『イナズマイレブン』にみる「必殺技」の必要性

必殺技ーーそれは書いて字の如く、「必ず殺せる技」。
普通それはバトルアニメに使用されてしかるべき単語だ。
しかしこの『 イナズマイレブン 』は違う。サッカーアニメだ。
だがただのサッカーアニメではない。最初から「超次元サッカー」と謳っている。
必殺技の飛び交う超次元サッカー、それは果たしてどんな意図があるのか。

イナズマイレブン

分かりやすい!

まずはこの作品でどんな必殺技が飛び出すのかを例に挙げてみよう。

デカい手が飛び出る(キーパー技)
グラウンドから壁が生える(ディフェンス技)
ワープする(ドリブル技)
地面から生えた5羽のペンギンが飛ぶ(シュート技)

とまぁこんな感じだ。ペンギン!?と思う人もいるだろう。そう、ペンギンだ。なぜか分からんがシュートでペンギンが出てくるんだ。

この時点でそのインパクトの強さはお分かりいただけたかと思う。炎が出るとかグラウンドから波が起きるとかもはや当たり前になってくるのが恐ろしいが、なぜ健全なスポーツ競技であるサッカーにそんな要素が必要なのか。

それは単純に、ルールの分からない小さな子にも凄さが分かりやすく、かつカッコいいからだ。

比較対象として、人気を博したサッカーアニメ、『蒼き伝説シュート』を挙げさせていただく。
こちらの作品は実際のサッカーに近く、できるだけ実際の人間が使用できる技術を用いて試合を描いている。当時の中高生はその展開に男女問わず熱くなった。
だが残念なことに、小さな子供には全く受けなかったのである。

十代中頃になれば奇跡の11人抜きという展開に、サッカー未経験であっても「うぉおおおおお、スゲー!久保さんスゲー!!」となることができるが、それより下の年齢になるとなにがすごいのか理解ができなかったりもする。
このイナズマイレブンは、その「なにがすごいのか理解できない」を「なんか分かんないけどスゲー!!」に変えてしまったのだ。

そう、必殺技とはいわば「能力の視覚化」であり、ジャンケンのようにストーリー展開を分かりやすくするための演出だ。強さを演出するために炎の鳥を飛ばしたり、ボールをドリルで貫いたり、時間を止めたりする。
そうすることで、「あ、こいつのほうが強いんだ」=「こいつサッカーうまいんだ」に変換し、納得させる。
そしてエフェクトを派手に、カッコよくすることで「スゲー!!」へと目線を変えるのである。

未視聴者には「超次元www」と小バカにされることの多いこのアニメだが、必殺技があればこそ引き込まれる物語だ。
子供向けと侮らず、是非一度、最初のシリーズから見てみてもらいたい。