リアルロボットアニメの金字塔とも称されるアニメ『 装甲騎兵ボトムズ 』
その作品世界を構築する重要な要素にして、『ボトムズ』を『ボトムズ』たらしめているのが人型ロボット兵器「アーマードトルーパー(以下、AT)」の存在だ。
ATあってのボトムズ、と言っても過言ではないだろう。それくらい重要な要素なのだ。
徹底した“消耗品”としての扱い
ATは他のロボットアニメに出てくるロボットアニメと比べても、特に際立って小さいロボットだ。全体的に4m前後の機体が多く、そのサイズ感の小ささは頭一つ抜け出て(または引っ込んで?)いる。
しかしただサイズ感が小さいだけではない。機体そのものの作りも心許ないのだ。
気密性はある程度しか確保されておらず、宇宙空間で活動する際にはパイロットスーツ着用必須。窓やモニターもなく、外の視認はコネクターを通してゴーグルで見るほかない。
駆動系に使用しているマッスルシリンダーという人工筋肉は、引火性が高く爆発しやすいという、きわめて危ないシロモノ。
装甲厚も10mm前後と、戦車と比べても装甲は薄い部類で、とても「弾が当たってもへっちゃらさ~」というわけにはいかないのだ。
脱出機構さえも備えておらず、パイロットの命をあまりにも軽視した作りから『ボトムズ(意味:最低の奴ら)』とまで呼ばれる始末。
とにかく、一から十まで、パイロットまでをも含めて“消耗品”として作られた兵器が『AT』なのだ。
主人公にさえ乗り捨てられるロボット
そんな粗雑な作りも相まって、劇中での扱いも散々だ(笑)
ふつう、ロボットアニメの主役機といえば、ある程度損壊しても修理されてまた使われるものが多いが、『ボトムズ』の世界ではそうもいかない。
なにせATはすぐに壊れる。主人公のキリコも、容赦なく新しい機体に乗っては壊して乗り捨て、また新しい機体を見つけては壊し……を繰り返していく。
ハードに使い倒して、使い物にならなくなったらアッサリ乗り捨てる。この潔さ、ロボットアニメとしては常識破りだが、兵器の描写としては実にリアル。
だが、この徹底した「兵器らしい描写」が現実感のある空気を生み、『ボトムズ』を「リアルロボットアニメの金字塔」たらしめているのだ。
この記事のライティング担当:あにぶ編集部