TVアニメ『 多田くんは恋をしない 』第10話「本物、じゃないよな」【感想コラム】

TVアニメ『多田くんは恋をしない』感想コラム・総括 ~続きが気になる!現代版『ローマの休日』が描く恋と青春の物語~

2018年春アニメもたくさんのアニメが放送されましたね。日常アニメやゲーム原作アニメ、ジャンプ作品アニメなど、本当に様々なアニメが放送されていました。筆者はそんな2018年アニメたちの多くを見ましたが、みなさんはどうでしたでしょうか?

さて、今期のアニメの中で筆者が感想コラムを書かせていただいていた作品は『 多田くんは恋をしない 』でした。放送前はアニメ『月刊少女野崎くん』のスタッフが再集結したオリジナルアニメということでアニメファンの注目を集めていたように思います。あれももう3ヶ月前のことになるんですよ。時がたつのは早いですね…

放送前から注目を集めていた本作ですが、放送がはじまってからは多田くんとテレサの関係がどのような結末を迎えるのかという点に注目の的が移っていましたね。筆者もどうなるのかが心配でした。「これは恋が実らないまま終幕かな?」と思っていましたが、最終的にはハッピーエンドっぽい幕引きを見せてくれましたね。良かった良かった。

今回は、そんな本作の感想コラムの締めくくりとして総括をさせていただきます。筆者個人としてはアニメ『多田くんは恋をしない』にいろいろと考えることがあったので、本作の魅力とともに伝えたいと思います。全13話を見た人だけでなく、見たことがないという人にも読んでもらいたいと思っています。そして、この総括を読んだことで『多田くんは恋をしない』に興味を持ってくれる人が出てきてくれれば嬉しく思います。

それでは書いてゆきましょう!

久しぶりの超王道ラブコメ

TVアニメ『 多田くんは恋をしない 』第6話「雨男、じゃないぞ」【感想コラム】
画像引用元:©TADAKOI PARTNERS

『 多田くんは恋をしない 』は最近ではなかなかお目にかかることがなかった王道のラブコメ作品だったのではないかと思います。第1話の運命的な出会いであったり、多田くんとテレサがお互いの共通点を見つけてときめいたりするところなんて、実にベタな展開でしたね。

こういったベタなラブコメに対して、「なんだかんだ言ってもやっぱり王道ラブコメはイイね!」という意見や、「先の展開が予想できちゃうからワクワク感を持って見ることができない」という意見が出ていましたね。どちらの意見も頷けます。

そういえば、この作品に強く王道ラブコメ感を抱くのはどうしてなんでしょうね?

ちょっと考えて思ったのが、『多田くんは恋をしない』の随所に『ローマの休日』を感じるからではないでしょうか。本作を視聴し、毎週コラムを書いていてひしひしと感じましたが、『多田くんは恋をしない』は至る所に『ローマの休日』的な要素を感じます。

わかりやすいところで言うと、多田くんとテレサのキャラクターと関係性がどことなく『ローマの休日』のメインキャラクター2人に似ているところですね。多田くんは新聞記者のジョー、テレサは欧州親善旅行でローマに来訪していたアン王女をモチーフにしているように思います。

多田くんとテレサの2人に『ローマの休日』を感じるシーンはOPにもあります。サビに入ってすぐのスクーターに乗る2人は『ローマの休日』を意識しているとしか考えられません。『ローマの休日』といえばジョーとアン王女がスクーターで2人乗りをしてローマの街を巡るシーンですよね。

それこそ、第10話のデート回はローマの街を巡るシーンを多田くんとテレサに当てはめたお話ではないでしょうか?テレサの従者的なポジションにいるアレク抜きでデートをしたところもポイントですよね。多田くんとテレサがはじめて2人きりでお出かけをしたのが第10話ですから。もう、見れば見るほど『ローマの休日』を感じます。

ここまで書いてきたように、アニメの随所に往年の名作映画『ローマの休日』と重なる部分があることも相まって王道感を強く感じるのではないかと思います。

繊細に描かれた心の揺れ動き

TVアニメ『 多田くんは恋をしない 』第10話「本物、じゃないよな」【感想コラム】
画像引用元:©TADAKOI PARTNERS

『多田くんは恋をしない』は全編を通じてキャラクターの心理描写が丁寧だったように思います。キャラクターが話すセリフやしぐさ、劇伴などの音楽が各キャラクターの情動を本当に細かく描いていました。

たとえば、第11話~13話の多田くんが見せた感情溢れる感じが最高でしたね。第10話までの多田くんは感情を表に出すことが少ないキャラクターでしたが、第11話以降はすごかったです。特に、第11話の多田くんバージョンの「ラブソング」が流れたときはこれまで抑えていた(無意識に?)想いが爆発していましたね。

テレサの心の揺れ動きも細かく描かれていましたね。多田くんに心惹かれるシーンで目がキラッと輝いたり、それに合わせて空の曇りが晴れ、虹がかかったりしていました。感情表現が豊かなテレサは声色や表情から感情の動きが描かれていたように思います。

この2人以外のキャラクターもいろいろなところから感情が描かれていました。わかりやすいものならアレクのしぐさがありますよね。嘘をつくときに腕をさするアレです。アレクはポーカーフェイスで表情から感情の変化が読み取りにくいキャラクターでしたが、その分クセやしぐさといった動きを使って心理描写をしていたように思います。

この先の物語を見たくなる幕引きと未回収エピソード

TVアニメ『 多田くんは恋をしない 』第8話「雨女だったっけ?」【感想コラム】
画像引用元:©TADAKOI PARTNERS

さて、本作のラストは多田くんとテレサが抱き合い、熱いキスを交わすというハッピーエンドで幕を閉じましたね。はじめて出会ったとき、1年前はファインダー越しの君だったテレサが、今は隣にいるということを意識させるシーンがとても印象的でした。

このラストシーンでは、『ローマの休日』で描かれることがなかった成就した恋が描かれていました。これによって、『多田くんは恋をしない』という作品に「2人のこれから」の存在が生まれたように思います。そうなると、その「2人のこれから」が気になってしまいますよね。アフターストーリー、見たいです。

あとは、多田くんとテレサ以外のカップリングがどうなったのかが気になりますね。メインカップリングの2人のエピソードを回収する物語となっていたため仕方ありませんが、アニメの前半にキャラクター同士のカップリングをチラ見せしたのなら、そのカップリングを描いてほしいと思っちゃいます。

どんな形でもいいので、多田くんとテレサ以外のカップリングのエピソードを描いてもらいたいですね。特に、アレクの恋がどうなるのか気になりますね。シャルルへの想いが実るのか、伊集院とのエピソードがなにかしら進展するのか、めちゃくちゃ見たいです。

影の立役者・伊集院が果たした役割

TVアニメ『 多田くんは恋をしない 』第11話「特には何も」【感想コラム】
画像引用元:©TADAKOI PARTNERS

筆者が思う本作のキーパーソンは伊集院ですね。彼の存在はこの物語をテンポ良く進め、キレイに着地するために必要不可欠なものであったと思います。

ボケとツッコミの双方をこなすコメディの要としてアニメのテンポアップの起点となったり、キャラクター同士の関係をつなぐムードメーカーとなったりしており、物語のメリハリをつけてくれていました。また、主人公・多田くんを支えるシーンが多く、終盤はテレサに想いを伝える後押しをしたり、多田くんを追ってラルセンブルクに行ったりしていましたね。なんというか、イイ奴ですよね。

アニメ制作陣的な観点から見ると、伊集院というキャラクターは本当に動かしやすいキャラクターだったのではないかと思います。多田くんの口数が少ないのをカバーするようにしゃべり倒していましたが、なにかと状況などを説明するシーンが多かったですね。ベラベラとしゃべるキャラクターなので、制作側が何かを説明したいときに上手く立ち回ってくれていたように思います。

あと、個人的にはアレクとの絡みのなかでアレクのかわいい面を引き出してくれていたのが素晴らしかったですね。ありがとうございます。

気になる点も残っているけど、キレイな着地を見せてくれた『 多田くんは恋をしない 』

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いかがでしたでしょうか?

久しぶりの王道ラブコメとして堂々たる終幕を見せてくれた『多田くんは恋をしない』。みなさんは楽しみましたか?ここまでベタなラブコメ作品、しかもオリジナルアニメはここ最近なかったので、筆者的にはある意味新鮮に感じました。

本作のキャッチコピー「この恋を、一生忘れない」や公式HPの意味深なキービジュアル、『ローマの休日』的な要素が随所に見えたため、多田くんとテレサの恋が実らないのではないかと思って戦々恐々としていましたが、2人の恋がハッピーエンドになってホッとしました。レイチェルも言っていましたが、物語はやっぱりハッピーエンドがいいですよね~。

『多田くんは恋をしない』の物語は一旦ここで終わります。ですが、アフターストーリーや多田くんとテレサ以外のカップリングによるサイドエピソードも気になるところです。先日アニメの最終回が放送されたばかりではありますが、今後の展開が楽しみですね。

これからも『 多田くんは恋をしない 』に注目しなければなりませんね!

多田くんは恋をしない 感想 のまとめ

TVアニメ『 多田くんは恋をしない 』第10話「本物、じゃないよな」【感想コラム】
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