どんなに言葉を尽くすよりも、たった17音の言葉が相手の心に響くことがある。19年4月より放送された15分アニメ「川柳少女」はそんなことを感じされてくれる作品です。
ヒロインの雪白七々子は「五・七・五」の川柳で自分の気持ちを伝える、ちょっと変わった女の子。七々子と同じ高校の文芸部の同級生・毒島（ぶすじま）エイジとの恋愛模様を描く青春川柳アニメです。
今回はそんな「川柳少女」の魅力を川柳っぽく紹介したいと思います。
七々子はね 川柳得意 系の女子
ヒロイン・七々子は普通に話そうとすると考えがうまくまとまらないので、代わりに川柳で気持ちを伝える特技？を持った女の子です。
七々子はどこからともなく川柳を書くための短冊（札のようなもの）を取り出して、そこに川柳を書き、相手に思いを伝えます。要するにちょっと変わった筆談のような感じです。
少し細かい話になりますが七々子は川柳を作るものの、それを自分では詠みあげません。アニメでは七々子役の声優・花澤香菜さんがその川柳をモノローグのような形で声にしています。
七々子はエイジのことが好きで、川柳で自分の思いを積極的に伝えられる女の子です。そこに川柳という要素が加わると奥ゆかしさも感じられて、七々子がますますかわいいんです。
七々子がエイジを好きになったきっかけは中学時代に遡ります。そのエピソードがとても優しくてキュンとくる内容なので、ぜひ最終話まで見てほしいです。最終話をみてもう一度第一話から見返すと、そういうことだったのかーと納得できると思います。
強面の エイジは実は 優しい子
七々子が思いを寄せている同じ文芸部のエイジくん。見た目が強面なので、周囲からはヤンキーだと勘違いされています。でも実際は七々子や家族のことを大切に思っている優しい男の子なんです。
七々子はもちろん、文芸部部長のアマネやエイジの幼馴染の琴も、エイジの本当の優しさや漢らしさを知っています。そういう優しい人たちに囲まれて、エイジと七々子が色んな思い出（一緒にホタルを見に行ったり、夏祭りに花火、遊園地デート？）を重ねて、少しずつ気持ちを通い合わせていきます。
二人のゆったりとした優しいやり取りを見ていると、見ている側も和やかな気持ちで二人の恋を応援できます。見ている自分も優しい気持ちになれるのが、この作品のいいところだと思います。
他にもね 個性が強い キャラばかり
文芸部のメンバーの他にも七々子とエイジの家族や、同じ高校に通うちょっと変わった同級生たちがたくさん登場して、物語を盛り上げてくれます。
筆者が個人的に好きなのは、七々子たちの同級生の矢工部（やべの）キノちゃんです。キノは七々子と少し似ているところがあって、話すときに自分の顔を見られるのが苦手で、スケッチブックに自分の表情や言葉を描いて、気持ちを伝える女の子なんです。これも一種の筆談のような感じですね。
そういう子なので引っ込み思案なのかと思いきや、イラストでは割と饒舌でテンションも高めの性格です。そういうギャップと、心の声を担当する久野美咲さんのお芝居の魅力もあって、すごくかわいい子です。
作中では七々子とキノが会話するシーンがあるのですが、二人とも川柳とイラストを使って筆談のような感じで話しているので、周囲から見ると二人はほぼ無音状態（クスクスと二人の笑声が少し聞こえるくらい）になるんですね。
そのシーンがすごくシュールで微笑ましくて、このアニメならではの笑いだなと感じました。
楽しくて 優しくなれる いいアニメ
15分という短い時間ですが毎回オチもしっかりしているので、普段ショートアニメをあまり見ないという方にもおススメしたい作品です。
どんな形でも言葉で自分の気持ちを相手に伝えるってとても大切なことですよね。しかもそれが相手に受け入れてもらえたら、どんなにうれしいでしょう。少し変わった方法でまっすぐ思いを伝える七々子と、たまに素直になれないこともあるけど心優しいエイジ。
「川柳」という二人だけの大切な絆で結ばれた、優しい恋の物語。みなさんもぜひアニメを見て、感想を川柳で詠んでみてはいかかでしょうか？
