2019年もあと少しとなり、来年は遂に2020年です。この2010年代が終わろうとするタイミングで、色々なアニメが生まれたこの10年間を振り返ってみようという企画です。
各年の有名・話題アニメから、筆者のお気に入りのアニメまで独断と偏見で代表的な作品をご紹介したいと思います。今回は、2016年度の作品です。
2016年の主な出来事
9月 秋本治先生・こちら葛飾区亀有公園前派出所 単行本200巻で完結
11月 理化学研究所が発見した、113番元素「nihonium (ニホニウム)」が認定
12月 国民的アイドルグループ・SMAPが解散
2016年の新語・流行語大賞 「神ってる」(広島東洋カープ)
君の名は。
新海誠監督による、2016年の超ヒット劇場版作品。異例のロングヒットとなり、最終的な興行収入は250.3億円。これは映画の歴代興収ランキング4位(2019年現在)となり、爆発的なヒットとなりました。
東京に住む男の子・瀧(たき)と、山間で暮らす女の子・三葉(みつは)の体が入れ替わる、という謎の現象が発生。男女のすれ違いや葛藤、そして二人の出会いの物語が、新海監督独特の美しい映像とともに描かれました。
また劇中音楽を「RADWIMPS」が制作し、「前前前世」などが人気に。新海監督と「RADWIMPS」は、2019年に公開された「天気の子」でも再びタッグを組みました。
公式サイト:http://www.kiminona.com/
©2016「君の名は。」制作委員会
灰と幻想のグリムガル
この頃からWebサイト発の「異世界もの」と呼ばれるジャンルが人気になり、多くの作品がアニメ化されています。その中でもこの作品は、登場キャラクターの死を通して主人公たちの成長を描くなど、異世界ものの中では異彩を放つ作品になっています。
異世界「グリムガル」。主人公・ハルヒロたちはともにパーティーを組んで、「見習い義勇兵」として敵と戦うことになります。異世界に行っても、特別な力をもたない彼ら。ハルヒロは仲間たちと、厳しい戦いの日々を生き抜いていきます。
また本作には水彩画のような背景美術や、物語に沿った音楽など、他にも注目ポイントがたくさんあります。
公式サイト:http://grimgar.com/
©2016 十文字青・オーバーラップ/灰と幻想のグリムガル製作委員会
聲の形
アニメではあまり触れられることがない、障害をもったヒロイン・硝子と、過去に彼女をいじめた結果、自身も孤立してしまった男の子・将也との触れ合いを描きます。
小学生時代に転校してきた聴覚障害をもつ硝子を、好奇心からいじめてしまった将也。高校時代に二人は再開します。将也は独学で学んだ手話で、硝子と友達になり、もう一度関係をやり直したいと伝えます。
硝子の過去の時間を取り戻すため、将也は小学生時代の友人たちとも再会します。将也にとっては過去の苦しい思いもありつつ、周囲や自分自身と向き合っていきます。
ヒロインが障害をもっている設定から敬遠される方もいるかもですが、作品は障害問わず、誰もが共感できるお話になっています。
公式サイト:http://koenokatachi-movie.com/
©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会
昭和元禄落語心中
落語を題材に重厚な人間ドラマが話題になった、大人のアニメです。翌年には2期も放送されました。「死神」や「芝浜」など、落語の有名な演目も登場します。
元チンピラの与太郎は、刑務所の慰問での八代目有楽亭八雲の落語を見て感動し、出所後八雲に弟子入りします。八雲は「昭和最後の大名人」と呼ばれる、孤高の落語家。そしてもう一人、八雲とは深い関係にあり、早逝した天才落語家「二代目有楽亭助六」。
八雲が与太郎に語ることで明らかになっていく、八雲の過去や因縁。そして時代は進み、落語人気が落ちていくなかで、与太郎は真打に昇進します。
また、声優さんによる高座での一席のお芝居も見逃せません。声優さんのプロの仕事ぶりを感じられる、息を飲むような迫真の演目に注目です。
公式サイト:http://rakugo-shinju-anime.jp/
©雲田はるこ・講談社/落語心中協会
この世界の片隅に
戦時中の広島・呉で、主人公・すずたちが懸命に生きていく姿を、日常の様子を中心に細やかな視点で描いた作品です。公開後に口コミなどによって人気に火が付き、公開規模も拡大しました。
すずたちの生活を柔らかなタッチの画と、優しい音楽で包み込むように描いています。厳しい時代でも創意工夫し、ときに笑顔を見せるすずたちの姿に勇気をもらえます。しかし、彼女たちにも戦争による暗い影が近づいていき・・・。
すず役・のんさんのお芝居、劇中音楽を担当したコトリンゴさんによる、「悲しくてやりきれない」などの楽曲も話題になりました。
公式サイト:https://konosekai.jp/
© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
2016年は劇場版アニメ大人気の年
2016年は「君の名は。」をはじめとして、数々の劇場版アニメが公開され、大ヒットしました。普段アニメを見ない層も巻き込んで、社会現象になりましたね。
日本のアニメの魅力が、日本・世界中に広まった2016年でした。
他のシリーズ・2010年代のアニメを振り返るコラムをお見逃しなく!
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2010年編] 10年代アニメのはじまり
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2011年編] 大震災を超えて
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2012年編] アニメが私たちの世界を変える!
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2013年編] アニメが社会現象に!
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2014年編] バラエティー豊かな作品続々
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2015年編] 6つ子ニートが旋風を巻き起こす!
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2016年編] 劇場版作品が次々話題に
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2017年編] フレンズたちが大騒ぎ!!
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2018年編] 記録的大豊作の年
- シリーズ・2010年代のアニメを振り返る [2019年編] そして次の時代へ