大正野球娘 は老若男女問わずオススメできるアニメです!

大正野球娘はアニメの基本をしっかり抑えて丁寧に制作された作品で、大正時代が舞台で可憐な女の子たちが野球をするという他に類を見ない作品です。それだけでなく、注意深く作品を観ると製作者たちの拘りが随所にみられて何度も観返したくなるアニメでもあります。

大正野球娘 とはどんなアニメか?

大正野球娘2009年に放送されたアニメで、J.C.STAFFが制作しました。監督は池端隆史、音楽はテレビドラマ「HERO」などでお馴染みの服部隆之を起用し、小説や漫画、ゲームなど様々なメディア展開をした作品です。

大正野球娘はタイトルに通り大正時代が舞台で、女学院に通う平均14歳の女の子たちが、男子中学野球部(現在の高校生と同じ位の年齢)と野球の試合をします。その試合に向かっていくプロセスは基本をしっかりと抑えていて、俗にいう「友情・努力」そして勝利に向かって突き進む彼女たちの姿勢が素晴らしく、大正時代という時代設定を上手く活かしたストーリー構成や、素朴ながら魅力的なキャラクターたち、場面に合った音楽なども作品に自然に溶け込み、老若男女問わずオススメのできる作品でもあります。

大正野球娘が放送された当時「けいおん」や「化物語」といった歴史に残る名作が同時期に放送されていたことも重なり、目立つことは少ない作品で世間では隠れた名作と言われています。ですが私にとって大正野球娘はアニメの歴史全体を見ても、それらの名作アニメと何ら遜色のないほどの名作だと考えています。

男子がすなるという、あれ

大正14年、洋食屋の娘「鈴川小梅」は同じ東邦星華女学院に通う学友「小笠原晶子」から「一緒に野球をしていただきたいの!」と言われ、勢いに押され野球をすることになります。晶子は小笠原家のパーティーに出席していた際に、朝香中学で野球をしている岩崎から「女性は家庭に入るべきで学歴は関係ない」と言われたことに傷つき、だったら同じ野球で勝負がしたいと考えたことでメンバーを集めていきます。

アメリカ出身の英語教師であるアンナ・カートランドに野球の指導をしてもらうことになり、野球の知識を持ち、ユニホームを制作することになる呉服屋の娘や、データを活用して野球をする頭の切れる才女などを仲間に加え、とうとう9人のメンバーが集まります。日本欧化に習い「桜花会」と名付けたチームは、岩崎の所属する朝香中学野球部に試合を申し込むが結果は惨敗に終わる。

ショックを受けた晶子は学校に来なくなり、メンバーも次第にバラバラとなり桜花会は危機に直面します。

大正野球娘

そして、歩き出す

大正野球娘は様々なスポーツを題材とした作品の王道展開が目立つ作品です。負けを力に変えて努力することや、体格も年齢も上の男子に立ち向かう姿、劣る能力を知恵やデータを使用して乗り越えようとすることなど、キャラクターも眼鏡を掛けた才女や、ホームランを簡単に打てる天才、魔球のような変化球を取得したサイドスローの投手とまさに王道的なキャラクターが登場します。

しかしそれら王道が良い意味でスケールダウンしています。

何も特殊能力を持たない女の子たちが、野球の活動写真(現在の映画)を観て野球を勉強したり、足の速さを活かす為に一塁側に近い左打席に立つなど、超人的でファンタジー要素は皆無で、自分たちの出来ることをしようとする姿が良く表現されていました。また私が本作で気に入っている点は「奥ゆかしさ」です。例えば主人公の小梅は洋食屋の娘ですが、その洋食屋には三郎という小梅より少し年上の青年が働いています。

ある話で坂道を歩く際に小梅を気遣い三郎が手を差し伸べますが、小梅は手を握るのが恥ずかしく赤面してしまいます。それを見た三郎がハンカチを使い間接的に小梅と手を繋ぐシーンがあるのですが、男女の意識が今以上に厳しい時代で、少しでも手が触れただけでお互いが赤面してしまうこと、デート一つするにも大変な時代だからこそ「奥ゆかしさ」が可愛らしく描かれている貴重なアニメ作品だと思いました。

男尊女卑の意識が強い設定の作品ですが、そこまで過激な差別的要素はありませんし、登場する男性は良い人ばかりです。岩崎も話が進むにつれて考えを改めて、全力で桜花会と野球の試合をします。他ジャンルでもそうですが、ジェンダーを描くことは非常に難しいことであり、大正野球娘では平和的に上手く描写されていますから、幅広い世代で性別関係なく観やすい作品ではないでしょうか。

大正野球娘の時代に生きた人々は、これから戦争などの激動の時代を生きていくことになり、100年以上も昔の話なので現在はほとんどの方が亡くなっているでしょう。その事実と作中の登場人物たちがこれから生きていく境遇を考えてしまうと、あれだけ一生懸命野球に取り組んでいた彼女たちを含めて「大正野球娘」に登場する全ての人物たちのことが愛おしく思えて切なくなります。

タイトル 大正野球娘
監督 池端隆史
放送期間 2008年9月号 – 2011年4月号 一話約30分、全12話
主な声優 鈴川小梅(伊藤かな恵)、小笠原晶子(中原麻衣)
製作会社 J.C.STAFF
その他の情報 http://www.tbs.co.jp/anime/taisho/
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