「京都アニメーション」言わずと知れた深夜アニメ人気の火付け役と言っても良い「涼宮ハルヒの憂鬱」など数々のヒット作を生み出した事で知られる日本でも有数のアニメ製作会社。
そんな京アニさんの演出家・監督であり、第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で新人賞も受賞した「 山田尚子 」さんが関わったアニメを紹介していきます!
京アニの天才、 山田尚子 とは何者なのか?
1984年11月28日生まれの山田尚子監督。 アニメ「けいおん!」で初監督を務めたのは25歳の時。 京都造形芸術大学美術造形学科洋画コース卒業なので、卒業からわずか3年後のことです。
事実、「けいおん!」の監督抜擢の時には、「本人も周囲もまさか自分が監督に選ばれるとは思っていなかった」と語っています。
では、このスピード出世の監督はどのような生い立ちを過ごしたのでしょうか。
彼女は京都で生まれましたが、3歳頃まで群馬県で過ごし、また京都の地に戻ってきています。
幼少期は「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」、「ジブリアニメ」などの作品に親しみ、小学生の頃から絵を書くのが好きで、「ドラゴンボール」や「機動警察パトレイバー」、「ハイスクール奇面組」などの絵を模写していたといいます。 民放などの深夜映画も視聴していたらしく、今に繋がる独特の演出の礎となっているのでしょう。
アニメーターを志すきっかけも、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の「アリス Něco z Alenky」という映画でした。
学生時代には、バンドを結成しており、ボーカルとギターを担当。 ただ、ギターは得意ではなく、三つくらいのコードでなんとか構成してもらっていたそうです。
山田尚子監督お誕生日おめでとうございます!! #山田尚子 #山田尚子監督 #京アニ pic.twitter.com/wWHvj0ECJO
— つよことスフィアザラシさん (@sakusakuda) 2013年11月27日
山田尚子 の出世作となる けいおん!
外せませんね。出世作。 山田尚子 さんが初監督した作品です。いわゆる「きらら系」で、日常系に分類してもいいアニメですね。
とにかく、一番の特徴は繊細な心情描写。他の日常系にはない、どことない淋しさ。脚だけ映すカメラワークがよく使われるんですが、脚の動きだけでキャラの気持ちが表せていたり。
山田尚子さんは“間”の使い方が本当に上手です。
社会現象にまでなったことには理由がある。かわいいだけじゃなく、本当に作り込まれてます。
僕はこの前久々に観直したんですが、終わった後の喪失感が・・・心に穴が・・・・
たまこラブストーリー
はい、これも大好きです。「たまこまーけっと」の劇場版で、山田尚子さん監督の作品です。
本当に、直球のラブストーリー。でも、それが良い。エンドロールが流れてきた瞬間の「あっ!やられた!!」感。最高です。こんな青春送りたかった・・・。
登場人物の成長、そしてたまこの等身大の「恋」の繊細な表現。音楽の使い方もうまくて、作品中で使用されている「こいのうた」は名曲です。望遠レンズを意識したカメラワークが多く、まるで実写の映画を観ているかのような錯覚に陥ります。
ストーリーがシンプルだからこそ、細かな演出、音楽、カメラワークが活きてくるんですよね。
劇場版だけでも十分楽しめるとは思いますが、時間がある方はアニメ版も観ることをおすすめします。
©京都アニメーション/うさぎ山商店街
響け!ユーフォニアム
最後に、山田尚子さんはシリーズ演出として関わっている、現在放送中の作品を紹介します。
最近じゃ珍しい、直球の部活モノ。
放送前や直後は「けいおん!」と似てるなんて言われてましたが、中身は全然違います。
これ、本当に8話で化けました。8話が本当に凄い。そしてそれからも本当に凄い。
これ天才少女の話じゃなく、普通の吹奏楽部の女の子の話なのがいいんですよね。普通だからこそのジレンマとか、人間関係とか、本当にリアルに描き出せています。
毎回のラストの「そして、次の曲が始まるのです。」は鳥肌。同じセリフなのに、エピソードごとに違う意味をもった言葉のように聞こえてきます。
あと、久美子ちゃんの「は?なんで?」がたまんないです。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会