蟲師を観れば生きるヒントが見つかるかも!主人公「ギンコ」と「露を吸う群」の紹介&考察

蟲師を観れば生きるヒントが見つかるかも!主人公「ギンコ」と「露を吸う群」の紹介&考察

春になり学校の新学期や、新社会人として新たな生活を始めようとする方が多いはずです。しかしこれから辛いことがあったり、生き方について悩む時期が来ると思います。そうした時に観てほしいアニメが「 蟲師 」です。蟲師を観れば生きるヒントをみつけることができるかもしれません。

蟲師 って何?

蟲師は漆原友紀原作、月間アフタヌーンで連載されていた作品で、2005年にアニメ化し、2014年には第2期にあたる「蟲師続章」が放送されました。オムニバス形式の1話完結を基本とした構成で、各話でBGMも異なります。

この作品は日本のメディア芸術100選アニメーション部門で、錚々たる名作アニメーション作品たちの中から第6位に選ばれています。(ちなみに原作はマンガ部門で9位)また、海外でも人気が高く、好きなアニメランキングなどで頻繁に上位にランクインされる作品でもあります。「蟲師」はアニメ制作側から大切にされている作品で、監督の長濱博史さんをはじめ、各スタッフに愛されていることがスタッフインタビューなどを聴いても伝わってきました。

今回はそんな皆から愛される「蟲師」の主人公である「ギンコ」と「露を吸う群」という1期で放送された物語をピックアップし、考察も少ししていきたいと思います。(若干ネタバレがあるので気になる方は注意してくださいね)

蟲師 を観れば生きるヒントが見つかるかも!主人公「ギンコ」と「露を吸う群」の紹介&考察
画像引用元:©漆原友紀/講談社・アニプレックス

蟲を愛する蟲師「ギンコ」

そもそも蟲とは何かと言うと、虫や動植物とはまるで違うもの、生命の原生体に近いものを指し、蟲が見える体質の者と見えない者が存在します。蟲には様々な種類がいて、動植物に寄生する蟲や、雨、虹といった自然現象を含む蟲(通称ナガレモノ)などがあり、それらは人間にとって悪影響となることや、動植物にとって生命を脅かす蟲も存在します。そのような蟲が絡む問題を解決するための専門職を「蟲師」といいます。蟲師の世界は「鎖国前の日本」のイメージに近い雰囲気があり、登場人物たちも皆が着物を着ています。

ですがギンコは白髪で緑色の眼にズボンにシャツを着ていて、どこか浮世離れした雰囲気があります。また、ギンコは生来蟲を寄せる体質なので、いつも蟲タバコ(煙が蟲を寄せ付けない効果がある)を吸って旅をしています。ギンコは他の蟲師と違い、例えば人間に理不尽な害をもたらす蟲に対しても「不幸な巡り合わせが起きただけだ」という考えを持ちます。

ですから殺生を嫌い、動植物と蟲が出来るだけ共存することを望む姿勢があるのです。私がギンコに感銘を受けたのが「説得力」です。前述の通りどうしても蟲が原因で、村八分にされてしまう人や、限られた条件でしか生活できない者が出てきます。そのような人間や、蟲を憎む人間たちを説得し納得させて治療、解決策を考えていく姿勢が本物のプロフェッショナルで、「不幸な巡り合わせ」もそうですが、ギンコの蟲と真剣に対峙し愛するからこそのシンプルな言葉には説得力があり、ハッとさせられますよ。

見知らぬ土地の人間に気さくに話かける陽気さや、のんびりとした立ち振る舞いも魅力的で、ギンコの表情変化や動作はゆっくりと落ち着いていますが、蟲を含む物事に対しての考え方や姿勢はどこか「熱血漢」のある主人公だと感じました。

「露を吸う群」を観て、生き方を考えさせられた

蟲師を観れば生きるヒントが見つかるかも!主人公「ギンコ」と「露を吸う群」
画像引用元:©漆原友紀/講談社・アニプレックス

この話は、複雑な潮目で僅かな時間しか入れない孤島が舞台です。島では生き神信仰が行われ、一日で老人になり衰え、また元の姿に戻るという奇跡が起きる人間が住んでいると言われています。

そうした人間を生き神として称え、島で取れる僅かな野菜や米を供え物として提供し、島では苦しい生活をする人がたくさんいます。少年「ナギ」は、そんな生き神を悪用している当主の娘「あこや」の治療をギンコに依頼します。生き神の原因は人間の鼻腔に寄生する蟲で、ヒルガオに似た香りの強い花を吸うことにより寄生することが分かりました。

治療法も見つかり、あこやも元に戻りますが元気がありません。ギンコが気さくに話かけますが、「恐ろしいの、目が覚めても昨日までの同じ現実の続きが待っている。あてどない膨大な時間に足がすくむ」と言います。

あこやに寄生していた蟲は、寄生した動物の体内時間を同調させる蟲でした。

その蟲の一生は約一日、蟲の生涯をあこやは毎日のように体験していて「毎日が新鮮で心が満たされていたの」とあこやは嘆きます。この物語は非常に切ない結末を迎えることになります。蟲を悪用していたあこやの父親が島民に殺されることにより、あこやがまた花を吸ってしまいます。もう治療をしても無駄な位に深く寄生されてしまい、もう元には戻れません。

「向こうなら生きていけるの」というあこやの最後の言葉がとても悲しく、私たち現実の社会でも学校や仕事、日々の生活の中で辛いことがあったり悩んだり、どこか遠くに逃げ出したいと考えてしまうことがありますよね。

元に戻ったあこやよりも、蟲に寄生され生き神として生きていたあこやの方が幸せそうな表情をしている所が、考えさせられ心に突き刺さりました。島にいた生き神たちを治療しても、ほとんどがあこやと同じようにまた花を吸って生き神に戻っている現状で、物語の最後にナギが「これから何を糧に生きていけば良いのか分からない」という言葉にギンコが「普通に生きればいい」と言います。

島の岩を削れば船を出せる回数も増えるだろうと、そしてそれは決して容易なことではありません。しかし「お前の目の前には、果てしなく膨大な時間が流れているのだから」というギンコの言葉に何だか救われた気持ちになりました。「普通に生きる」ことは簡単なようで難しいですよね。

ですが普通に生きようとすることは出来ます。「露を吸う群」を観て私は、これからの少ないか長いか分からない人生、あこやが言っていた「果てしなく膨大な時間」に足がすくむことがあるかもしれないけれど、一生懸命に生きようと思ったし、生き方についても考えさせられました。

タイトル 蟲師
監督 長濱博史
放送期間 2005年
主な声優 ギンコ(中野裕斗)
製作会社 アートランド
その他の情報 http://www.mushishi-anime.com/

蟲師|疲れた時は心をからっぽにして見てはどうでしょう?

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