2023年秋アニメ。とりあえず初回を観てみたの記念すべき第1回目は「葬送のフリーレン」です。この企画は「今後見続けるかどうかは別にして、興味をひかれた秋アニメの初回感想」をお届けします。なお、第2クールや、続編にあたるものは、こちらでは取り扱いません。ご了承ください。
「葬送のフリーレン」情報
9月29日の金曜ロードショーで初回を迎えるという大々的な推しアニメとしてスタートした「葬送のフリーレン」。原作は小学館「週刊少年サンデー」で連載中の同名漫画。山田鐘人氏:原作、アベツカサ氏:作画で作成。どちらも「葬送のフリーレン」はデビュー後2~3年で着手されています。
「葬送のフリーレン」は連載が開始されてすぐに第14回マンガ大賞を受賞。同年、第25回手塚治虫文化賞新生賞も受賞しています。
TSUTAYAでも大々的に宣伝されていたため、筆者はその時に原作を読み始めたのですが、賞を取るのがうなずける内容でした。当時、確かコミックスは3巻までしか出ていなかったのですが、それでも伝わるスケールの大きさ。そして繊細な心理描写。淡々と進むように見えるストーリーは時に緩急をつけた少年漫画らしい戦闘シーンが入ってもきます。しかし、筆者が最も魅力的だと思ったのは、その根底にずっと流れている、静かさと暖かさです。
アニメ版は、監督を「ぼっち・ざ・ろっく!」の斎藤圭一郎氏。音楽を「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「わたしの幸せな結婚」のEvan Call氏。アニメーション制作は「AIの遺伝子」「虫かぶり姫」のマッドハウスとなっています。
秋アニメ「葬送のフリーレン」
金曜ロードショー枠で初回放送されましたが、後に配信される映像は4回分に分けられるとのこと。そのため、30分毎に副題が付けられていました。
物語は魔王を倒した勇者ヒンメル一行が王都に凱旋する場面から始まります。祝いの宴が設けられた夜、空には流星群が。次に見れるのは50年後という言葉に、フリーレンは50年後にまた集まってみんなで観ようと提案します。フリーレンは長命なエルフ属です。対して、戦士でドワーフ属のアイゼンはともかく、ヒンメルと、僧侶のハイターは人間です。50年後はとても先の未来と思えますが、フリーレンにしてみれば、ほんのわずかの時間と感じる。その感覚の差に、ヒンメルは少し寂しそうに微笑むのでした。
50年後、本当にみんなで集まって流星群を見た後、ヒンメルが寿命のため亡くなります。その時、初めてフリーレンは「短い生を営む人間のことを、ヒンメルのことを、もっと知ろうとすれば良かった」と後悔します。
人間のことを知ろうと努力するフリーレン
このことがきっかけで、それ以降フリーレンは人間を理解しようとし始めます。趣味の魔法収集の旅で訪れた先の街。そこに住む人々と出来る限り関りを持とうとします。ある時、フリーレンはハイターの元を久々に訪れます。ハイターは自分の命が残りわずかと知っていましたが、戦争孤児の少女フェルンを引き取り育てていました。魔法の素質のあるフェルンをフリーレンの弟子として旅に伴って欲しいと願うハイター。危険な旅に新米魔法士は連れていけないと断るフリーレン。しかし、ハイターの作戦勝ちで、ハイターが亡くなる頃にはフェルンはフリーレンから教わった魔法で一人前になっていました。
フリーレンの師匠・大魔法士フランメの書
本物は存在しないと言われていた大魔法士フランメが書いた魔法書。しかし本物が1冊だけ存在しました。フリーレンとフランメが暮らしていた森。そこにフランメが植え、いまや大樹となった樹。その大樹に取り込まれ守られた、かつての家の中に封印されていたのです。そこに書かれていたのは亡くなった者たちと、もう一度会うことができる場所の存在。ヒンメルと再び話すために、そこに向かうべきだとアイゼンは諭します。しかしその場所は、現在の魔王城。魔王を倒したとはいえ、大陸の最北に位置するその場所。フリーレンは、魔王討伐の道程を辿りながら、その場所を目指すことにします。
全体に流れる寂寞感と優しさ
葬送のフリーレンに感じるのは、全体に流れる寂寞感と優しさです。長命がゆえに短命な人の感情に疎いフリーレン。そして、これから共に旅する人間の少女フェルン。二人がお互いを少しずつ知っていく過程がこれから丁寧に描かれていくのでしょう。
ヨーロッパ風の背景に、美しい音楽。見た人によっては「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」を思い出した方もいるようです。個人的にはEvan Call氏の音楽が好きなので、劇伴音楽に期待大です。
初回視聴、私的評価☆☆☆☆☆
かなり原作に忠実な初回放送でした。今後も丁寧に原作に忠実に放送を続けてくれるならば、間違いなく名作となるはずです。
また、原作漫画を読んだことがない方でも、フリーレンの世界に没入できる。そして分かりやすいストーリー展開。これは、ポイントが高いと思うのです。
日本テレビが新しく枠を設けた金曜11時からの「FRIDAY ANIME NIGHT (フラアニ) 」。その枠のトップバッターとして放送される「 葬送のフリーレン 」。制作側の力の入れようも伺えて更に期待が高まります。