髪フェチ、脚フェチ、ほくろフェチ、声フェチ・・・
元々は宗教用語の“フェティシズム”という言葉から生まれたこの「フェチ」という言葉は、今や“自分が特にグッと来るポイント”としてすっかり浸透した言葉になっています。
実はアニメーション界にもそんな「フェチ」をテーマにした作品が登場したのをご存知でしょうか。
その名も『 こんぷれっくす×コンプレックス 』!
この作品でも、とあるフェチが取り上げられているのですが、そのフェチと言うのがワキ毛フェチ!
ワキ毛フェチ、と言われてピンと来る人とピンと来ない人に分かれるとは思いますが、果たしてこの作品がワキ毛フェチをどうピックアップしているのか、そもそもどんな作品なのか、を紹介します。
中編アニメ『 こんぷれっくす×コンプレックス 』
『 こんぷれっくす×コンプレックス 』は2017年に公開された24分の中編アニメーション作品。監督はふくだみゆきさん。完全自主制作のFlashアニメーションで作られた作品です。
主人公の小谷ゆいは中学二年生の女の子。ゆいは、学校のプールの時間に同じクラスメイトの男子のワキ毛に見とれてしまうほどのワキ毛フェチです。ゆいは、そんな自分にコンプレックスを抱えており、周りには言えずにいたのですが、たまたま憧れのワキ毛を持つ男子と仲良くなったのをきっかけに、そのコンプレックスが転機を迎える…というお話です。
『 こんぷれっくす×コンプレックス 』の素朴な魅力
『こんぷれっくす×コンプレックス』の魅力の一つが、その素朴さです。
ワキ毛フェチの女の子と、クラスメイトの男の子という本当に小さな世界での物語ではあるのですが、そのミニマムな世界が逆にリアルで、本作の物語に共感しやすくなっています。
また、本作はプレスコ方式(セリフを先に収録してからアニメーション制作する手法)となっている他、主人公の小谷ゆい役を演じた林奏絵さん他主要キャストも、声優経験のほとんどない若手の方々がオーディションで選出されており、独特のセリフ回しなどが、とても自然に感じられて、本当の学生たちの会話を聞いているかのような臨場感がありました。
実は恋愛アニメ映画でもある?
忘れてはいけない要素として、『 こんぷれっくす×コンプレックス 』には恋愛の要素も絡んでくるという特徴があります。そしてこの恋愛の要素がまた、今作の非常に面白い隠し味となっています。
思春期の男女の親交といえば、「好き」とか「嫌い」といった交際の話になってくるのが相場なわけですが、今作のテーマにもなる「フェチ」というのが、そういった恋愛における「好き」と同じものなのかという問題があります。
ワキ毛フェチという、大胆な導入の仕方で男子との交友を深めていく主人公のゆいちゃんが、フェチをきっかけに深めていく縁の中でどんな心境の変化を経ていくのか、という点が本作の大きな見どころと言っていいでしょう。
毎日映画コンクールのアニメーション映画賞を受賞!
そして、この『こんぷれっくす×コンプレックス』、実はとても大きなプライズを得ている作品でもあります。それは毎日映画コンクールのアニメーション映画賞!
2018年で第72回を迎える毎日映画コンクールのアニメ部門にて見事受賞を果たしているのです!
この毎日映画コンクールのアニメーション映画賞、知らない人にはピンと来ない賞かもしれませんが、実は非常に箔のある賞です。前年の第71回では『君の名は。』が受賞するなど、メジャーシーンで活躍するアニメーション映画が受賞していたような賞なのですが、その賞を初めて自主制作映画で受賞した作品がこの『こんぷれっくす×コンプレックス』なのです。本当に快挙といえる受賞を実現しました。
ということでこれだけ後ろ盾をご紹介させていただいたので、まだ観ていない人もぜひ観ておいた方がいい一本ということが伝わったのではないでしょうか。中編ということでなかなか映画館などで上映される機会も限られてしまう作品ではありますが、観れるチャンスがあった時はぜひ見逃さないで欲しい一本です。
これを観れば、あなたの抱えるコンプレックスも解消される……なんてこともあるかもしれませんよ?
ワキ毛青春アニメ「こんぷれっくす×コンプレックス」公式サイト:https://www.wakige-anime.com/