宇宙戦艦ヤマト (旧作)に見る、昭和という時代の責任の取り方

新作ができた事から、もう『昔のアニメ』の扱いになってしまった 宇宙戦艦ヤマト。 古い作品ではありますが人の描き方は素晴らしく、「実在するのでは」と思えるほど感情も人生観も豊かに描かれています。

今回は宇宙戦艦ヤマトから、敵味方問わず指揮官3人に登場してもらい、彼らの業務における組織別の責任の取り方を考え直してみました。

実際に会社などの組織に所属する私たちの、仕事に向き合う姿勢にも通じるものはあると言えます。

昭和感が全面にある 宇宙戦艦ヤマト

ここ最近では『宇宙戦艦ヤマト』と言えば、『宇宙戦艦ヤマト2199』を思い描く方が多いのではと思います。 現在30代の私の子どもの頃には、まだまだ旧作宇宙戦艦ヤマトの再放送がされており見る機会も多くありました。 宇宙戦艦ヤマトにハマってしまった私は、限りあるお小遣いを貯めて全ビデオを揃え何度も見返していました。

制作された時代背景や作者の思いが強く込められた宇宙戦艦ヤマトは、非常に昭和の組織と人間関係を現した作品でもあります。 悪い面では、今では大問題となる『パワハラ』『セクハラ』のシーンも多くありますが、『男のあり方』を描いた作品でもあります。

今回は宇宙戦艦ヤマトの中での指揮官、実際の会社での管理職や経営者に当たる人物の男らしい責任の取り方と、所属する組織による違いをお話しさせて頂きます。

3つの組織の管理職と責任の取り方

宇宙戦艦ヤマトの作中に登場する地球の組織『地球防衛軍』、初期の適役として登場する『ガミラス帝国』と後の友好国『ガルマンガミラス帝国』、2作目の『白色彗星帝国』の3つの組織別にその特徴をまとめてみました。

①自分の管理するチームの目標達成に重きを置く『地球防衛軍』

ヤマトが所属する地球防衛軍では、それぞれの管理職は管理下のチームの目標を達成する事に重きを置きます。

1作目のヤマトの艦長沖田十三、彼の管理下のヤマトでは『イスカンダルからコスモクリーナーを持ち帰る』事が唯一の目標です。

その為に沖田艦長は持病で死亡する可能性がありながらも、イスカンダルからコスモクリーナーを受け取り、目標の達成が確実になるまでは死なずに業務を遂行しました。

「地球か、何もかも皆懐かしい」は有名なセリフですね。

②所属する組織の目的に重きを置く『ガミラス帝国』『ガルマンガミラス帝国』

ガミラスと言えば独裁国家で、デスラー総統のご機嫌によって生き死にが決まる印象が強くあります。

事実1作目では「デスラー総統ばんざーい」と死んでしまう人物もいました。

ですが重要な場面を見返せば違う事がわかります。

1作目に登場したガミラス帝国の名将ドメル将軍、彼自身の目標は『決戦でヤマトを破る事』でした。

そしてガミラス帝国の目的は『地球への移住の障害になるヤマトの排除』です。

一見同じ目的と目標に見えますが、ドメル将軍の目標は『決戦でヤマトを破る』と方法も決めている事に対して、国としての目的はあくまで『ヤマトの排除』です。

ドメル将軍は決戦でヤマトを破る作戦が失敗に終わります。 目標が達成できなかった独裁国家の指揮官ですから、そのまま自害する人物もいる中、彼は素早く国としての目的達成の為に手段を選ばない『ヤマトの排除』に切り替えます。

結果ドメル将軍は自爆し、ヤマトは大損害を受けながらも生き残ります。

彼は自身の目標が達成できない場合も想定した準備をしていたと言って良いでしょう。

③個人の責任を重んじる『白色彗星帝国』

白色彗星帝国は民主主義的な地球や、全体主義的なガミラスと異なり、やや個人主義的な傾向にある組織です。

それは管理下のチームの目標達成でも、所属する組織の目的の為でもなく、個人の成果を第一に考えていると言えます。

宇宙戦艦ヤマト2で登場したバルゼー提督がその代表的な人物と言えるでしょう。

バルゼー提督の目標は『地球軍の全滅』、白色彗星帝国の目的は『地球の占領』にあります。 バルゼー提督は指揮下の艦隊で地球軍の全滅を図りますが、地球側の作戦によって失敗してしまいます。

ここで沖田艦長なら目標を達成する為に1度引き上げるかもしれません。 ドメル将軍でしたら『地球の占領』の為に地球軍に最大の損害を与える方法を取るでしょう。

バルゼー提督は違いました。 彼は名誉の戦死、つまり特攻を選びました。

無謀にも陣形の整った地球軍に正面から向かい戦死します。 この事からも、白色彗星帝国では個人の成果、あるいは個人責任が強く求められる組織であると言えます。

責任の取り方に正解はない

いかがでしたでしょう?

[aside type=”boader”] ・地球防衛軍は『管理下のチームの目標』
・ガミラス帝国では『組織の全体の目的』
・白色彗星帝国では『個人の成果』[/aside]

現代の日本の考え方に照らし合わせると、管理職としての責任の取り方は、部署の責任者としての地球、会社の管理者としてのガミラス、あくまでプレーヤーとしての白色彗星帝国と所属する組織で責任の所在も取り方も異なります。

それぞれ優れている点も、得意としない点もありますが、3人の管理職はそれぞれの組織にあった責任の取り方を取ったという点では共通しています。

多くの方が何らかの組織に所属する日本です、責任の取り方に正解はなく、所属する組織が何に重きを置くかで変わってくるものと言えるでしょう。

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