前回放送された『 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 』第5話では、まひるの募った想いが臨界点を突破しましたね。溢れ出る華恋への想いが「嫉妬のレヴュー」やレヴューソング「恋の魔球」の歌詞に現れていました。
さて、今回放送された第6話は双葉と香子の担当回。すなわち「ふたかお」回ですね。アニメ放送前からすでに「ふたかお」というセットであることが明確に示されていた2人にフォーカスした回なんて、楽しみすぎますよね。
何より、百合大好きな筆者にとって、これほど素晴らしい題材・材料はありませんよ。そりゃあ一悶着ありますよね。
作品のファンとしても、百合好きとしても注目していた「ふたかお」回。早速見てゆきましょう!
幼き日の「ふたかお」
第6話冒頭で描かれていたように香子は日本舞踊の家元の孫娘です。そんな香子の面倒を見るのが双葉です。アニメを見た筆者の所感になりますが、花柳家と石動家は香子と双葉に限らず、ある種の主従関係を築いているのではないかと思います。
主従関係というよりは、一族として契約しているお手伝いさんという方がしっくりくるかもしれません。香子の専属お手伝いさんが双葉といったところですかね?
そんな2人の幼い頃の姿が少し描かれていました。相変わらず香子はワガママで、双葉はそんな香子に手を焼かされていましたね。今ある2人関係は幼い頃からなんら変わっていないのでしょうね。
香子と双葉、ケンカする

ある種の主従関係を築いている香子と双葉ですが、普段はとっても仲良し。それはアニメを見ていればよくわかると思います。並んでアイスクリームを食べているシーンや「まひるいも」を楽しみにして一緒にワイワイしているシーンなど、仲睦まじい姿はこれでもかというほど描かれていますね。今さら仲が良いことを説明する必要がないくらいには仲良しです。
そんな2人が今回、ケンカをするんです。
きっかけは双葉の変化です。そういえば、第3話あたりから双葉の「(香子の)脇役ではなく、自分も主役になりたい」という想いが描かれていましたね。その現れとして同じように真矢という一枚上の存在を追い落とそうとしているクロディーヌと特訓に励む姿がチラホラ見られました。
それが香子にバレてしまったことがケンカの、正確には香子の機嫌を損ねるトリガーとなってしまいました。
また、ちょうど香子もオーディションの結果が伴わないという問題を抱えており、いつにも増して感情的になっていたのでしょう。
2人のケンカは周囲を巻き込む形で展開してゆきます。寮の部屋を追い出された双葉はクロディーヌの部屋に転がり込み、登下校の移動を双葉に任せていた香子は純那とななに心配されていました。双葉は自分のことを自分でできていましたが、香子は大変そうでしたね。いろいろなことを双葉に任せっきりにしている弊害が出ている感じでした。
香子の悪だくみ
自分はいろいろと不自由しているのに、双葉はいつもとそこまで変わらない生活を送っていることに納得がいかない香子。自分のままならなさや生活の不自由さを双葉のせいにしていましたね。
一方、双葉は香子のことを気にしつつも基本的には放置。主には華恋・ひかり・まひるの3人と一緒に過ごしていました。
いつもの2人ならあり得ない光景ばかりでしたね。
「どうして自分ばかりがこんなに嫌な思いをしなければならいんだ」とでも言いたげな、というかそれっぽいことをつぶやいていた香子。そんな香子が何かを思いついたところでAパートは終了。
Bパートを見れば思いついたことの内容がどのようなものなのかはすぐにわかりますが、思いついたときに発した一言「せや」の言い方でだいたいわかりましたね。少なくとも、その思いつきが悪だくみであることは一目瞭然でした。
筆者も京都生まれ、京都育ちのいわゆる「京都人」なので書いていて少し複雑ですが、香子の「せや」の言い方は世間一般でイメージされている「腹黒な京都人」を絶妙に表現していたと思います。香子を演じておられる伊藤彩沙さんが京都出身ということもあると思いますが、良くも悪くも素晴らしい演技だったと思います。いやはや、お上手ですね…
Bパートの前半で悪だくみの内容が描かれていましたが、それに対する周囲の反応は二分化されていましたね。一方はその悪だくみの内容を真に受けた人。華恋の反応がその極端なものでしたね。
そして、もう一方はその悪だくみが気をひくための嘘だと気づいている人。真矢と一緒にお茶をしていたクロディーヌの「やれやれね」みたいなリアクションがそれを物語っていました。
香子の悪だくみが2人のケンカを余計にややこしくしていました。
月9ドラマさながらのシーン

香子の悪だくみ、それはすべて双葉の気を引くためのもの。幼き日のワガママ。日本舞踊の家元の孫娘として課されたお稽古に嫌気がさして逃げ出したあの日と同じでした。
あのときは双葉が自分の求めていた反応以上の反応を示してくれましたが、今回は無反応。なんとか反応してもらうために思いついた悪だくみも不発。いよいよ引っ込みがつかなくなってしまいました。
とはいえ、プライドの高い香子は「実は嘘でしたー! テヘペロ」などとは口が裂けても言えません。ちょっと思いついただけのことが大事になってしまいました。
悪だくみから発展したなんだかんだが積もって、結果として月9さながらのシーンに行き着きます。新幹線で一人、京都に帰郷しようとする香子。自分ではそんなつもりじゃなかったのに、止まることなく進んでしまった話。
どうしてそんなことになってしまったのか。
誰か止めにきてほしい。
どうして双葉は止めにきてくれないの?
こう言ってしまうとアレですが、香子は月9ドラマや少女マンガに特有の面倒なヒロインを見事に体現していますね。その面倒さがかわいいです!
そして、そんな香子の様子をすべて予想していたかのように颯爽と登場する双葉。ちょっとカッコよすぎませんかね。惚れちまいそうだぜ…
新幹線のホームで繰り広げられるカップル2人の少女のやり取りは必見ですよ。
「約束のレヴュー」、追う者と追われる者が交わす刃の美しさ
今回のレヴューは「約束のレヴュー」。戦うのは当然、香子と双葉です。
そういえば、メインで描かれるレヴューで華恋が参戦していないものが描かれるのは今回がはじめてですね。第1話で描かれた純那とひかりのレヴューには乱入していますし、そのほかのレヴューに関しても勝敗はともかく正式に参戦していましたしね。
そんな「ふたかお」のレヴューは私情にまみれていましたね。
「アタシが勝ったら、身の回りのこと全部やってもらう!」
「ウチが勝ったら、一緒に京都に帰ってもらう!」
互いの想いが互いへの要求として現れていました。ですが、そんなものは建前。本当の想いはそのあとに溢れました。
日本舞踊の家元の孫娘としてその才を磨いてきた香子。そんな香子の隣にいるために自身を磨いてきた双葉の熱くまっすぐな言葉。そんな双葉の言葉を聞いて涙を流す香子。
追う者である双葉と、追われる者である香子が互いの想いに気づき、改めて向き合った。そんな感じがしました。
そして、香子は双葉に追われる立場にあることを再確認し、舞台少女としての自覚と原点を取り戻していましたね。オーディションの結果が伴わず、レヴューでも負け続きだった香子はもうそこにはいないことでしょう。
2人が約束のもとに交わす刃はとても綺麗でした。当然、レヴューなので勝敗があるわけですが、勝った者も負けた者もどこか憑き物が落ちたように清々しい表情をしていました。
今回描かれた一連のケンカ騒動やレヴューは、この2人にとって重要なターニングポイントとなったのではないかと思います。
アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第六話「ふたりの花道」の感想

今回は香子と双葉という明確にセットとして扱われている2人について掘り下げられた回でしたね。周囲の舞台少女を巻き込む形で繰り広げられた“痴話喧嘩”はかわいくもありましたが、同時に彼女たちが抱えている想いを年相応に表出させていたように思います。
また、今回は追う者としての双葉と追われる者としての香子が印象的に描かれていましたね。双葉がクロディーヌと特訓していたり、真矢が香子にシンパシーを感じていたりしていたこともあって、それはかなりわかりやすく描かれていました。
双葉とクロディーヌが意気投合して秘密特訓をしていたのは2人に“追う者”という共通点があるから。真矢が薫子にシンパシーを抱くのは2人に“追われる者”という共通点があるから。
つまるところ、「ふたかお」と「真矢クロ」には共通点として追う・追われるという関係性があるのです。その点から考えると、第6話は「ふたかお」回でありながら「真矢クロ」回でもあると言えるのではないでしょうか?
これに気づいたとき、筆者は少しの間その尊さを噛みしめてしまいました。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は実に上手く作られている作品だと思いますよ。
本当に製作陣はよくわかっていいらっしゃる。感謝しかありませんね!
第6話の話も尽きませんが、今回のCパート。不穏な雰囲気のなかでななが意味深な言葉をつぶやいていましたね。
「やっぱり“台本通り”じゃなくちゃね」
ななが言うところの“台本通り”とはどのような意味なのでしょうか? 次回予告のホラー感も含めて第7話が気になるところです。
次も楽しみだぞ〜!
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