『ほしのこえ』新海誠作品、個人制作だからこその魅力が斬新だった

映像作家、新海誠の名を世界に知らしめた作品、『 ほしのこえ 』。
個人制作にも関わらず大きな反響を呼んだことで有名です。この作品が持つ魅力に迫ります。

ほしのこえ

テーマは「少年少女の心の距離」

ほしのこえには謎の異星人もロボットも登場するものの、『シドニアの騎士』や『新世紀エヴァンゲリオン』のような派手な戦闘による興奮も世界の謎を読み解くサスペンスもありません。

見どころはあくまで宇宙と地上に引き裂かれた少年少女の間でずれていく心の距離です。SF作品として広げられそうな設定もどこか小道具的な印象が強く、ロボットアニメやSFアニメとしての印象はあまりありません。

ラブストーリーなのかというと、これもちょっと違います。
登場する二人に「付き合っていた」というハッキリとした描写はありません。
友達以上恋人未満だった二人の距離が離れてしまい、だんだん疎遠になっていってしまうことの切なさ。

最初から最後まで、そのような曖昧な関係が描かれている作品です。

純文学的味わいの深さがポイント

アニメとは、エンタメ商品として派手さや目新しさが求められがちですが、ほしのこえはそういうものと明らかに方向性が違います。
テーマ自体が地味で曖昧な上、話の展開もいまいち盛り上がりに欠ける印象は大きいでしょう。

山場やオチがないという意味では『みなみけ』や『ひだまりスケッチ』などの日常アニメと同じですが、これらはキャラクターそれ自体が作品の特徴になるほど個性的です。
ほしのこえのキャラにそこまでの個性は見られません。

テーマも話の展開もキャラも、商業アニメでは見られないレベルで控えめです。
それにも関わらずこれだけ人気となったのは、それだけ少年少女の心境を丁寧に綴る“新海節”が人の心を打つということです。

人と触れ合うことの喜び、そしてどうやっても避けられない静かな別れ。
こういうものに感動する心は多かれ少なかれ誰もが持っているもの。
このアニメは、そのような純文学的感性に向けて直球を投げ込むアニメです。

個人制作だからこそ作れたアニメかもしれませんね。

お勧め作品

本作を見ておもしろいと思ったら、同監督の作品『雲の向こう、約束の場所』や『秒速5センチメートル』などがお勧めです。ほしのこえで描かれたテーマがさらに丁寧かつスケールアップして描かれています。新海節も絶好調ですよ。
新海作品以外で似たようなアニメが見たいなら、感動系アニメとして『あの花』や『イヴの時間』などがお勧めです。

ピュアな感動に心が洗われますよ。

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あにぶ編集部

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