『 となりの怪物くん 』思わず応援したくなる不器用な恋

新生活の始まりに、誰もが胸躍らせる春。

新しい教室。
新しい担任の先生。
新しい友達。

そして気になる、となりの席の男の子

この『 となりの怪物くん 』は、席が隣同士になったふたりの男女が甘い高校生活をスタートさせる……なんてストーリーでは断じて無いが、紛れもなく乙女の心を掴む作品である。

となりの怪物くん_1

となりの席の吉田くん

主人公の水谷雫は幼い頃から勉強一筋の女の子。
ある日、担任の先生に頼まれた雫は、学校を欠席しているとなりの席の吉田春の家までプリントを届けに行くことに。

しかしこの吉田くん、入学初日に流血事件を起こして以来一度も学校に来ていない問題児。
雫と顔を合わせるなり窓から逃走したり、雫をいきなり茂みに連れ込んだりと、噂に違わぬ怪物のような男の子なのである。

ところが、雫がプリントを届けに来ただけだと分かると表情を一変させ、彼女のことを友達と認定し、ずっと休んでいた学校にも出てくるようになる。

冷血女子の初恋

雫はこれまで“テストで一番になること”に重きを置いて生きてきた。
何よりも勉強が優先だったため、友達を作ったり遊んだりすることがほとんど無かった。

小学生の頃、クラスで飼っていたうさぎが死んだ時も、悲しむクラスメイトをよそに「宿題があるから」とさっさと帰ってしまい、ドライアイスというあだ名をつけられたりもした。

そんな雫であるが、春と出会ってからというもの、初めて“他者と対峙すること”を意識し、今まで感じたことのない感情を覚えるようになる。
恋人や友達といった未知の対象に戸惑いながらも、必死に自分なりの答えを出そうともがく雫は、同性から見てもとても魅力的な女の子だ。

手探りでも、一歩ずつ

ラブストーリーなのにそれほど糖度が高くないのは、雫も春も人付き合いに不慣れだからではないだろうか。
いきなり胸ぐらを掴んでキスしてみたり、自分の気持ちに気づかないふりをしたり、お互いちょうどいい距離感が分からないため、好き同士であるのに何とも奇妙な関係が続く。

一生懸命な当人たちには申し訳ないが、その様子がもどかしくも面白く、グッとストーリーに引き込まれてしまうのだ。

また2人の他にも様々な人物が登場するのだが、所謂“噛ませ犬キャラ”がほとんどいないため、誰の恋を応援すればいいのか非常に悩みどころなのである。

となりの怪物くん_2

恋に友情に不器用な登場人物たちが織り成す新感覚ラブストーリー。是非、一度ご覧いただきたい。