2020年1月から始まったアニメ「 22/7 」。
きっとこの作品の話をする前にそもそもこのグループとは何者なのか、きっとその話から始めたほうが良いのかもしれません。
2016年12月24日、応募総数1万人を超える中から選ばれた11人のアイドルグループが誕生しました。それこそが「22/7」というグループ。
AKBや坂道グループほか、最早お馴染みとなった秋元康が総合プロデュースする初となる「声優デジタルアイドル」です。
「声優デジタルアイドル」とは…?
デビューしたのは11人のアイドルの子…といってもデビューしたのはキャラクターたち、とその声を担当する声優たちでした。
当初、声優の11人は顔出しはおろか、年齢、名前すらない状態で文字通り、「キャラクターたちがアイドルとしてデビュー」しました。
その後の足跡や歴史を語ると非常に長くなってしまうので割愛…。
とにかくおよそ3年前「22/7」というグループがリアルで誕生し、これまで4枚のシングルをリリースし、イベント、ライブ、ラジオなど”アイドル”として活動してきました。
そして、アニメで描かれるのは2016年12月24日より以前、「22/7」というグループが誕生する前を描いています。
これまでずっと謎だったキャラクターたちのパーソナルな部分や過去に迫っていく、”アイドルになるまで”をアニメとして描いているのです。
グループ名に込められた思いと本当の意味
「22/7」、ナナブンノニジュウニ。非常にセンセーショナルなグループ名だと思います。
きっとこのグループ名を検索するとGoogle先生がご丁寧に計算結果を返してきてくれると思います。
3.14285714286……
これは円周率、πの近似値であり、円に最も近い数字です。
もちろん、割り切れない数字=まだまだアイドルとしても中途半端な彼女たちという意味合いと同時に、「無限の可能性を秘めている」という意味合いも込めていると語られています。
「22/7」というグループは決して完璧なグループではありません。まだまだこれからの無限の可能性を秘めたグループなんです。
その始まり、その可能性、その成長、その全てをアニメ、リアルライブ、リアルイベントで見届けるプロジェクトが「22/7」なんです。
個人的に「Wake Up,Girls!」というアイドルグループに非常に親近感というかデジャブのようなものを感じます。
もしかしたらアニメの中でこのグループ名の本当の由来が語られるのかもしれません。
だって、彼女たちの過去の部分はまだ誰も知らないのだから。
第1話『さよなら、私のささやかな世界』あらすじ
滝川みうの元に届いた、芸能事務所「G.I.P」からの怪しげな手紙。
運命に導かれるように集められたのは、みうを含め8人の少女たち。
「あなた方にはアイドルユニットとしてメジャーデビューしていただきます」
――合田と名乗る男に導かれ、目の前に現れたのは地下に存在する極秘施設と謎の“壁”。
みうたち8人は光と闇の渦巻く運命のステージへと歩き出す……。
自分の世界と他人の世界
「人は嘘をつく、学校で、職場で、数えきれないほどの嘘をついて生きている」冒頭の滝川みうのモノローグ。
みうは、自分の中の狭い世界で生きています。自分とその家族の輪の中で生き、それ以外に興味を示そうとしません。
他人が分け隔てなく自分のパーソナルスペースに入ってくるを嫌い、拒絶します。なぜここまで人間不信な性格なのか、現時点ではまだわかりません。
この、みうの語るモノローグの意図はきっと「自分を偽ってよく見せ、薄っぺらい人間関係を形成しているやつら」を揶揄しているんだと思います。
そして、まだこの時点ではただの女子高生に過ぎない“滝川みう”という女の子が、アイドルとしての一歩を歩んでいきます。
滝川みうのパーソナルな部分と過去
これまで語ったようにキャラクターについての情報はこれまでほとんど明かされてきませんでした。
なんとなーくキャラクターたちの関係性がわかる「あの日の彼女たち」という映像はありましたが…。
この作画とクオリティでアニメ化しろや
今回のアニメでみうに妹がいたこと、母子家庭であること、そして昔は音楽に触れて育ってきたこと、が明らかになります。
…が、ある時を境になにかをきっかけに音楽をやめてしまったことがわかります。果たしてこの過去とはなんなのでしょうか…。
謎の組織「G.I.P」と壁
いやわからんわ、なんやねんこいつら。
閑話休題
滝川みうを含め8人の女の子たちに手紙を送った組織であり、すべては「壁の指令により集められた」と言います。
都が「なんで私たちが集められたのか、演技もできない、音楽も2だし…」と聞くと、
「だからこそいいのです。我々が求めているのは新しいアイドルです」
最初から完璧なアイドルを求めているわけではなく、あえて不完全なアイドルを求めているということ。
なぜ、なんのために、だれが、「不確定要素が多すぎます」。
みうもこんなこと「やりたくない」と逃げ出します。
そりゃあ、みうにとってはアイドルなんてものは、「嘘をついて笑顔を見せ、自分以外の存在に積極的に干渉し、他者の世界に入り込む。」自分からもっともかけ離れた対極の位置にある存在。
そして、ただ一人突然の状況に動じず、アイドルにのし上がろうとする人物がいました、それこそが斎藤ニコル。彼女もまた、滝川みうとは対極の存在の女の子です。
大切な世界と嘘
そんな滝川みうの世界を脅かすさらなる出来事が起こります。
みうがバイト先をクビになってしまうのです。笑顔を見せず無愛想で陰キャ…まあわからなくもないですが…
そして店長は、「いいかい、仕事ってのは雪かきなんだよ…」 みう「はあ?」。やりたくないことをやるから仕事なんだよ…と。
みうは母親に尋ねれらます「なにあったのか?」と、みうは嘘をつきます「なんでもない」と。
みうは、家庭のために大事にしていた電子ピアノを売りに出します。
約束の12月24日、夕暮れ時、西日がさしてまるでピアノの鍵盤のような橋の欄干をはじきながら…。
そこに、家族からの連絡が入り、写真を見たみうは思わず涙を流します。
それは「唯一の自分の大切な世界である、家族に対して嘘をついたこと」そして「本当は音楽がやりたいのに、嘘をついておさえこんでいること」に
みうは、約束の12月24日、「22/7」の結成日。意を決して「G.I.P」に現れます。
それは、「大人」に言われたからでもなく、自分の世界を守ることが、みうにとって対極な「やりたくないこと」ならば、それをやるまでだと。
OPとED
OP「ムズイ」について。
もうタイトルの時点でなんだそりゃと突っ込みたくなるほどキャッチー。
「22/7」のアイドルらしからぬ暗いネガティブな曲が多く、欅坂48のような楽曲に近いイメージがありますが、またこの楽曲も相変わらず暗い(誉め言葉)
のっけは、「大人たちは簡単に言うけど私にとっての希望ってどこにあるの?」という、みうの語りから始まります。
全体的にみうの心情を歌ったような曲です。
「ねぇどうして 生きていかなきゃいけないの 命って何のためにあるの? 自信がない これからどう生きればいい?」
暗いですね、非常にネガティブな楽曲です。でもこれこそが「22/7」というグループなんです。
いいっすよね。希望に満ち溢れて、ファンからは声援を受けて、いろんな人から応援されて、ライブも華やかで…それこそがアイドルですよね。
でも違うんです、アイドルなんて本当は、ドロドロしてて、やりたくもないことを大人たちにやらされ、血のにじむような努力をして、それでも怒られて、そうして偶像としてのアイドルが出来上がるわけなんです。
そうしたネガティブなグループの世界観を感じられるもはや新規さん向けの自己紹介ソングといっても過言ではないでしょう。
ED「空のエメラルド」について
まず映像ね!! ちょっと照れながらポージングする丸山あかねちゃんが究極にかわいい!!
歌詞は「ムズイ」とは逆…というか、続きのような歌詞ですよね。
「ムズイ」が夢や道を見失ってもう歩みだすのも億劫になっている「子ども」の歌詞なのに対して、「空のエメラルド」はもう「大人になった」自分たちをうたっているような歌詞に聞こえます。
見失っていたはずの夢が、離れているけど遠くには見えていたと…でもどこかこれまでの人生に後悔しているかのような曲に聞こえますが…早くどっちもフルで聞きたいんだよ!!!
「22/7」というグループと”大人たち”
滝川みうは1話を見てわかるように「大人たち」、果ては家族以外の全てを信用してはいません。
前髪で視界を遮ぎ、家族という狭い世界で生きており、本人もそれを望んでいます。
きっとまだメンバーの誰にも心を開いてはいません。
それは、デビューシングル「僕は存在していなかった」で読み取れます。
「僕は自分を信じていない
自分の存在 知られたくなかった」
という歌詞から分かるように、自分の存在そのものを否定しています。
そして、それは他のメンバーにも同じことが言えます。
突然、大人たちに招集された彼女たちは「大人たち」を信用してはいないのです。そりゃあそうなんですが。
それは「22/7」の他の曲を聞くと顕著に現れています。
例えば、彼女たちの4thシングルのカップリング曲「とんぼの気持ち」では、
「自分にとって 大人は天敵だ
分かり合えるなんて絶対にない できることならば 大人がいない世界で
蛹(さなぎ)のまま 僕は暮らしたいよ 」
という歌詞が出てきます。
そして、2ndシングルのカップリング曲「叫ぶしかない青春」には
「ごめんね 君を守れなかった
腕を掴めなかった 大人たちが未来 連れて帰った
ごめんね 僕は羽交い締めされ動けなかったんだ だから大声で叫ぶしかない青春 」
という歌詞が出てきます。OPのムズイでも「大人たち」という言葉出てきます。
「22/7」の曲にはこうした「自分と大人たち」との構図を示す歌詞が多く出てきます。
これは、彼女たちが大人たちを受け入れず、もがいている様子がわかります。
これまではこうした曲の意味や彼女たちの本当の部分がわかりませんでした、
きっとその部分がアニメでも強く描いていくと思います。
それでも「11人が集まった理由」の曲の中では
「大人に言われたわけじゃない
初めて自分から開けた
外に広がる世界
さあこれから 何をしようか?
何でもできる気がする11人」
という歌詞が出てくるように、
信用なんかしてない大人たちに言わされるがまま集められたグループ。
それでもきちんと自分たちで前向きに広がる世界に飛び込んでいこうと決意していくのです。
それが、どのようにして描かれていくのか、非常に楽しみです。
まあ何が言いたいか……ナナニジの曲を聞いてくれ!!ナナニジの世界をもっともっともっともっと楽しめるから!!!!!!