雨が作る、静かで単調な世界。
静寂に飽きてしまったら、CLAMPが贈る歌声が紡ぐアニメなんてどうだろう?
ストーリー
クローバー・リーフ・プロジェクトにより、選び抜かれた魔法が使える子供たち「クローバー」
力の強さは、一葉から四葉まで。
一番強い四葉のクローバーはその力ゆえに「鳥籠」に隔離された生活を送っていた。
ある日、元軍人である琉・F・和彦は最高評議会の1人からある極秘物を移送する仕事を依頼される。
指定された場所で和彦を待っていたのは、スウと名乗る少女だった。
スウは和彦に問う。
「貴方がつれってってくれるひと人?」
物語とリンクする歌声
物語で随時流れる楽曲「CLOVER」。
スウの気持ちをよく表す内容の他、物語の世界に彩を与えている。
この楽曲は、映画では前半部分の歌詞を繰り返したものとなっているが、原作ではばっちり歌詞の全容が描かれている。
和彦にとっても思い入れが深い楽曲だが、スウ、もしくは妖精の像がよく唄っている。
物語のクライマックスは、この歌詞の内容を知っているかいないかで印象がだいぶ変わるので、ぜひ調べてみて欲しい。
映画の良さ、原作の良さ
6分弱という短編ながら、スウと、藍、そして語りの鉱ばーさん以外、声がないサイレント映画ともとれる静かな作品である映画版。
元々、原作自体が「CLOVER」の歌詞が物語の流れを生む形式なので、よくアニメにまとまったな、といつ見ても感動の一言。
また機械率が高く生き物が少ない環境の為、機械仕掛けの鳥だとか、クローバーの葉一つもコードをまとめたような代物ながら、そんな細かいところも正確に表現している為、色があるのに無機質感が半端ない!
その分、描かれる血の赤がはっきりコントラストを演出するので最初から最後まで、目を引き付ける作品に仕上がっている。
比べ原作は白黒の色使いながら、斬新な技法が魅力。
あえてスペースを活かしたビジュアルと詩的に綴られる物語は読んでいてまるで絵本のよう。
構成は、前半がスウと和彦の物語、後半は周囲のキャラクター達の視点で送られる物語の過去や、現在へ続く伏線を回収する作りになっており、読んでいて飽きることはない。
慣れないうちは読みにくいかもしれないが、そこはCLAMP作品。今作にしかない面白さがあるので、めげずに読んで頂きたいものである。
最後に。
この作品を見終わったら、窓から外を覗いてみよう。
あれ、最後のシーンと被らない?