フジテレビ系『ノイタミナ』枠で、2014年10月から2015年3月まで半年間にわたって放送された『 四月は君の嘘 』。原作は新川直司さんが『月刊少年マガジン』に連載していたマンガで、ちょうどアニメの放送と合わせる形で、マンガのほうの連載も終わっています。
中学生のピアニストとヴァイオリニストが、演奏を通して心を通わせ合い、成長していく姿を描いています。『ノイタミナ』の作風に非常にマッチした作品で、テーマである音楽はもとより、丁寧な作画、そしてストーリー構成いずれも高い評価を得ています。
ピアノが弾けない・・・
主人公の有馬公生は、小さいころより神童と呼ばれたほどの天才ピアニスト。数々のコンクールを総なめにして、将来を期待された少年でしたが、母の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなってしまいます。当然、コンサートで演奏することもできず、鬱屈した毎日を送っていました。その後、中学生になった公生は、同い年のヴァイオリニスト宮園かをりと出会います。かをりは、コンクールでも、規定にない演奏を行うなど、かなり個性的(エキセントリックともいう)な姿勢で、審査員を激怒させるのですが、聴衆の支持は高く、これによって予選を通過するなど、天才肌の演奏家です。そのかをりの演奏に心惹かれる公生は、、次第にピアノが弾けるようになります。音も聞こえますし、彼を取り巻く世界も鮮やかに色づいていきます。かをりへの恋心とともに。
音楽演出の秀逸さ
この作品は、音楽がテーマだけあって、演奏シーンの表現は非常に素晴らしいものとなっています。単に映像を動かすのではなく、緩急をつけて、楽器をクローズアップさせる場面と、絵を見せながら音楽を聴かせる場面と切り替わりが見事で、実際にコンサートに来ているような錯覚を視聴者に与えます。もちろん、実際に演奏しているのは、有名なクラシック音楽で、モーツァルトやバッハ、チャイコフスキーなどの名曲です。実際に演奏しているのは、ピアニストとヴァイオリニストです。コピー音源ではありません。
そして、アニメのイベントも兼ねた演奏会が開かれ、第2弾の公演も予定されています。また、「舞台」である練馬区とのコラボも積極的で、地域の大学の合同キャンペーンやイラストコンサートなども開催されました。
「四月は君の嘘」というタイトルの意味
物語を観ているとわかるのですが、かをりは重い病気を患っていることが表現されます。入院をしてしまう描写もありますし、それを気に掛ける公生も当然描かれます。自ら心を閉ざしてしまった公生が、病気のかをりの必死な姿を観て、変わっていく、その成長を見守るのも、この作品の重要な要素であります。実はかをりは公生に嘘をついていたのですが、その嘘とは何なのでしょうか。『四月は君の嘘』というタイトルの意味が、物語の最後で明かされます。これは、ついても許される、しかし、悲しくも儚い嘘だったのです。
思春期の男女の「想い」とすれ違い、そして将来への希望、甘酸っぱくも懐かしい気持ちにさせてくれるアニメです。このような作品からアニメのドアを開いてみるのもよいかもしれません。