特別編「私のプライオリティ」
エッグの世界でのミッションをクリアし、現実世界へと戻ってきたアイ。 そんなアイにペットのアダムを託したねいるは、その日を境に連絡が取れなくなってしまう。 ねいるを心配したアイは、田辺のもとを訪れるが……。 沢木から明かされる小糸の自殺の真相、ミッションクリアを経て、少し変わってしまった世界に戸惑うアイ、リカ、桃恵。 様々な思いが交錯する中、アイは――。
一体どうなる特別編
待ちにまったり1クール分。いよいよ放送された「ワンダーエッグプライオリティ」特別編。
パラレルワールドの自分自身を救い出し、自身がタナトスに立ち向かうエロスの戦士となることを誓ったアイ。しかし、そこに現れたのは、なんか長い名前の化け物ちゃん。
目玉をえぐり取られたアイの運命は……。というところで終わったような気がするワンエグです。
本当の結末を描く完結編として、特別版の放送がされました。
4人の運命、そしてこれまでの放送で残された伏線はいったいどこまで回収されるのか……。
これまでとはなにかが違う…?
前半30分は総集編からスタート。
ミテミヌフリとの戦い、目的の達成、フリルの誕生、とこれまでの4人が歩んできた軌跡と判明してない謎を追う。
そしてアニメ本編で最終回となったパラレル世界のアイとの出会い。ここで新たな挿入歌「anemos」が流れ始める。
--そして、そしていよいよ特別編がスタート。
普段は無口で冷静な印象のねいる。ねいるが独り言で右足のスリッパと左足のスリッパで会話する…微笑ましくも怖さも感じるシーンから始まった特別編。普段のねいるはむしろこんな感じなのでしょうか…。
ねいるはアダムというネズミをアイに預けて、どこかへと向かう様子…。
電話にも出ず、連絡も一切なし。そんな心配をよそに学校に登校したアイ…そして学校には小糸が存在していた。
小糸の自殺の真相
小糸は、転校してくるまえにも男性教師と関係を持っていた問題児。という衝撃の事実が発覚。
しかも、前の学校では教師を自殺に追いやり、挙げ句に沢木に来てくれないと飛び降りると脅して屋上に呼びつけた。
『彼女は僕に乱暴されたとかあることないこと叫んでいたらしい。そしてみんなが目を離した隙に彼女はバランスを崩してそのまま…』
というのが、小糸の死の真相……らしい。
復活した小糸は、アイに対して冷たく。それどころか、アイと友達だった記憶や一切の記憶が欠如している…。
これが小糸の本性だったとでもいうのでしょうか…。やはり、小糸は沢木に近づくためだけにアイを利用していた……というのが真相だったのか…?果たして…?
本当のねいる
相変わらず電話にでないねいる。
しかも、ねいるも小糸同様にまるでアイとの関係や記憶がリセットされたような振る舞いを見せる
さらには小糸との写真すらも消えてしまい。“別世界”にでも来てしまったかのように動揺する
………それでも桃恵やリカとの関係性はちゃんと続いていて、3人で思い切ってカラオケにいくことにする。
『いなくなった人が戻るからノイズが入って日常が変わるって前にアカが言ってた』という、リカ。
チエミを復活させたリカも、チエミはリカを覚えておらず、桃恵も復活させたハルカはすっかり別人のようになってしまったのだという。
一方で…ねいるは?
ねいるも今回の戦いをクリアしたことで、もう関わりを持とうとしないのでは?というリカ。
なんならと、3人は久しぶりにアカたちのところへ向かうことにする。
しかし、過去のトラウマであの場所にいくことを恐れている桃恵、そして逆に過去のことで怒りに燃えるリカ
なんだかんだあの場所へは向かわずに夜まで遊んでいた3人だが、アイのもとに田辺から一本の電話が届く。
「単刀直入に話します。あなたが会社で会ったのはねいるではありません。本当のねいるは現在行方不明です」
行方不明とは?本当のねいるではないとは?? ここに来て更に謎が深まっていく。
ねいるの真実
田辺によるとアイが会社で出会ったのはねいるではなく、ねいるが蘇らせる対象にしていた妹のアイルだった。
ねいるは人知れずゲームをクリアしていたのだ。
田辺は、ねいるが残した「最後の夢」を見てほしいと話す。
そして、案内されたのはかつてねいるが生活していた部屋。
しかしそこには脳死したはずの寿の姿があった。
『私は死んでないよ。この世界の私が死んだからこっちに来たんだ~。二人同時には存在できないからね』
その言葉に、ピンとくるアイ。
「パラレルワールドの寿ちゃん」
エッグ世界でもうひとりの自分と出会ったアイだからこそ察しがつく。
ねいるの最後の夢は、エッグ世界で妹を助けることに成功、しかしそこに当然現るのはハイフン…、これまではペットたち、つまり大切なものが犠牲になることで命が守られてきた。
しかし、ねいるはペットを差し出すことはしなかった。
そこに突然、フリルが現れる。
そして夢の最後では、フリルが「あなたは私と同じだから。私と友達になれば、なれるよ“人間”に」
寿が言うには、「ねいる=アイルに似せたAI」「アイル=本当の人間」だという。まさに急ハンドルの急アクセル状態……。
ねいるは優秀なAIだった、だからこそアイルは自分の容姿に似たねいるに嫉妬し、背中から刺した………。なんじゃこの衝撃の事実の連続……。ラスト30分に詰め込みすぎでしょう……。
パラレルワールドという存在を受け止められないリカ。
「ガチャ1回500円だもんな。命がそんな安いわけないか」
「そうだね。生き返ってまた元通りなんてそんな都合のいい話ないよね」
この二人の会話を察するに、生き返った人々=パラレルワールドの同一人物と入れ替わるということでしょうか。なら、記憶がないというのも納得はいくけども……。
リカは「本当のチエミ」に会いたいと思わず泣き始めてしまう…。
その夜、帰宅したアイはねいるからの着信があることに気づく。しかし、その着信に出ることができず思わずスマホを投げ捨ててしまう。
全てが終わり、アイは無気力になってしまい学校を転校。みんなとも疎遠になってしまったという。
しかし、アイは後悔していた。
「もう一度、ねいるに会いたい」
そう願ったアイは、再びアカたちの元へと向かう。
『大戸アイ、復活!』ピースと笑顔で…アイは再度戦いへと身を投じていくのだった…。
謎は残ったけど、作品の本質は描ききった…?
せーのっ終わり!
うーん、ある程度謎は回収されたとはいえ、あまりスッキリと終わるエンドではなかったですね。そもそもあそこまで広げたものを1話で回収するのも無理はあったわけですが。
(🌟)アイルとねいるは主従関係的な、そういう2人なのかなと。ねいるはアイルの代わり的な存在がスタートだから、自分の意思をアイルに伝えることは勇気のいる事。それでもちゃんと「友達に会いたいから戻りたい」と伝えられたねいるは、自分の居場所や存在理由を自分の力で見つけることができたのかな
— 楠木ともり OFFICIAL (@tomori_kusunoki) June 29, 2021
声優の楠木ともりさんのツイートから拝借。AIであるねいるが自分の意志を言って存在証明をするシーンはたしかになあと納得しました。
個人的には「ワンダーエッグ世界って結局何だとか、パラレルワールドがどうとか、フリルだの死の誘惑だのが判明していく面白さ」がアニメ全体のテーマではなく、あくまでアニメの舞台装置の一つというか、要素の一つでしかなくて、
本質は、4人の思春期少女たちがそれぞれの社会的な問題やトラウマを乗り越えて、成長していく姿を描くことだと思うので、それはもうアニメ12話の中で描きましたよね。
だから特別編は後日談的に残った謎をなんとなーく回収していく程度のストーリーでまあ間違いはないかと思います。
自分の命、友達の命、いろいろなものを天秤に掛けて、いろいろな人生の岐路を迎えて、プライオリティ(優先順位)をつけて選択して、葛藤して、成長していく。そんな姿をファンタジー要素たっぷりに描いた作品。といった解釈ですかね自分的には。
今回は4人が疎遠になってしまった世界ですが、きっと4人が仲良くしている世界もあったり、4人が出会わなかった世界があったりと、さまざまなんでしょう
なによりもやっぱ映像美で楽しめた作品であり、いろいろと考察しがいのある作品だったのですごくよかったなと思います。