よくぞリメイクしてくれた。
おそ松さん 第2期 第17話「 イヤミはひとり風の中 」
時は昭和。戦後の復興に活気づく街の中で、イヤミは1人、働きもしないろくでなしとして暮らしていた。
町の人々からも白い目を向けられる日々だが、ある日、路上で花を売るお菊という少女と出会う。
空襲で両親を亡くし、自らの視力も失いながらも懸命に生きようとするお菊のひたむきさと純粋さに心打たれたイヤミは、お菊の目を治療すべく懸命に働き始める。
2クール目に入ってからいい話、多くない!?
今回、涙を流さず見終われた視聴者はどれくらいいらっしゃったんでしょうか!!筆者は朝から号泣でした!!
なんていうか、2期1クール目は「以前の勢いがない」とか「下ネタが多すぎてちょっとキツい」とか言われているのを散見していましたが、2クール目に入ってから、魅せる話が多くないですか!?
先週の「 旅館 」ももちろんですが、16話の「 となりのかわい子ちゃん 」、15話「 カラ松タクシー 」、14話の「 実松さん 」あたりが、下ネタを控えて笑いも添えつつかなり魅せてくれる作品だと思います。
今回はろくでなしとして煙たがられていたイヤミが、お菊ちゃんと出会うことで無償の愛に目覚め、自分は一銭も使うことなく金策に奔走する。
それだけでなく、周囲がイヤミを見る目も変わり、イヤミの懇願に対してなにもできない自分たちを心苦しく思っている様子。そしてチビ太が無力感から助けを求めた際、各自が屋内から聞き耳を立てて状況を窺っていたことを窺わせる即座の助太刀。
登場人物の誰もがいい人間であるということが、安心して応援できた最大のポイントですね!!
「 おそ松くん 」からの素晴らしいリメイク
もう知っていらっしゃる方も多いかと思いますが、今回の「 イヤミはひとり風の中 」という作品は、原作「 おそ松くん 」の中でも屈指の名作と謳われる話。
単独でOVA化もされたほどで、現在もAmazonなどでDVDを入手することができます(その際は「赤塚不二夫アニメコレクション 映画・TVスペシャル・OVA豪華13本立てなのだ!」で検索してください)。
原作では江戸時代が舞台となっていたんですが、視聴者にとってより身近、且つ若い視聴者には経験のない時代にシフトさせてのリメイクとなりました。
チビ太がイヤミの仕事を邪魔しない、6つ子たちがチビ太の取り巻きとして活躍するなど随所にアレンジが加えられ、「 おそ松さん 」らしい仕上がりになっているのがよかったです。
そう、「 おそ松さん 」に登場するチビ太なら、きっと懸命に仕事している努力を邪魔はしないと思います。
あとはお菊ちゃんの治療代が足りないことを知って雨の中懇願するイヤミを見ていたおそ松兄さんが真っ先にチビ太のところに行くところですね!
「 おそ松さん 」のおそ松兄さんなら!クズだけど!こういうときはこう動いてくれるよね!!という、なんていうか信頼感を履行してくれた感じが嬉しかった!!
今回、徹底して視聴者を本編に集中させようという試みが見られたのも素晴らしかったです。OPはもはやタイトルを表示する程度!さらにEDは流れず、出所したイヤミがもはや見覚えもなくなった町を歩く姿を背景にクレジットが流れるのみ!
クレジットが流れた後、お菊ちゃんが元気に花屋を営んでいる姿を見て、しかも屋号にイヤミの名を冠しているのを見て号泣しても、なにも言わずその場を去って行く姿がまたよかったです。
原作だとイヤミとお菊ちゃんは話をするんですよね。だけど今回、イヤミはその選択をしなかった。
お菊ちゃんの中で培われた「イヤミおじさん」の偶像を壊さないように、せめて彼女の中では美しい思い出のままでいようとしたのか。それとも、お菊ちゃんが恩を感じて万が一にも自分に救いの手を差し伸べたりしないようになのか。
解釈は分かれるところかと思いますが、一本の短編映画を見た気分にさせてくれる作品でした。
しっとり見させてくれた分、来週はいつものアホな6つ子が見られるといいなーという期待も高まります!
すでに一松が予告でやらかしてくれていますがね!!
……あ、そういえば皆さん、今年のバレンタインは誰にあげるんですかね??