生きている限り猜疑心とは付き合っていかなければなりません。仲の良い友人の間でもどう思われてるか不安でしょう。不信感を抱かざるを得ない状況だって時にはあります。けれど冷静な判断は当然として、誰かを信じる力強さが必要なときもあるでしょう。
「 ひぐらしのなく頃に 」はそんな時に、仲間を頼ることを後押ししてくれるかもしれません。
ひぐらしのなく頃に とは
昭和58年、人口2000人に満たない寒村である雛見沢。都会から村へと越してきた圭一は、転入先で仲間を得て順調な新生活を開始します。しかし村の土着神:オヤシロさまの伝承と、それをなぞるかのような怪事件の噂を聞いて以来、圭一は村の不気味な雰囲気に呑まれていくことに……
その魅力
“正解率1%”と言われる難解なミステリー要素が、この作品の第1の魅力です。複雑に組み込まれた設定、信用できない語り手、そもそも人の手による陰謀なのか超常現象なのか、メタ構造の動揺があなたを正解から遠ざけます。作中では何度も凄惨な展開が繰り返されますが、真実が分かるのはラストに辿り着いたときのみ。あなたはきっと、追われるように次の話を求めていくことになるでしょう。
一方でギャルゲーの流れを汲む本作は、魅力的な登場人物がたくさん出て楽しいシーンもきっちりあります。単に美少女を追いかけて視聴するのもいいかもしれませんね。たぶん心折れますが。
人を疑うことと、信じること。ひぐらしのなく頃に の伝えるメッセージとは?
一方で身近な死が描かれ誰が犯人かも分からない物語は、必然的に誰を疑い誰を信じるかを描いていくことになります。誰も頼りにすることができない状況なら、1人で全てを決めて行動するのも手かもしれません。
ですが孤立した人間ができることなど、そう多くはないでしょう。つまり疑わしいからこそ選んで信じる、苦しい状況だからこそ頼る。「ひぐらしのなく頃に」のメインテーマはまさにそれで、本音を打ち明け仲間を大切にすることの重要さが強く描かれます。確かに過激な描写も多い本作ですが、それで敬遠するのはもったいないと言えるでしょう。ぜひ見てみて下さい!