アニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」第11話『おとなのこども』 あらすじ
桃恵の前に突然現れ生死を問い、パニックの命を奪った異形のモノ「ハイフン」。エッグの世界の変化は、リカの元にも訪れ……。 一方、桃恵やリカに起きている事態を知らないまま、アイは地下の庭園に建つ屋敷に足を踏み入れていた。膨大な資料があふれる部屋の中で裏アカと遭遇したアイ。Jプラティの創始者で、かつて科学者だったという裏アカは、とある昔話を語る。
植えつけられるトラウマ

アカや裏アカの過去、ゲームクリアを達成した桃恵が、突如現れた異形の存在に埋め込まれた死の恐怖。激動するアイと先生との関係。
最終回に向けて多角的に動き出したワンエグ10話。
ワンエグ11話では、アカと裏アカの過去がさらに掘り下げられ、アカたちが“作った”人工の少女・フリルの存在、そしてゲームクリアした者の前に現れる異形の存在などさまざまなことが明らかになり、またまた怒涛の展開を見せていきます。
開始早々に物語が大きく動き始めることに定評のあるワンエグさんなので、もはや驚きはしないのですが…。第11話では桃恵に続いてリカがワンエグのゲームをクリアし、「ハイフン」のような異形の存在、「ドット」と対峙している場面からスタート。
リカが救い出したいと願っていたアイドル時代の唯一のファン・ちえみが蘇るが、その体に決して触れることはできませんでした。唖然としているリカの前に現れたのは、顔がトンボのような昆虫に体が制服姿の女の子という異形の存在「ドットちゃん」
彼女(?)は、「ハイフンのマネっ子」と言い放ち、リカのお助けアイテムでカメの万年を殺害。リカの武器を一撃で破壊するなど、圧倒的な力と万年の肉を食わせるというサイコパス行動でリカに“死の恐怖”を植え付けます。
一方で、桃恵やリカに起きている事態に気付いていないアイは、いつもの地下庭園にある屋敷へとコガネムシに招待され、訪れることに。
そこで目にしたのは、「未成年の少女たちの自殺に関する切り抜き記事」が壁一面に貼られた光景だった。
さらには、何人か写った集合写真に顔を塗りつぶされた少女。謎が深まる中、屋敷の中で裏アカと遭遇する。
そこで裏アカは、過去を語り始める。
フリルの誕生
かつて、アカと裏アカたちが体を失い今の姿になる前の話。
彼らはある一人の少女を“作った”といいます。とある研究室で働いてたという2人。(おそらく)政府からの監視の目の元、研究を進めていた。
彼らの中で、研究のストレス発散にと進めいてたことが“AIの人工少女”を作り上げること。
「娘のように愛せる存在をイメージ」「複雑な大人と子供の中間のような曖昧な」。そんないわば、自分たちの都合のよいような少女を作り上げた。
設定年齢は14歳。二人の研究は成功し、“フリル”が誕生した。。ハイフンたちがたびたび言葉にしてきたフリルとは、アカたちが作り上げた人工人間の少女。
そんな簡単に人間を作り出す技術力…そら厳重に監視されることもやむなしな気がします…。
フリルは無事にすくすくと成長していき、天真爛漫な“父親が娘に持っていてほしい気質を入れ込んだ”少女になっていく。
明るく、聡明で、ユーモラスで、ときにはわがままな部分もあり、完璧だけど完璧すぎない。もはやAIの域を超えた人間を作り上げます。
監視体制の元で、アカ、裏アカそしてフリルは家族のような幸せな暮らしを楽しんでいました。
そんな暮らしの中で、アカと裏アカにさらなる転機が訪れる。シンポジウムの会場で偶然出会った女性・保科あずさ。
彼女との出会いがアカたちの運命を大きく狂わせていく。
蔓延する死の恐怖

やがて、時間がたちお互いに惹かれ合っていった3人。しかし、あずさが選んだのはアカでした。
そして、2人が同棲をし始めた場所こそが、アカや裏アカのいる庭園のある地下の場所と、その屋敷でした。
あざさが現れたことで3人だけの幸せな空間は静かにゆっくりと崩壊していきます。
フリルは、アカがあずさに取られたと感じ、今までに感じたことのない感情に襲われます。自分とは違う女のところにいった男。自分から奪った女。自分はどっちを憎むべきなのか。
さらにときは流れ…不穏な関係のまま、アカとあずさは結婚式を迎えます。
結婚式会場でフリルは「友達が欲しい」と懇願。さらに、アカたちだと「自分よりキレイな子を作るから、自分で作りたい」と言い出します
フリルなりに、嫉妬の念を解決させようと言い出したことかもしれないと感じつつも、二人はフリルにかまってあげられることができなかった。
いつしか、アカとあずさの間には子供を授かり、ますます3人だけの幸せな空間はなくなっていく。
そんなとき、大きな大きな事件が起きる……。フリルがあずさを風呂場でドライヤーを使い、殺してしまう。
それを知ったアカは、フリルを乱暴に階段から突き落とすと箱の中に閉じ込めてる。そしてそれを黙って眺めるしかない裏アカ。
そんな、崩れた関係に光が差し込んだのは数年後のこと…。暗く落ち込んだアカと裏アカを救ったのは、あずさとの間の子供であるひまりだった。
ひまりは、アカのように聡明で、あずさのようにユーモラス、なんでもできるまさに完璧な少女。
そこから、さらに数年が経つ。
すっかり、ひまりは思春期の少女になり、2人はフリルのことなど忘れて幸せな暮らしを続けている。
そんなひまりが14歳の誕生日に裏アカにある持ちかけをする。
「私が大人になればきっとママに似てくる…私が大人になったときに結婚してあげる」
そういって、フリルのように唇を鳴らす。
しかし、その晩、あずさは母親のように風呂場で自害をしてしまう……。
死の誘惑

全ての原因は、フリルにあると悟った裏アカは再び、閉じ込めたフリルの元へと向かう。
そこにはフリルが自身で、システムと連携し無数の管で繋がれたおぞましい光景が広がっていた。
ひまりは自害ではなかったのか…。犯人はフリルであり、ハイフンやドットを使ってひまりを殺害したのだというのか。謎は深まる。
「知りたいでしょ?あの子のこと。どうやっておじさまを好きなあの子が死んだのか、知りたいでしょ?」
裏アカはすっかりフリルに対する怒りや憎しみで頭がいっぱいになってしまう。
「私を殺すの?」
「お前は人間じゃない…」
「人間だよ。暗い所は怖いし歯だって痛くなる」
「黙れ化け物…」
「化け物じゃない…フ リ ル で し ょ」そういって屈託のない笑顔を振りまく少女。
「ミテミヌフリをしないでよ…。私はあなたたちから生まれたのよ…」
すべてをなかったことにするようにアカと裏アカはフリルを“焼却処分”したのだった…。
その後、二人は同世代の自殺する少女達のデータを収集、分析を始める。
自殺の原因は様々なことでも、その自殺に至るまでの経緯になにかないのかと。
そして突き止めたのは「死の誘惑」。
ワンダーエッグを作りフリルの試みに介入できるようにしたといいます。
フリルの死の誘惑で心を折られた桃恵と、リカ、そしてすべてを知ったアイはこの先どうなっていくのか…。
フリルちゃんが怖すぎるっ!!
今回は全体的にホラーちっくというか…めちゃくちゃ怖い回でした…。
アニメ「ワンエグ」における、ラスボスのような存在である「フリル」がいよいよ登場。まさかの人工少女…。AIとかいうレベルではないくらいの人間らしい人間を作る技術力はさすがに人間の科学力を凌駕しているといっても過言じゃないですね…。
近年は、人工知能が人の感情を理解し自らも感情を学習するレベルまで来ていると言います。「AIの反乱」というと、陳腐なSFものでありがちな設定ではありますが、遠からずそんな未来があるのかもしれません。
そしてそのフリルが暴走。フリルという思春期の少女が暴走した結果、様々な人間を心理的に死に至らしめるという。もうよくわからんことが起きてしまいます。
フリルはアカと裏アカが作り上げた“理想の娘”であり、AIでありながら「人間のような不完全さ」も、取り入れています。
その結果として、今回のようなことが起きてしまいます。初めて兄弟、姉妹ができたお姉ちゃんのように親の愛情を自分のほうに向けさせる、ただそれだけのかわいらしいことなのですが、
フリルは結果として2人を殺害し、その影響は未だに現代まで影響しているのだからすごい…そして怖い…。
「自分よりもキレイな存在を作るとまた自分から大切な者を奪うから」と虫の顔に人間の体という醜い生き物である「ハイフン」や「ドット」を作り上げるほどの嫉妬深さも怖いです…。
なによりも自らを「人間だよ」と名乗り、屈託ない笑顔を振りまくシーンが一番怖かった…。
時々、クセのように唇を鳴らすリップ音をフリルが出すのですが…なんだかそれさえも不気味に見えてくるんですよね。
さて、ここで疑問になるのが・フリルはなにをして、なぜ少女たちが自殺したのか、「死の誘惑」とはなんなのか。という点。
まあ「ハイフン」や「ドット」がフリルが作り出したものなので、エッグ世界でリカや桃恵にしたように、少女たちに絶望を与えることでフリルは少女たちに自殺を促した。と考えることができます。
ほんで、今回ワンダーエッグの技術がフリルの生み出す「死の誘惑」への対抗手段だと語っていました。つまり「アンチ」や「ミテミヌフリ」もフリルの「死の誘惑」を可視化したようなものって感じでしょうか。
「死の誘惑」(タナトス)を断ち切る、エロスの戦士たちこそがアイたち4人だったわけです。
しかし、桃恵とリカは戦線離脱。残っているのはすべてを託されたアイと、まだなにか裏を知っていそうなねいる。
まだまだ謎が残りそうなワンエグ、12話でどこまで明かされ、どこまで解決するのでしょうか