その1に引き続き、『 クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』を真面目に解説します。
石の使用
「第三次世界大戦が終わった後、第四次世界大戦は木の棒と石で戦うことになる」、なんて名言もあります。
ということで、石はコストパフォーマンスのいい武器である。武田信玄の軍には石投げの専門部隊がいたという程、石の投擲は合戦では当たり前のことなのだ。
竹束
もう一つ特記事項が、竹束だ。
最初の合戦シーンで兵士たちは竹束を盾にして隠れている。竹束は丸くて固い表面の竹を集めることにより作るが、この竹束は主に鉄砲を持つ敵を相手に使う。
現在でも、竹の密集地での銃撃戦は避けるべきとされている。
火縄銃
両陣営とも火縄銃を使用しているが、舞台は昔の春日部。
海がないので陸路で火縄銃と火薬を購入しなければならない。
春日部にはこれといった特産品がない。
さらに、又兵衛のセリフから常設の市場はなく、たまに行商人が来る程度だ。そのような小国が火縄銃をどのように購入しているのかは謎である。
一方、大蔵家に至っては焙烙火矢(手りゅう弾のもとになる武器で殺傷力はあまり高くない)をもっているから、経済力は高いと考えられる。
火薬の原料である硝石は日本で採掘することができないので、多くの場合は異国から買い付けている。トイレの近くの土から抽出することもできないので、春日家は土から抽出し大蔵家は交易に頼っているのかもしれない。
では、醍醐味の最終決戦へいきましょう。
大蔵家の分析。
大蔵井高虎(おおくらいたかとら)は2万の軍勢で春日を力押し、と春日部の資料館にはある。
2万の軍勢を大動員するには、生半可な国力ではできない。さらに兵士大動員を大動員するには大量の兵糧と厳しい軍律が必要になってくる。
信長に負けたせいで無能の烙印を押されている今川義元(4国を支配)が尾張侵攻に動員した兵士の数が2万5千から4万である。
さらに高虎は春日領の隣国をうまく巻き込み、春日領を攻めようとしているので政治面・外交面に関しても高い能力を持っている。もしくは有能な家臣がいるようだ。
兵士としては春日領には兵糧として略奪できそうなものがないので、あまり面白味のない合戦だろう。
大蔵家の居城は山城ではあるが、石垣や天守閣を持った新しいタイプの城であるから、当時としては最新の贅を凝らした城だ。
冷徹な男である評される高虎は「康綱め……」と諱を呟いている。
なので、康綱を完全に見下している。おそらく、婚姻後は春日家の力を徐々にそぎ、春日家をとり潰すことを考えている可能性もある。
平和的な国盗り手段である。
春日領の分析。
春日和泉守康綱(かすが いずみのかみ やすつな)は、基本的に家臣や領民に慕われているし、度胸もある。しんのすけの話を楽しそうに聞き、カレーライスを美味しそうに食べるので、かなり開明的な思考の持ち主である。
高虎との合戦を前に、初めの合戦の指揮を執っていた家老の榊隼人佐晶忠(さかき はやとのすけ あきただ)が城から逃げ出しているので、康綱は乱世を生きる領主という点においては甘い面がある。
高虎は非情な男だと縁談を断る康綱はカンがいいので、暗愚でもないようだ。
山城の館に住んでいるが、空堀に柵を組んだ程度の簡素な防御力しかない城に住んでいる。
1日で落ちなかったのは、又兵衛の指揮能力が高い点に起因するのだろう。