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ついに放送が開始された「 東京喰種トーキョーグール 」!ダーク・ファンタジー、またはサイエンス・ファンタジーにも分類される本作は、ハリウッド映画のアクションホラーさながらのグロテスクな作画が圧巻である。人肉を喰らうというテーマを掘り下げつつ、「 東京喰種トーキョーグール 」に潜む狂気と苦悩を味わっていただきたい。

生物の禁忌・カニバリズム(共食い)

生き物が犯してはいけない禁忌の中に「共食い」が挙げられる。カニバリズムは食人を禁ずるキリスト教が普及したこともあり禁忌となったが、人肉を食すこと自体は被食者の力を取り込むと考えられ、そのため敵対する軍や民族の肉を食したり、内臓を加工し薬として飲用したり、故人を惜しみその肉を遺族が食べるなどという習慣は水面下で世界中に存在していた。

現代では、人肉を得ることはその背景に殺人を伺わせ、故人のものであっても人肉を食すことは死体損壊の罪にあたる。食料飽和といわれる日本においては飢饉による緊急性を帯びた食人も考え難い。伝統的に食人を行ってきた種族には食人が原因で発症した病気も見られ、やはり食人は倫理的にも科学的にもタブーとなった。

平凡な日常に現れる狂気と裏の社会

そんな食人がタブーとされる現代に展開される「東京喰種」。まるで日々のニュースで目にする事故や事件のように、喰種が蔓延り人を喰う東京を舞台に描かれた物語である。

主人公はそんな凶悪な事件とは無縁に見える純朴な少年・金木研(以下カネキ)。そんな彼が突如、鉄骨事故を機に喰種になってしまう。今まで大好きだった普通のハンバーグさえ不味くて食べられず、唯一美味しそうと感じたのは人肉と血の匂い。その匂いに誘われてカネキがたどり着いた東京の裏路地で見たのは、平凡だった日々では考えられない、喰種同士の共存と縄張り争い。謎に包まれていると思っていた喰種にも理性があり、序列があった。

しかしそれは食人を禁忌とする人間とはかけ離れた生き物だった。

平穏だった日々から一転し、人間ではいられなくなる絶望と狂気を抱えながら、今後カネキはどう折り合いをつけていくのかが見どころである。

 東京という異質な街の描写

東京には日本中、または世界中から多くの人が集まっている。眠らない街といわれ、溢れかえるほどの人がいるのに他人同士は深く干渉せず生活するのが半ば常識になっている。東京という大都会で、自分以外の人間は何をしているのだろう?

昼間は仕事に追われるビジネスマンに見えても、もしかしたら夜な夜な人を喰う喰種かもしれない。日々絶え間なく起こる未解決事件も、喰種の仕業かもしれない。その喰種は今日カフェで見かけた店員や、知り合った女の子、大学で毎日顔を合わせる友達かもしれない。そしてその次は…。自分の中に認めたくない強い嫉妬や憎悪などを感じたことはないだろうか。

心当たりがあったら、一つその感情とうまく付き合うためにも、「東京喰種」を見てみてはいかがだろうか。

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