銀魂 坂田銀時 高杉晋助

銀魂における“鬼”

 

銀魂には、度々「鬼」という表現が出てきます。
銀時が松陽先生と出会う以前は「屍を食らう鬼」と噂されていました。
銀時の攘夷戦争時代の異名「白夜叉」にも鬼を意味する”夜叉”が含まれていますね。

今回は、そんな鬼に注目して紐解いていきたいと思います。

 

鬼と人


鬼についてより深く触れられたのは「死神篇」です。

かつて、国を守ろうと戦った攘夷志士達を裏切るように開国してしまった江戸。幕府は終戦後、参加していた人間を執拗に捉えようとしていました。
そんな中、隠れ住む彼らやその親類縁者までをも己の命欲しさに密告する男。
あげく自身の娘まで売ろうとする男を見かねた銀時は、その男共々自らの首を差し出しました。

ただ処刑を待つばかりの銀時でしたが、捕まった経緯を知っていた処刑人が銀時を逃します。

罪を犯し 鬼と成り果てた人間を人へと還す事ができるのは 人だけだ
だから俺に お前を斬る資格はない 鬼に 鬼を斬る資格はない

⸻アニメ「銀魂゜」第281話「さらば死神」

処刑を繰り返すうち、自らも鬼になってしまったというその処刑人は、後に銀時以外も逃していたことが明るみに出てしまい、打首になりました。

化物の剣、人の剣

銀時は、幼少期にも近しい話を聞かされたことがありました。
大人相手でも負けたことのなかった銀時が、松陽先生には全く歯が立ちません。
先生は自身の剣、そして銀時の剣を「化物の剣」と言いました。

化物の剣では私(ばけもの)は斬れません
君は君の剣で 人の剣で 私より強くなってくれなくちゃね
銀時 楽しみにしていますよ
いつか君が 私という化物を退治しにきてくれるのを

⸻アニメ「銀魂.」第317話「化物と化物の子」

先生と出会うまでは、戦場に転がる屍の懐から握り飯などを漁って生きていた銀時。
生きるために強くならざるを得なかった銀時は、その頃から常人離れした剣技を身につけていました。
ですが何故、松陽先生も”人ならざる剣”なのか? それは、317話以降で明らかになります。

 

漢字から見る「鬼」


作品タイトルにもある「魂」という漢字にも鬼が含まれていますが、この漢字の成り立ちもまた鬼に関係しています。

「鬼」の元は死体・死者の魂を表す象形文字です。現在も”鬼籍に入る”など鬼を用いた表現が残っています。
「云(ウン)」には 言うの意味がありますが、元はの象形文字です。転じて、もやもやした様子を表します。

余談ですが、銀時の着物の模様は波ではなくをかたどっています。
掴み所のない男、を表しているとのことです。

 

ちなみに「銀」の漢字の意味するところは、錆びずに輝きを残す様子です。
「金」は土の中に埋まった金属、「艮」はとどまる・残ることを表します。
一方で艮は「うしとら」とも言い、丑と寅の間の方角=鬼門(鬼が出入りする方角)なのだそうです。
こうして見ると、鬼にまつわる言葉が点在しているのですね。

原作完結後、「銀時の名付け親は松陽先生ではない」ということが明かされました。
親の顔も覚えていない銀時ですが、彼の生き様を体現するかのような素敵な名前をくれる人がいたことをとても嬉しく思います。

 

坂田姓と豆まき


平安時代に活躍した鬼退治の逸話を持つ渡辺綱・坂田金時にあやかり、渡辺姓、そして坂田姓は、節分の豆まきをせずとも鬼が恐れをなして逃げるのだそうです(諸説有)。なお、豆まき文化は室町時代には存在したようです。

銀魂の登場人物の多くが江戸時代の人物から取られる中、銀時だけが平安時代の坂田金時をモデルにされています。
「大江戸人情SFコメディ」として始まったこの作品。その中に見え隠れするもう一つのテーマ「鬼退治」の使命を、銀時は名前からして背負っているように感じます。

 

過去と今


銀魂において鬼とは、絵本に出てくるような存在のことではなく、もう少し抽象的で、禍々しい所業や感情を指すようです。
人は簡単に鬼になってしまうし、誰しもそんな一面を持っている。
たとえ一時は鬼になったとしても、努めて人であろうとする大切さを幾重にも描いています。

 

泥棒をしていた過去の因縁に悩まされるキャサリンに、銀時がかけた言葉が印象的です。

まァ 俺も変わんねーか… 人様に胸はれるような人生送っちゃいねぇ
まっすぐ走ってきたつもりが いつの間にか泥だらけだ だが それでも
一心不乱に突っ走ってりゃ いつか 泥も乾いて落ちんだろ

⸻アニメ「銀魂 シーズン其ノ弐」第97話Aパート「昔の武勇伝は三割増で話せ 盛り上がればいいんだよ 盛り上がれば」

この話数の頃はまだ、銀時の過去はあまり明かされていませんでした。そんな中、さらりと仄めかされる不穏な人生にどきどきしていたのを思い出します。

過ちを犯しながらも、それでも諦めずに少しでも良い方向へ、前へ。
銀魂のキャラクター達はみんな必死に己と向き合って生きようとしています。

 

泣いた赤鬼?


もう一人、鬼の名を冠する、鬼兵隊総督・高杉晋助。
銀時とは幼少の頃からの付き合いで、攘夷戦争を共に生き抜いた、この作品の重要人物です。

攘夷戦争時代に結成された鬼兵隊の名前の由来は明らかになっていません。
物語終盤になるにつれて明かされていく彼の願いと、自ら敵であり続けるその姿は、どことなく「泣いた赤鬼」の青鬼を彷彿とさせます。

人間達と赤鬼が仲良く笑って過ごせることを願い、悪役を買って出る青鬼。
悪役のまま立ち去る青鬼の心を唯一知り、涙する赤鬼。

高杉は、誰よりも人間でありながら、あえて鬼の面を被って見せたように思います。

 

銀魂 坂田銀時 高杉晋助
イラスト:朝矢

 

《死神篇》
アニメ「銀魂゜」279話~281話・コミックス52巻,53巻

《烙陽決戦篇》
アニメ「銀魂.」317話~328話・コミックス62巻〜66巻

《キャサリンとキャッツパンチ》
アニメ「銀魂 シーズン其ノ弐」97話・コミックス4巻

《銀さんの着物の柄について》
コミックス63巻 空知の読者と触れ合う質問コーナー206

 

アニメ「銀魂」公式ホームページ

銀魂後祭り2023(仮) in 両国国技館 公式ホームページ

 

銀魂 坂田銀時 高杉晋助
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