天骸が居を構える七罪塔を目指すことになる。

「 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 」の魅力を3つにまとめてみた

初めは「たかが人形劇でしょ?」と思ってい見始めてみたが、人形の動き、CGと実背景の奇妙な調和が、見るものすごく惹きつける。また、登場人物すべての声優マッチングも良くできていて、見始めて数分で「ただの人形劇」というイメージは払拭された。

そこで、もっと『 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 (サンダーボルトファンタジー トウリケンユウキ)』を楽しんでもらうために、視聴の際には是非注目してほしい3つポイントを挙げてみた。

人形ということを忘れてしまう神業的な迫力のアクション

剣や弓、槍などを使って戦うシーンが数多くありますが、人形でここまでの動きができるのか、と驚きの連続です。時々、それが人形だったということを忘れそうになります。

あまりの動きの素早さに、あとから録画した映像をコマ止めにして確認しましたが、目に止まらないような部分まで本当に細かくよくできています。

通常のアニメは絵ですが、これは実際の人形を使っているわけで、激しい戦闘シーンの人形の動きを人間が操作し、自由自在に空中を飛んだり跳ねたりします。シーンによってはセットや人形を破壊する、ということもあるわけです。納得がいくシーンが撮れるまで、セットを元に戻し、何度も何度も動きを繰り返すわけですから、通常のアニメにはない撮影の苦労があることは容易に想像できます。それだけに、戦闘シーンは見応えがあります。また、人形だけではなく、場面を盛り上げる風や砂、煙の演出も見事です。改めて、「え?ほんとに人形劇なの?」と感嘆します。

まるで生きているような人形の精巧な造りと豪華な衣装・武器

人形の動きだけではなく、人形そのものもこの作品の見どころです。

人形の顔は、一体一体、木から彫り出し、まぶたと唇が動く作りになっていて、キャラクターの微妙な表情を生み出しています。

キャラクターデザインはニトロプラスが率いるデザイナー陣が担当し、人形の造形アドバイザーとして、フィギュアメーカーの“グッドスマイルカンパニー”が参加しているそうです。キャラクターの平面デザインをもとに台湾のスタッフが人形の顔や体、衣装や装身具・武器などを制作しているのですが、その再現性・完成度が本当に高い。妥協なく作りこんでいるところにスタッフたちの意気込みを感じます。

公式サイトでは、キャラクターデザインと人形が見比べられる形になっています。

日台スタッフによる共同作業から生まれた、それぞれのキャラクターたちは、顔立ちや衣装ともとても美しく、精巧で人形そのものだけで十分見応えがあります。

人形に息遣いまで感じさせる、日本の実力派声優陣による絶妙なアフレコ

実は、「布袋劇」というものは本来一人の人間が全ての登場人物の声を演じて分けているそうですが、この作品ではそれぞれのキャラクターの声を日本の豪華声優陣が担当しています。

そのために、日本語で書かれた脚本を中国語、そして台湾語に翻訳し、台湾語で撮影したものを、日本の声優陣が吹き替え、という手間のかかる工程を経ているそうです。通常のアニメとは違う人形劇独特の間の取り方があり、かつ台湾語のセリフに合わせて作られた映像にどう日本語のセリフを当てていくか、声優さんの技量が問われるような試みで、日本の声優陣にとっても挑戦だったそうです。

さすが実力派の声優陣ということで、そんな難しさがあったことをまったく感じさせない、人形が話しているような実に自然なアフレコになっています。

人形の動きに合わせた声優さんの絶妙テク、ここにもぜひ注目してみてほしいです。

アクション、人形、アフレコ。どれもこれまでのアニメにはない、異色の見どころがたくさんある作品なので、人形劇にはなじみのない人にもぜひ一度見てほしいと思います。

「 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 」は一見の価値アリ!

ここまで読んで頂いて、『 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 (サンダーボルトファンタジー トウリケンユウキ)』の魅力は伝わったでしょうか?仮想と現実の区別がつかないくらいに進化した3DCG全盛の中で、あくまでも「人形で表現」というアナログな手法で映像表現する手法は、今までとは少し何かが違う「古い斬新さ」で、見る者をいろいろと刺激してくれました。

是非、あなたもこの「古い斬新さ」を堪能してみてほしいですね。

さて、今回ご紹介した『 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 (サンダーボルトファンタジー トウリケンユウキ)』ですが、放送は数量してしまっていますが、現在は最終話を含む全話ががバンダイチャンネルやhuluで配信中です。

息遣い感じさせる人形たちの一挙手一投足を、週末の夜長に一気見してみませんか?

 

タイトル 「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」
監督 原案・脚本・総監修:虚淵玄(ニトロプラス)
放送期間 TOKYO MX:毎週金曜23時~ BS11:毎週金曜23時30分~ AT-X:毎週金曜24時~
主な声優 鳥海 浩輔、諏訪部 順一、中原 麻衣、小山 力也、関 智一
製作会社 Thunderbolt Fantasy Project
その他の情報 2016年7月8日(金)より放送 放送終了
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