今回ご紹介するのは直木賞作家・朝井リョウ先生による青春小説で、2016年に放送されたアニメ「 チア男子 」。男子だけのチアリーディング部「BREAKERS」を結成し、チアリーディングを全力で頑張る男子大学生たちのお話です。
クセも強いけど応援したくなる、メンバー16人の絆がアツい!
主人公の晴希は柔道一家に生まれ柔道をしてきましたが、優秀な姉と自分を比べてしまったり、怪我をしてしまったことで柔道を続けるか悩んでいました。そんなとき幼馴染の一馬に誘われて、大学ではチアリーディングを始めることにします。
しかし大学には男子のチアリーディング部はなかったため、二人は部員募集をして一から部を作ります。偉人の名言をよく引用する溝口、優しく笑顔がかわいい遠野(あだ名はトン)などメンバーが少しずつ集まってきます。
みんなチア未経験ながら一馬を中心に手探りで練習を重ねていきます。最初は倒立すらまともにできないメンバーもいるなか、諦めることなくみんなで協力して頑張ります。その後大学祭での演技がきっかけで追加部員も入ってきて、メンバーは全員で16人になります。
しかしメンバーが増えたことでさらなるトラブルも発生。例えば尚史(ひさし)はチアや周囲にストイックすぎるあまり、練習にあまりやる気が感じられないタケルと喧嘩してしまいます。
次々に生まれるトラブルや不協和音、そういった壁にぶち当たるたび、晴希たちは逃げるのではなく真正面から向かい合い、それを乗り越えていきます。少しずつ強くなっていくメンバーたちの絆に注目です。
大人数によるチアシーン、圧巻です!
「チア男子」はチアリーディングのお話なので当然チアシーンも多くあり、みんなの成長が目に見えて感じられる大切なシーンです。
この作品ですごいなと思うのが、下手なチア演技を描いているシーンです。例えばレベル的にはまだ課題もあるなかでみんな全力を出し切った、文化祭での演技の回。まだ全員の息が合っておらず、チアの動きがところどころずれてしまう部分もあるのですが、そのズレが視聴者にもちゃんとわかるように表現されています。
歌が上手い人がわざと下手に歌おうとすると、かえって難しいなんてことを聞いたことあります。アニメとして大人数で未完成のパフォーマンスをあえて描くのは、プロであるスタッフさんにとっても大変だったのではないかと思います。
もちろんその後みんな練習を重ねて上手くなっていくので、終盤は上達して息の合った演技も見られますよ!そちらも楽しみにしていて下さい。
「何かを壊したい」男の子たちが限界に挑む姿がかっこいい!
「BREAKERS」のチーム名は「(何かを)壊す者たち」という意味です。この作品ではチーム名の通り、登場人物たちが過去のトラウマや今のしがらみを頑張って壊していく姿が熱く描かれています。
例えばチア経験者の翔はチームの指導はしますが、メンバーとして演技はしないと言い切ります。そこには翔が以前チアをやっていたときの辛い過去が関係していて、ある回で翔が過去のトラウマを乗り越えるお話はすごく泣けます。
また部の発起人・一馬は両親を早くに亡くし、祖母も入院中という事情を抱えています。なぜ一馬がチアを始めようと思ったかには、彼なりの思いがありました。普段は元気で弱音を周囲に吐かない一馬ですが、次第に様子がおかしくなっていきます。そんななか一馬が晴希に伝えた真実とは?
また晴希も一馬に誘われたから、という消極的な理由で始めたチアに複雑な思いをもっています。また優秀な姉が大会でいい成績を残せなくなったことも晴希を動揺させます。晴希は本気でチアに向き合うことができるのでしょうか。
自分の限界・過去・自分を取り巻く世界、色々なものを「壊して」いく晴希たちの姿にきっと勇気をもらえるはずです!
「 チア男子 」は、何かを始めようとして一歩が出ないあなたへのエール!
この作品は何かに挑戦したいけど失敗したら嫌だな・怖いなとか、自分にはどうせ無理だよと自分で自分の限界を決めてしまっている人にぜひ見てもらいたいです。
そんなとき周りに信頼できる仲間がいれば、自分はもっと色んなことに挑戦できるんだ!と勇気が湧いてくると思います。仲間の大切を感じられる作品でもあります。
チアはみんなを笑顔や元気にさせるスポーツです。「BREAKERS」のみんなが成長(BREAK)していく姿をみて、あなたも初めの一歩を踏み出してみませんか?