『矢立肇』『東堂いづみ』『八手三郎』。
アニメクレジット等で、この名前を「原作・原案」の欄で目にしたことはないだろうか。
実はこの名前、三つとも実在の人物を指すものではないのだ。
矢立肇などの名前は会社が共用するペンネーム!?
上に挙げた三つの名前は、全てアニメ関連会社が使っている「共同ペンネーム」だ。
例えば『矢立肇』は『機動戦士ガンダム』などで有名な会社『サンライズ』のアニメーション作品企画部が用いているペンネームだ。
その名の由来は、松尾芭蕉の『おくのほそ道』に使われた「矢立の初め」
これは一部例外を除き、サンライズ作品のほとんどの作品にクレジットされてある。
『東堂いづみ』は、『プリキュアシリーズ』の東映アニメーションの共同ペンネームだ。
「東映動画(旧東映アニメーション社名) 大泉スタジオ」から“東”“動”“泉”を取りもじった。
『八手三郎』は東映映像本部テレビプロデューサーの共同ペンネームだ。
『超電磁ロボ コン・バトラーV』など一部アニメ、『スーパー戦隊シリーズ』『メタルヒーローシリーズ』など東映特撮作品で使われている。
実はこのペンネーム、当初『仮面ライダー』などを手がけた「平山亨」プロデューサーが使用していたペンネームだった。
しかし、後に東映テレビ部を指す名称となり、本人の退社後も引き続き使われることとなった。
使用の理由は「版権管理」
何故「矢立肇」等のように共同ペンネームを使うのか?
実はこれ、各会社が作品の版権管理を容易に行うため、便宜的に使っているのだ。
こうした版権管理のための「擬人名称」はアニメ業界以外にも見られる。
広告代理店の電通がCMソング作詞に用いる『文月えがく』や、ゲームメーカーのコーエーが使用する『シブサワ・コウ』も共同ペンネームだ。
たまにこうした共同ペンネームを特定の人物と勘違いしている人がいる。
しかし、これらは全て個人を指すものではないので、名前を出すときは気を付けよう。
もし勘違いしてる人がいたら、ひっそりと教えてあげるといい。
間違っても、皆の前で揚げ足を取るように指摘してはいけない。