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『アナ雪』『マーニー』にも通ずる少女達の愛情と意識革命『少女革命ウテナ』

近年、少女同士をメインに据えた作品がヒット、話題になり続けている。
「アナと雪の女王」では愛を、「思い出のマーニー」では一人の少女の心の成長を、「マレフィセント」では母性愛を描いているが、そのすべてに通じる作品がある。それが『 少女革命ウテナ 』だ。

少女の愛が少女を救う

『少女革命ウテナ』は、過去に出会った王子様憧れ、自身も王子様になりたいと願う少女「天上 ウテナ」と、エンゲージした者に「世界を革命する力」を与えることができる薔薇の花嫁として、賞品のように扱われる少女「姫宮 アンシー」を主軸に展開される。

アンシーは優しく淑やかに振る舞うが、深く踏み込むことも踏み込ませることもせず、本質的に心を閉ざしてきた少女だ。賞品として、薔薇の花嫁として生きてきたために、そうあるべきと自身に課した部分も多い。
そんなアンシーは、氷の魔法を使えるがゆえに人と一線を画し、自分を恐れていた「アナ雪」のエルサと近いものがある。

一方ウテナはといえば快活に見えてもその実、自分の殻を破ることができずに足踏みしている少女だ。過去に出会った王子様に憧れ、懸命にアンシーの王子様たろうと努力する。
過去の記憶に縛られていると言ってもいい。だがそのせいで、大きな後悔を生むこともある。
そんなウテナは、過去恋人に裏切られた経験に縛られ、後悔に苛まれることになる『マレフィセント』の主人公、マレフィセントに似ている。

そんな二人は、出会い、友人として過ごし、打ち解け、そしてすれ違い、裏切りもあり、やがて互いが互いの中の決定的なものを確変する。
描かれている時間の長さは違いこそすれ、この部分は『思い出のマーニー』のアンナ、マーニーに通ずる。

少女達の愛

なぜ今になって少女同士の友情、もしくはそれ以上の愛情にスポットが当たっているのか。

このウテナにしろ、話題の三作にしろ、彼女達にとって世界は決して美しいものではない。
身近な場所で数多く巡る嘘を、恐怖を、詐偽を、不安を、強欲を、支配を、阻害を。苦しむがゆえに狭くなってしまう視野の中は、紛れもなく彼女達にとって己の世界そのものだ。

だからこそ少女達の想いは美しく映える。男同士の友情ではなく、女同士の友情でもなく、少女の愛情とはただそれだけで清らかさを感じさせてくれるテーマでもある。

不安にさせる事件やニュースが起こる昨今、少女達による想いの相互連鎖が清涼剤となる。狭まった視野を開き、卵の殻を破る彼女達をあなたも見つめてみるのはどうだろう。

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