血と硝煙とアルコールの匂いの中で。「 91Days 」感想の総括

夏アニメ最後の作品として幕を下ろした「 91Days 」。

アヴィリオの復讐劇とともに駆け抜けた三か月間、継続視聴していた皆様はどんな感想を持たれたでしょうか。

血と、硝煙と、アルコールの薫る時間の中で、かすかな希望や和やかな日常、そしてそれでも拭いきれない痛切さを感じました。

死が切迫しているからこそ人生が濃縮されたマフィアの世界。

視聴者の予想を外し続け、先読みできない緊張感を見せつけてくれた映画作品のような一作でした。

オープニングがすべてを物語っていた

今となって思えば、オープニングを担当したTK from 凛として時雨(この名義、敬称をつけるべきか迷ってしまいます)はストーリーの大まかな流れを聞いたうえで歌詞を書いたんだと思えます。

決して珍しいことではないんですが、最終回を見終えた今、オープニングである「Signal」の歌詞を見直すと「あぁ、アヴィリオの中でネロはこういう存在になっていってたんだな」と再確認して非常につらいです。

ネロを仇としてではなく友人として見てしまうようになってから、ともすれば手放してしまいそうな憎しみを必死で繋ぎ止めていたとか考えると本当につらい。
いっそ手放してしまえたら、コルテオも、アヴィリオも、ネロも違う結末が待っていたのかもしれないと思うとなおさらです……。

ローレスヘブンという酒

91days 13
画像引用元:youtube.com

コルテオが生計を立てるため、ごく少量をこっそりと作っていた密造酒がこの「ローレスヘブン」。

この酒があったことでアヴィリオはヴァネッティファミリーに近付くことができたことをはじめ、物語の要所要所で必ず登場してきました。

復讐劇の歯車を回すための潤滑剤。禁酒法時代という荒涼とした雰囲気の中で、この「ローレスヘブン」はマフィアたちの心の安らぎ、または数少ない娯楽として表現されていたのかもしれません。

もしくはアヴィリオの復讐の順調さや顛末をその登場数によって視覚的に表していたのかと思います。

最初はスキットルや小さなグラスでしか登場しなかったこの「ローレスヘブン」ですが、アヴィリオが順調にヴァネッティに入りこめる足掛かりになってからはボトルで、そして信頼を勝ち得てからは醸造場所も得て町中に出回るようにすらなります。

作中での扱いも大きく、いかに上質な酒であるか、いかに酒に餓えた人々にとって喜ばしいものであるかが前面に押し出されていました。

にも拘らず、コルテオがファンゴと密通するようになって以降、その名前の登場率は激減。

コルテオの死後はガラッシアファミリーとの取引材料として名前が挙がるに留まり、最終回では一本のボトルと小さなグラスという描写に収まっていっています。

レシピを持っていたのはコルテオとスクーザ、そしてスクーザを殺害して手に入れていたファンゴの三人です。

その三人も全員殺害され、恐らくはもう生産することはできず在庫だけが消費されていくはず。

自らに課した役割を終えたにもかかわらず、身の振り方を失ったアヴィリオの姿と似ていると思えたのは筆者だけでしょうか。

最終回、ラストシーンの解釈

91Days 第12話・最終回「 汚れた空をかいくぐり 」【感想コラム】
画像引用元:youtube.com

放送直後から、継続視聴してきたファンの間で物議を醸したのがラストシーン。

浜辺を歩くアヴィリオの背中に向けて銃口を向けたネロと銃声、そしてアヴィリオのいない車の座席とパイナップル缶、ネロの笑顔でした。

筆者の解釈だと、ネロはやはりアヴィリオを撃ったのではないでしょうか。

復讐劇で始まったアヴィリオとネロの関係。アヴィリオは見事ネロ以外への復讐をやり遂げました。

しかし反対に、ネロは復讐する側へと転身します。

4話当時のように普通の友人として接することができた部分も含め、ネロはアヴィリオの人生を短期間ではありますが追体験したはずです。

その中で、憎むべき相手を友人として認識してしまった戸惑い、さらに憎しみだけに身を焦がすことがいかに疲弊するかを知ったはずです。

また、復讐をやり遂げたはずのアヴィリオの憔悴と疲れ果てたような無力さを目の当たりにしたネロは、自身の未来を幻視しつつも同情の心も芽生えたのではないでしょうか。

ラグーザ一家を殺害したあの日の夜、自分がアヴィリオを撃てていれば起こりえなかった事態の最後の尻拭いという意味もあったのかもしれません。

復讐相手としてではなく、友人としてアヴィリオを撃ったのではないでしょうか。

だからこそ最後は助手席にアヴィリオへの弔いとして彼の好きだった甘いパイナップル缶を伴い、ガラッシアの追手の姿を確認してはまるで彼がそこにいるかのようにおどけた風を装って笑ってみせます。

自分がそこに行くのもそう遠くないことが分かっているからこそ、待ち合わせに少し遅れてしまうくらいの気軽さだと思いました。

読んでくださっている方はきっと違う解釈をされている方も多いと思います。ただ、筆者はこう解釈しました。

実際の二人がどうであるのかは、波が彼らの足跡を消し去ってしまったので今のところ不明。

もしかしたら、10月28日発売のノベライズ版下巻にて明かされるかもしれません。上巻もその時一緒に購入するつもりなので、筆者、非常に楽しみにしています。

「 91Days 」を見終えて

最終回まで走り抜け、今こうして感想の総括を書かせていただいている今でも、なんだか一本の洋画を見終えたような不思議な感動と満足感でため息が出てくる作品です。

視聴者が予測していたことを軽々と裏切り、とにかくアヴィリオの策略と計画に驚かされるばかりだった三か月。
脇キャラも含めて非常に魅力的で、特にファンゴ、ティグレ、チェロットはこっそりとファンだった人も多いんじゃないでしょうか。
本当に洋画と同じで、時間がたってから「また見たい」と思える作品になったのではないかと思います。

DVDの発売が待ちきれない人は、是非ノベライズをどうぞ!

上巻にはバルベロとネロの出会い、そして下巻にはガラッシアファミリーでアヴィリオがなにをしていたのかが書かれた外伝が収録されています。

本当に、とても充実した三か月間を魅せてくれた作品でした。

秋期アニメの感想コラムは「終末のイゼッタ」「クラシカロイド」「刀剣乱舞・花丸」を担当させていただくこととなりました。

サイクルが短く、3か月単位で大量のアニメが入れ替わる昨今。あなたの視聴する作品があれば、また感想を読んでいただけたら嬉しいです。

2016年夏アニメ『 91days 』の感想コラムまとめ

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