現在、第2シーズンが放送中のバーチャルアニメ『 One Roomセカンドシーズン 』。かなり特殊な、この短編アニメシリーズの魅力を、こちらでご紹介します。
アニメキャラがこちらに話しかけてくる!『One Room』シリーズ!
『One Room』は、良質なショートアニメを数多く手掛ける「スマイラル・アニメーション」の制作による5分アニメですが、この作品は「バーチャルアニメ」と銘打っているように、登場人物の女の子が、視聴者であるこちらに向かって直接話しかけてくるため、まるで一対一のデートをしているような気分が楽しめるという、大変珍しいタイプの作品となっています。
昨年(2017年)の1月には第1シーズンが放送され、同じく4月からは、女性向けの作品『Room Mate』が放送されて話題となりました。
また、従来のラブコメやハーレムものによくある、最終的に誰か一人、ヒロインを選ばなければならないというストレスがないことも特徴の一つです。
本作にはシーズンごとに三人の女の子が登場しますが、大体4話で一人の女の子とのエピソードを描くと、がらっと設定を変えて、別のキャラクターとのお話になるので、作品内で女の子同士がけんかをしたり、メインヒロイン以外の女の子が浮かばれない、なんていう悲しいことにはなりません。
つまり、『SCHOOL DAYS』のようなことには絶対ならないので、安心してデートを楽しむことができます。
このキャラがかわいい!花坂結衣ちゃん!
ファーストシーズンの女の子は、自分のアパートの隣に引っ越してくる後輩キャラの「花坂結衣(はなさか ゆい)ちゃん / CV:M・A・Oさん・・・以下敬称略」。
世話焼きな妹の「桃原奈月(ももはら なつき)ちゃん / CV:村川梨衣」。
ミュージシャンを目指して都会で頑張っている、お姉さんキャラの「青島萌香(あおしま もか)ちゃん / CV:三森すずこ」の三人でした。
このなかで一番人気の高かった花坂結衣ちゃんは、引き続きセカンドシーズンにも登場します。
前回はまだ受験生だった彼女とは、冬のある日、一人暮らしのアパートの部屋(もちろんワンルーム)で勉強を教えてあげたり、近くの銭湯に連れて行ってあげたりと、ドキドキの毎日を一緒に送りましたが、今回は季節は夏で、もう大学一年生になっています。
そして放送開始、わずか10秒で海に連れて行ってくれます!
この余計なことが一切ない即効性の高さは、このシリーズ最大の魅力です。
実は、世界基準の映像表現!
ところで、こうした作品内のキャラクターが、観客に向かって直接話しかけてくるという手法は、実は世界水準で今流行しています。
この手法自体は映画の初期から使われていますが、2013年の海外ドラマ『ハウス・オブ・カード』あたりから再び流行の兆しをみせ、現在でもマーベル映画『デッドプール』などで大当たりしている、いわゆるメタ・フィクショナルな表現方法です。
これを演劇用語で「第四の壁を破る(演者と観客の間の壁を破る)」といいますが、この『One Room』では、最初からそんな壁などまったく無いかのように作られているのが、大変面白いところです。
本作でこの手法が取られた理由は、おそらくこうした映画的な文脈ではなく、『ラブプラス』などのデートゲームや、『サマーレッスン』などのVRゲームの影響を受けてのことだと思いますが、この方法で、きちんとした起承転結のある物語が描かれていることは注目に値します。
例えば、ファーストシーズンでの青島萌香ちゃんのエピソードなどは、東京でミュージシャンを目指して頑張っているのに、なかなかうまくいかずに苦労している彼女の日々が、何気ない会話と視点を通して、かなり切実なものとして伝わってきます。
これだけ短く、しかも主観映像でありながら、ここまで感情の揺れ動きを丁寧に描いている『One Room』は、世界の映像表現でみても、かなり最先端な試みといえます。
ここだけの秘密ですが、私は今作を見るとき、女の子と会話がうまく成立するように、テレビに話しかけながら見ています(笑)。
一人暮らしでないと色々ヤバいのでおススメしませんが、こちら側のセリフやタイミングも、全部想定して作られていることがわかりますので、ここでの視聴者側のセリフは何かなと想像してみるのも、このアニメの楽しみ方のひとつです。
みなさんも、現在放送中のこれを機会に、ぜひ『One Roomセカンドシーズン』をご覧になってはいかがでしょうか。新しい萌えのとびらが開くかもしれません。