『GANTZ』で知られる奥浩哉先生の描く、『 いぬやしき 』。主人公がおじいちゃんだったり、衝撃的なシーンが連発したり、アニメ化前から話題になっていた作品でした。
2018年4月20日には実写映画の公開も決まっていますが、アニメは終了――ということで、感想・レビューのラストにこの話題作をまとめてみようと思います。
真逆だけどどこか似ている2人
『いぬやしき』を代表する2人のキャラクター。犬屋敷 壱郎 と 獅子神 皓(以下ヒロ)。
2人は偶然同じ公園にいて、偶然にも宇宙人の事故に巻き込まれ――目が覚めたら兵器ユニットに改造されていました。
ビームを撃ったり、ハッキングしたり、車や飛行機を遠隔操作したり、スマホを頭に取り込んだり、物凄い技術を持つ機械の身体です。
そんな超超ハイテクボディを、壱郎は人助けに、ヒロは殺しに使いました。

一見間逆な2人ですが、“機械になった自分が人間なのだと実感したい”という想いが根っこにあり、行動している――という部分は同じです。
また、ヒロが母親やしおんの愛を受け、殺しをやめていた間――人を救うために動いていた壱郎の方が、対ヒロを想定し兵器としての機能を使っていたのも面白いです。
そして、壱郎がビームの練習をしている間、今度はヒロが人の命を救いはじめ……。
機能を使いこなすヒロと、なかなか使いこなせない壱郎。こちらも対比です。
犬屋敷 壱郎 と 獅子神 皓。2人と共通点と間逆な点を複数持つ、面白いキャラクターです。
安堂直行という架け橋

そんな2人を繋ぐのは、安堂直行という少年。
ヒロの幼馴染であり、壱郎の行為に感動し彼をサポートすることになった協力者です。
ヒロは平気で人を殺す面を持ちつつも、身近な人間にのみ愛を抱くという人間らしい(?)面も持ちます。
そんなヒロは直行のことを心配し、大事に思っていました。
それ故に、2人に挟まれる直行の心情は複雑だったと思います。
最終回ではヒロに対し、「殺人機械だ」と彼を否定しました。しかし、その後にヒロの想いを知り後悔するシーン。胸が締め付けられます。
また、超ハイテクなはずの壱郎より、彼の身体を理解している直行。
40以上の年の差があるのに、友人のような付き合いをする2人。
そんな姿はシュールであり、同時に心温まるものも感じました。
安堂直行という存在が、このアニメにおいては癒やしにもなりました。
と考えると、役割以上に重要なキャラクターだったのではないでしょうか。
リアルな人間描写
『いぬやしき』の凄いところは、3人の関係性や対比だけではありません。
クズいことをする人間や、一連の事件を他人事のように眺める市民など、モブキャラクター達のセリフや行動がリアルな点です。
表情の変化やセリフの間もうまく描かれているのですが、こちらは原作の方がわかりやすいです。
アニメを観て面白いと思った方は、原作もぜひ。一部カットされたシーンもあります。
放送ギリギリ(?)な名シーンの数々

放送ギリギリだったんじゃないか――と思えるような、衝撃的なシーンもたくさんありました。
序盤、ヒロが一般家庭に侵入し殺していくシーン。
俗に言う“ムナクソ注意”なシーンですが、印象に残るシーンでした。
警察署襲撃や、2ちゃんねらー襲撃シーン。
これは創作物だからこそ感じられる爽快感もありました。
結局は殺人なので、このシーンにも胸が痛んだ方もいるでしょうが……。そこは賛否両論ということで。
そして、新宿での乱射。飛行機墜落。
最近は深夜アニメも海外で配信されています。なにかと問題視されそうなシーンでしたが、原作のままやってくれました。
悲惨な展開も多かったですが、だからこそ「これどうなるんだ?」と先が気になる構成にもなっています。

とまあいろいろ見どころはあったわけですが……やはり一番の見所は、「愛」とはなにかと考えさせられる点でしょうか。
機械になってしまったから、もう本人ではないナニかなのか。
だけど、機械になったことで壱郎は家族との絆を深めました。生まれてきた意味も知りました。
ヒロとしおん。こちらは歪んだ愛でもありましたが、愛は愛です。
さまざまな愛や、どこからが人間なのか等、深いテーマも描かれていました。
本当に、いろいろ考えさせられるアニメです。
そんな『いぬやしき』を描いた奥浩哉先生。現在はビッグコミックスペリオールにて新作を連載中。
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