NO IMAGE

魔王がカワイイ女性だったら!?アニメ「 まおゆう魔王勇者 」

アニメであれゲームであれ、冒険物でよく見られるシチュエーションは「正義の勇者が絶対悪の魔王を倒す」という勧善懲悪の定番なストーリーですよね。しかし、もし、絶対悪の魔王が可愛らしい女の子だったらどうしますか?しかも、悪意を抱いている訳ではなく、私達人間と同じように、彼らにも社会や家族があり、そしてそれを守るために人間と戦い、そしてその事にさえ、苦悩しているとしたら・・・。こんな設定のちょっと変わった美少女魔王がなにかと頑張るアニメ「 まおゆう魔王勇者 」です。

一見変わった設定の冒険系アニメと捉えがちですが、現代人間社会の軍事面や経済面が絡みすぎた弊害、そして利己欲が収拾できない社会構造、正義対正義の構図を偽る悪対悪の思想と国家。ライトな雰囲気のアニメですが、実は現代社会と風刺している良策アニメです。

さあ!魔王を倒せ!!「 まおゆう魔王勇者 」は出だしからズッコケ!

主人公である勇者はもちろん魔王討伐の重責を背負って魔王城へ乗り込みます。しかし、その王座に佇む魔王は、かわいい人間の女性そのものです。しかも、魔王と名乗る彼女は、勇者と戦うことを自ら拒み、

「自分(魔王)を倒しても世界は平和にはならない。統制を失えば、世界はもっと混沌とした状況に陥る」

と勇者に問いかけます。そして人間と魔族の間に平和をもたらすためには、人々から信頼されている勇者の協力が必要不可欠であり、勇者と魔王が共に協力して現状打開と、両種族の政治経済を含む根本的なところから世界を平和に向けて共に行動する事を契約します。

軍需産業に対する痛烈なアンチテーゼ・メッセージだが・・・

アニメ「 まおゆう魔王勇者 」は物語的に勇者がモンスターをズバズバ倒していくものが主体ではなく(もちろん戦闘シーンはあります)、政治経済的な面から物語を見ています。魔王(かわいい少女)はその卓越なる経済学の知識で人々や国を救おうとします。また、農業工学を用いて畑の利用方法や風車の設置など生産活動を改革し、病院や教会などの基礎的な社会インフラを構築して人心の安定化を図ります。

小さい村からスタートした改革は、やがて国家全体へと政策を拡大しています。人心と経済が安定すると、戦争する理由が無くなるのは人間界も魔界も同様です。魔界でも改革が進む事で、人間界と同じように人間との争いを望まなくなります。

しかし、人間族と魔族の戦争で巨大な利益を得ていた武器職人や防具職人、それらの流通に携わるギルド達は、この平和を是とする事はありません。戦争が無くなれば、彼ら利益は失い、戦争産業に従事する人々は和平を望んではいません。勇者と魔王は、それぞれのそういった軍事ギルドの人々を説得して歩くのですが・・・

ぶっちゃけ、魔族よりも人間のほうが狡猾だったりするよね

今の世の中でも世界各地で戦争や紛争は絶え間なく発生し、人が人を殺める行為には終わりがありません。それに伴い、銃火器や兵器、軍事物資などが大量に生産され、流通され、そしてその一連の流れが大国の経済の一部となっています。

「戦争反対」と一概に声を高めて見ても、実際にはこの経済構造自体を変化できない限りは人間は一時的な平和しか実現できないのが現状のようです。そしてその貴重な平和な時間でさえも、年々平和である期間は短くなってしまっている悲しい現実があります。

このアニメ「 まおゆう魔王勇者 」では、戦争の根源を剣を交える「敵」ではなく、国民の「貧困」である事に着目しているのが、私は作者の橙乃ままれ さんは戦争の本質について理解してると感じています。クリスマスの夜に、アニメ「 まおゆう魔王勇者 」を一気見して、戦争の絶えない今の世の中や貧困について考えて見るのも悪くはありませんよ。だって今夜は、クリスマス・イブ(聖夜)なんですから。

監督:高橋丈夫  出演:福山潤・小清水亜美・戸松遥 ほか

(筆者:くさなぎゆうき)

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!