キノの旅 -the Animated Series-6話目「雲の中で」。突然の白い靄の中で、キノとエルメスの会話から物語はゆっくりと始まります。
キノの「ほんの少しの知識だ、ほんの少し知っていればよかったんだ」という言葉が大事なポイントとなります!まず言わせてもらいます。今回は、キノの話ではありませんでした!
大自然の中で野営する集団の、ある女の子の話。
その子は、旅の一団と共に旅をしていました。野営をしている一団は、身なりの良い格好をしています。が、一人だけみすぼらしい格好の女の子が。
そう、彼女が今回のヒロイン。首輪で鎖と繋がっている彼女は、奴隷としてこの一団と旅をしていました。彼女は前の国で、払いが足りないからと差し出された奴隷なのです。
信じられない!なんて酷い国だ!と、思ったら、案外女の子はすんなりとその状況を受け止めている様子。中高年の男とまだ若い男の二人が、暇潰しか、興味本位で女の子に話しかけ、性根の悪い質問をします。
俺達や、売ったやつらをどう思う?、と。
すると彼女は答えます。
「どんなときも人を憎んではいけません。それが真理ですから。私にとっていい運命が開けるんだと、私はきっと試されているんだと思います」。
奴隷の運命を受け入れる女の子
奴隷という自分の境遇を、彼女は運命だと受け入れているのです。それは、彼女が育った国が宗教国家だったことが原因だと思います。男達は、女の子に更にいろいろと質問を投げかけます。
恨んだり憎んだり、殺してやりたいと思わないのか?と、普通ならば持つであろう感情を。
しかし彼女の答えはNO。
すっかり国の宗教に染められた女の子は、聖女のような言葉を並べます。それを聞いていた男達は、あきれ果てその場を去りました。
女の子は言う。「いいえ、世界は素晴らしいと思います。」
奴隷の女の子は、その後食事の手伝いなどを命じられます。料理に使う草を川で洗っていた女の子は、ふと手を止めます。何かを思いだしそうになりますが、結局は思い出せずに諦めます。
この集団の中で、彼女の味方はだれひとりおらず、集団の女性達からも「おい、奴隷!」と下げ荒まれ、疎まれ、そして酷使されます。
食事の用意が終わり、皆が席について食事を始めたその時、女の子は料理に使う草が「毒草」である事を思い出します。戦慄が走る女の子ですが、あまりの急な状況の変化に対応できないのか、声を出さずにいます。そして、自分も毒草の入った食事を口に運び、この集団と共に死ぬ事を選ぶ決断をします。
薄れる意識の中で女の子が聞いたもの
その時、毒草が入った女の子の容器が、唐突に地面に転げ落ちます。集団の長の息子が、女の子に石を投げつけたのです。
「あの奴隷、まるでブタみたいにスプーンを使わずにスープを飲もうとした。だから石を投げてやった。お父様、僕は間違っていますか?」
「いいや。その通りだ。」と同意する父。
それでいても、彼らの食事を止めさせようとする女の子。そんな女の子に更に大きな石が投げつけられ、女の子は意識が遠のきます。
薄れる意識の中で彼女が聞いた言葉とは、あまりにも残酷で無慈悲な言葉でした。
あの奴隷を安く売ってください。
息子は自分の父親にこう申し出ました。そして息子はこう続けます。
「殺します。戦える立派な男になる為に。」
「あれを散々痛めつけて、その後手足を打って、それから腹を切り開いて、殺します。」
そう言い放つ息子に対して父親は、奴隷を譲ることに同意します。そして、息子のおの考え方に対して、「成長した」と捉えます。この集団の他の人々も、この考え方に大いに成長を喜んでいる様子です。二人を覗除いては・・・。
彼らの発言を聞いた女の子は、大きな事を、まるで獣の遠吠えのような雄叫びを叫び続ける。
「あの気味の悪い声を黙らせろ!」
そう怒鳴る息子の父親だが、その時集団に異変が訪れる。
キノの旅 -the Animated Series- 第二期 6話目「雲の中で」
この後、女の子は数奇な運命を辿ることとなります。奴隷も自分の運命だと受け入れた女の子。運命の歯車が激しく回り出す展開。
今回も非常に深いテーマで幕を閉じます。今回のストーリーで感銘を受けたセリフは、
「死ぬにはどうしたらいいの?」という奴隷の女の子に対しての回答が、最高のフレーズでした。
ぜひ、今回のキノの旅もご覧下さい。
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