『モノノ怪』見えないなにかが怖いとき

世の中には目に見えない恐怖がある。例えば人の噂、悪意、恨み。しかしそれはときにカタチを持って脅威を眼前に突きつける。

『 モノノ怪 』だ。

そんな怖さを感じたとき、一度このアニメを見てみるのをおすすめする。

モノノ怪

美しさすら恐怖を助長する

 

このアニメを見たとき、まず最初に印象に残るのは色彩の多様さからくる画面全体の美しさだ。

テクスチャをふんだんに使用したその画面は、絵本や切り絵を彷彿とさせる。流れる空気や雨粒すら花のような模様で表現され、なんとも不思議な空間に視聴者を迷いこませてくれる。

だがその非現実感こそが、精神を隔離されたような恐怖へと近付ける仕組みの一端でもある。

モノノ怪は基本的に短編のオムニバス作品になっており、そのほとんどが閉ざされた空間の中で展開される。座敷童なら宿屋の一室、海坊主なら船、鵺なら屋敷、化け猫なら電車だ。のっぺらぼうに関してのみ少々事情が違うが、概ね密室を舞台にしていると考えていただいて支障ない。

その逃げられない空間が美しく装飾されていればされているほど、モノノ怪はおぞましさを増す。光が強ければ強いほど、影もまた濃くなるというものだ。

モノノ怪とはなんなのか

 

退魔の剣を携える主人公、薬売りは言う。モノノ怪を祓うには形(かたち)、真(まこと)、理(ことわり)が必要だと。

形とはモノノ怪の姿。真とはことの有り様。理とは心の有り様。つまり「何者が」「どんなことを」「なんの目的で」行っているかを理解しなければモノノ怪を祓うことはできないと話している。

発生原因が分かれば相手を理解でき、祓うことができるというわけだ。

そう考えると、相手が人間であろうとモノノ怪であろうと差異はないように思う。相互理解がなければ、例え同級生や同僚であっても関連性のない存在、または忌むべき存在になり得る。

恐れているのは、相手が抱いている考えや思い、真意なことになんら変わりはない。それを恐れる気持ちが強くなれば、それは「モノノ怪」として成立してしまう。

さて、あなたが真実恐れているものはなんだろうか?人であれ物であれ、それとも動物であれ霊体であれ。それは本当に相手であるのか、それとも己の猜疑心や虚栄心の影であるのか。

これをご覧になったあと、皆々様の真と理、お聞かせ願いたく候ーー。