「キャラクターソング」とは、文字通りアニメのキャラクターが歌った曲である。今回はアニメ「デジモン」シリーズ、特に『デジモンアドベンチャー02』のキャラクターソングを取り上げたい。
子供 編
「ベストパートナー①八神太一&アグモン」より
「新しい太陽」(八神太一CV:藤田淑子)
私の中で「太一先輩の曲」と呼んでいる一曲。「02」は様々な面で「世代交代」が色濃く描かれた作品で、この曲はそれにふさわしい一曲になっている。太一から、ではなく、太一たち前の選ばれし子供たち全員から、新しい選ばれし子供たちへの想いを歌った曲にだ。
この「世代交代」を巡っての太一や他の前選ばれし子供たちの葛藤は、本編や劇場版、様々な場面で描かれる。誰だって、自分の時代が終わるのは辛いし、どこか悔しいし、そのバトンをすんなりと次へ渡せるような出来た人間はそうそういない。でもたとえバトンを渡してしまっても、自分たちのやってきた事はなかった事にはならない。
太一たちから大輔たちへ、次の世代へバトンを渡すこの曲は、いつ聴いても胸にジンとくる。
デジモン 編
「ベストパートナー⑥城戸丈&ゴマモン」より
「無敵のバタ足」(ゴマモンCV:竹内順子)
「パートナーデジモン」らしい曲で、とても好きな曲。子供たちにとってパートナーデジモンは、無条件で自分を信じてくれて、許してくれて、支えてくれる存在。どうしてそこまでするのか、きっとデジモンたち自身も深くは理解してない。「パートナーだから」という以外に、理由はいらないのだ。
この曲はゴマモンというアザラシの姿をした元気いっぱいでお調子者なデジモンが、パートナーである城戸丈への想いを真っすぐに歌った一曲だ。丈は誠実で真面目で、何でも一人で抱え込んでしまいがちな少年で、いつだって何か心配事を抱えている。そして、自分にあまり自信がない。
そんな丈に、ゴマモンは曲中ずっと「何があってもおいらは君の味方」「だからおいらの事を信じてて」と歌う。他の誰でもなく、ゴマモンの「大丈夫だよ」の一言は、きっと丈の不安を全部拭い去ってくれる魔法の言葉だ。
デュエット 編
「ベストパートナー⑫一乗寺賢&ワームモン」より
「本当の強さ」(一乗寺賢CV:朴璐美、ワームモンCV:高橋直純)
私の中で、シリーズを通して一番応援したいキャラクターだった、賢ちゃん&ワームモンコンビのデュエット曲。
子供たちとパートナーデジモンは運命的な繋がりを持っていて、当然のようにお互いを大切に想っているが、この二人がそうなる(正確にはそう戻る)までの道は、決して平坦なものではなかった。
心優しい少年だった賢は、ある出来事をきっかけに心を閉ざし、冷徹な少年になってしまう。ワームモンは日々邪険にされ、それでも賢の事が好きで好きで、「いつかきっと元に戻ってくれる」と信じ、パートナーとして彼の側に寄り添い続ける。
結果ワームモンのおかげで賢は元の心を取り戻し、途方もない遠回りを乗り越えて、二人はパートナーとしての一歩を踏み出す。辛かった日々を歌い、「それでも君はそばにいてくれたね」と歌う。「ごめん」も「ありがとう」もいらない、ただこれからようやく始まる二人の未来を祝福する、この曲はそんな曲になっている。
デジモンシリーズのキャラクターソングは名曲ぞろいで、とてもここでは紹介しきれない。もしこの記事で興味を持っていただけたなら、ぜひ他のキャラクターソングも聞いて、また機会があればシリーズも見直してみて欲しい。この記事がそのきっかけになってくれたなら、これほど嬉しい事はない。
文章:工藤順晴
[kanren postid=”67229″]