変身ヒーロー×タイムトラベル『ジェネレイターガウル』
タイムトラベルものというのは、SFというジャンルが確立する以前から存在するジャンルであり、もっともポピュラーな SFアニメ のひとつだ。
そんなタイムトラベル要素と、『仮面ライダー』や『ウルトラマン』から連綿と続く“変身ヒーロー”の要素をかけ合わせて作られたのがこの『ジェネレイターガウル』である。
物語の舞台となるのは研究学園都市・皇樹学園。そこに三人組の謎の少年たちが転入してくるところから物語は始まる。
制作はタツノコプロ。もともとタツノコのヒーローアニメにはSF色の強いものも多かったが(『科学忍者隊ガッチャマン』や『宇宙の騎士テッカマン』など)、この『ガウル』はそれに輪をかけてSFらしいお話になっている。とくにタイムトラベルに関する緻密な物語構成には思わず舌を巻くほど。
また、シリアス色の強いヒーローものではあるが、主人公・ガウルとヒロイン・マサミのおバカな掛け合いに思わず和ませられたりと、ただ暗いだけの物語に終わってないところも印象的だ。
ちなみに『鋼の錬金術師』や『機動戦士ガンダム00』などで監督を担当した水島精二さんの監督デビュー作でもある。SFファンだけでなく、水島ファンもマストウォッチな作品なのだ。
宇宙の広大さを感じさせてくれる作品『モーレツ宇宙海賊』
この『モーレツ宇宙海賊』は、前回紹介した『宇宙のステルヴィア』の監督・佐藤竜雄さんが手がけたSFアニメのひとつだ。
『ARIEL』や『妖精作戦』でジュブナイルやライトノベルにおけるSFを開拓した作家・笹本祐一さんの『ミニスカ宇宙海賊』が原作となっており、ライトノベルらしいわかりやすさと、本格SFに負けず劣らずの骨太な設定が魅力となっている。
タイトルから少なからず察せると思うが、今作の主人公は宇宙海賊だ。しかし主人公・加藤茉莉香はただの宇宙海賊の船長ではない。なんと現役の女子高校生な宇宙海賊なのである。
物語は、自分をただのいち女子高校生だと思っていた茉莉香が、実は自分の父が宇宙海賊だったこと、そしてその父が死んだことを知らされ、さらにはその宇宙海賊の船長就任を依頼されるところからスタートする。
「私掠船免状」という政府から公式な免許状を得ている『モーレツ宇宙海賊』の海賊だが、その業務は多岐に渡る。保険会社や船会社主催のエンターテインメントとなっている略奪ショーから、秘密裏に行われる運送業務、ひいては一介の王家からの“特別な依頼”など、ほとんど「何でも屋」と言って差し支えないほどだ。
そうした様々な海賊業を、宇宙狭しと縦横無尽にこなしていくのがこの『モーレツ宇宙海賊』なのである。
太陽帆船や人工子宮などといった細部の要素も、SFファン的には嬉しいところだ。
© 2011 笹本祐一/朝日新聞出版・モーレツ宇宙海賊製作委員会